2023/10/06(金)

フランス語の"courre"(獲物を追う)は、動詞にしては見慣れない形をしているので、どんな活用をするのか調べたところ、不定形のみで活用形はないとのことだった。どうやら"courir"(走る)の古い形に由来するらしく、"chasse à courre"(猟犬を使う騎乗の狩猟)という用法ぐらいしかないようである。フランス語には"pleuvoir"(雨が降る)や"falloir"(〜でなければならない)のように、非人称構文にしか用いないため、3人称単数形しかない動詞があるけど、活用形が全くない動詞があったとは驚きである。

フランス語の動詞の活用表には、上記のように3人称単数形しかない動詞が載っていて目立つのだけど、そういえばドイツ語でそういう表を見たことがないなと思って調べてみたら、例えば"regnen"(雨が降る)は通常3人称単数形しか使わないが、文学作品等で稀に他の活用形を使う場合があるらしい。イタリア語の"piovere"(雨が降る)やスペイン語の"llover"(雨が降る)も同様らしく、他の活用形も表には載っていた。ということは、3人称単数形以外は存在しない、と明確に言い切っているのはフランス語くらいということなのか。「雨が降る」はロシア語で"Дождь идёт."、ポーランド語で"Pada deszcz."、クロアチア語で"Pada kiša."で、直訳すると「雨が行く/落ちる」と「雨」を主語とする一方、チェコ語には"pršet"(雨が降る)という動詞があるらしい(そして活用表には3人称単数以外もあった)。