2001/09/03-07

第5回欧州触媒会議参加。二十余りあるシンポジウムの一つが「銀と金の触媒作用」で、今回は口頭発表。かなり緊張したが、どうにか質問は理解出来たので安心。

アイルランド西部は雨が多いとのことで、滞在中もよく雨に見舞われた。が、降ったと思えばすぐ晴れて、と目まぐるしく天気が変わる。天気が崩れた時は少し肌寒くなるが、大体は過ごしやすい気候だった。

西海岸のリムリックは東海岸の首都ダブリン(アイルランド英語では“ドブリン”)、南部にあるコークに次ぐ第3の都市だが、日本ではほとんど知られていない。アイルランドの概要はこちら。第一公用語はケルト語派のアイルランド語(ゲール語)で、第二公用語であるゲルマン語派の英語とは遠い親戚にあたるものの、英語とスペイン語以上に異なる模様。標識や看板は二カ国語表記だが、現在では英語を使う人がほとんど。主食はジャガイモで、ほとんどの料理に添えられて出てくる。逆にパンは単にスープの付け合わせくらいのようで、パブレストランではスープが済んだらパンの残りも下げられてしまった... 南欧の華やかな食文化と比べたらかなり素朴であるが、何を食べても美味しかった。シーフードが出てくるおそれはまずないし(笑)

英国と同様エールも飲むけれど、名物はギネスという真っ黒なビール。泡が細かくて、日本のやたらと苦いビールとは味が全然違うので、これならいけるかも。アイリッシュ.コーヒーも名物であるが、これは砂糖とウィスキーをたっぷり入れたもので、一度試してみたが相当きつかった。

牧畜の国でもあるので、毛織物が名産。西部のアラン諸島のセーター(イギリス英語ではジャンパー、アイルランド英語だとジョンパー)が特に有名。縄目模様のセーターは日本でもお馴染みだが、家毎に模様が決まっていて、海難時の識別に利用されていたのだとか。リムリック辺りはレース編みの伝統があったらしいが、今日では機械織りがほとんどとのこと。

学会の公式行事で北西部も訪れる。最初の目的地はCoole Garden。日本のガイドブックでは紹介されていないが、領主の未亡人がイェイツなどの文化人を集めてサロンを開いた場所らしい。地方都市を幾つか通過したが、メインストリートに沿って二階建ての家が数百メートル続くだけの小さな町がほとんど。家々は赤、黒、黄、緑と原色で塗られ、長屋形式でも一区画ずつわざわざ塗り分けてあり、とてもカラフルだったのが印象的だった。北西部は荒れた土地で、山は一面の石で覆われていた。人家の周りは放牧地になっていたが、家の屋根や塀は取り除かれた石を集めて作られた模様。狭い山道で知恵の輪のような渋滞を抜け、海沿いを暫く走ると第二の目的地であるMohers Cliff。高さ200メートルにもなる急崖で、晴れた日には件のアラン諸島が望めるそうだが、あいにくの霧。しかし海面からの高さはよく分かった。ところどころ古い城が残る道を南に戻り、エニスで遅い夕食を取ってからリムリックに戻る。