2023/12/01(金)

相手の方に向かう場合、英語では"go"ではなく"come"になるので、誰かに呼ばれて“今行きます”というのは"I'm coming."になる。ドイツ語やフランス語でも同様に、"come"に相当する"kommen"や"venir"を使うし(フランス語では"J'arrive."ともいう)、イタリア語でも"venire"になるようなので("arrivare"も使う)、欧州言語ではそういうものかと思っていたら、スペイン語とポルトガル語では"go"に相当する"ir"を使うらしい。ロシア語ではどうなるのかと調べてみたら、そもそも"go"と"come"は動詞として区別しないらしい。例えば英語の"Here comes the bus."(バスが来ました)に相当する表現は"Вот идёт автобус."で、英語に直訳すると"Here goes bus."になる。因みに韓国語では"가다"(行く)で、中国語では"来"になるらしい。

ロシア語で「来る」という動詞を見たことがないなと思っていたら、「行く」と「来る」を形の上で区別していなかったとは。だからといって、ロシア語の運動を表す動詞が単純ということは決してなく、「歩いて/走って/乗って/飛んで」などの手段や、「一定方向/往復・反復」などの方向は動詞の形で区別するし、これらの動詞に「中へ/通って」などの移動経路を表す接頭辞が付くので、ロシア語で運動を表す動詞は200種類以上になるのだとか(@_@) なお、"прийти"には「来る」という訳語もあるが、「一定方向に歩いて到着する」というのが本来の意味のようである。