2005/01/30(日)

運動公園

チェックアウトして、すぐ近くの民宿で自転車を借りる。高低差を考慮に入れて、左回りでスタート。昨日は足早に通過したキャンプ地となる運動公園を撮影してから、島の北東端を回り込んで宇根の集落へ。ここに巨大なソテツがあるということで探してみると、なんと民家の庭にあったのでびっくり。続く真謝(まじゃ)の集落の入口にはフクギ並木が道路を分けて茂っている。「チュラフクギ」という名で、本島名護市の「ヒンプンガジュマル」を思い出すが、あちらは一本の巨木でこちらは並木。フクギは縁起の良い木とされているが、葉が小判型をしているからだということを初めて知った(^^; 昔の役所として使われていた「仲里間切蔵元跡」に立ち寄ってからしばらく走ると集落は途切れ、道は急な上り坂になる。

ひたすら登りが続くので、早々に漕ぐのは諦めて、景色を楽しみながら自転車を押して歩く。「阿嘉のひげ水」という名勝があるとのことで、自転車を停めて遊歩道に入ると、延々と下り階段が続く。帰りはしんどそうだが、折角なので展望台まで行くと、海辺に聳える断崖に切れ目が見える。そこから流れ落ちる滝が風に飛ばされて飛沫になる様子を白髭にたとえたらしいが、水はどこにも見当たらない。この季節は休業中なのだろうか(^^; 眼下には車エビの養殖場が見える。何はともあれ景色は雄大であった。階段を上って、再び自転車を押して歩く。島の北側は山が海まで迫り、集落は全て高台にある。海抜200メートル以上はある峠を越えると比屋定バンタで、道路脇の展望台からは島の北岸が、左右両側に見渡せる。東の方は奥武島の向こうに島とも呼べない砂浜が浮かび上がっている。これで天気が良ければもっと見事なのだろうけど、冬場の沖縄だから、曇っているのは仕方がない。「バンタ」というのは見晴らしが良いところ、という意味だそうだが、八重山の「ハナタ」に相当するのだろうか。

ここから島の最高地点にある宇江城跡までの道が分岐しているが、さらに100メートルを登る道が4キロ近く続いているらしい。さすがにそこまで行ってしまうと他の場所が見られなくなってしまうので、断念して下りの道を辿る。昔の天文観測に使ったという太陽石を見学してから、仲村渠(なかんだかり)という難読名を持つ集落に入り、海岸部に降りる道に入る。後で同じ道を引き返すというのに高台から急坂で下ってしまうのは、位置エネルギーが勿体ないような気がするが、屈指の名勝があるのだから仕方がない。具志川城跡の前を通過して、一挙に下まで降りる。珊瑚の海岸は荒れ模様。コバルトブルーの海が白波だって荒れるというのは、なかなか見慣れない光景である。それにしてもどうしてこの辺りだけ緑色に舗装してあるのだろう。道が尽きるところにある「ミーフガー」は、見上げるような断崖がざっくり割れて出来た地形である。ここから先の道は整備されていないし、波飛沫が飛んで来るので、近付くのは止めておこう。急坂を戻り、具志川城跡を見学して、さらに自転車を押して登れば、後は下り基調となるので楽になる。

おばけ坂

島南部へと向かう道を途中で脇に入ると、謎の名勝「おばけ坂」に行き着く。ここは心霊スポットととして有名~なのではなくて、一見下り坂なのに、実は上り坂という錯覚が起きる不思議な場所なのである。事前にネットでその情報を知った時には半信半疑だったが、実際に現場に行ってみると、確かに木々の生え方や道路の曲がり具合で、傾斜が逆向きに見えてしまう。道路脇から見ると本来の向きである緩やかな上りに見えるものの、普通に真ん中を走っていれば下っているようにしか感じられない。坂の奥まで行って反対側を振り返ってみると、今度は上り坂に見えるから、かなり筋金入り(!?)の錯覚である。自動車だと坂の途中でギアをニュートラルにして、どちらに進むか確認するという話がネットにあったが、その時、通りかかった車がニュートラルにしながら一往復半していたところをみると、間違いなく観光客なのだろう(笑) 因みに自転車の場合は、ペダルの重さですぐに判るのである。

再び本道に戻って坂を下り、また道から逸れて「五枝の松」を見に行く。根元で枝分かれして、大きく広がった松の古木は見事。既に2時近くになっていたので、一旦漁港まで降りて昼食を取ることにする。ガイドブックに載っていた店が見付からなかったので、目に付いた店に入って久米島そばとフーチャンプルーで遅めの食事。隣の店は「楽天」を屋号にしていたので、マスコミの取材が入っていた模様(笑)

降り始めた雨はまだ止んでいなかった。今日は降らないという予報を信じたのが間違いだった~と後悔しても遅い。幸いそんなに強い雨ではなかったので、坂を上り、現存する沖縄最古の邸宅「上江洲家」を見学。ヒンプンには祭事用の入口が設けられていて、その他に男女別の勝手口、貴人用の入口と、合計4つもあったというのにはびっくり。さらには中国の風水の影響が各所に見られ、縁起を担ぐために、わざと未完成にしてある場所もあるのだとか。かくして4と9が縁起の良い数字になるらしい(^^;

外に出た頃には雨はすっかり上がっていた。繁華街に戻り、兼城、嘉手苅、儀間の集落を抜け、小さな峠を越えて比嘉の集落に入り、出発地点に帰着。自転車を返却して荷物を預けておいたホテルに戻り、入浴券がまだ有効だったので展望風呂で疲れを癒す。

夕方のバスで空港に入ると、那覇からの機材が到着していないため、折り返し便は遅れるとのアナウンス。那覇からの乗り継ぎが心配になったが、とりあえず他社便ながら最終まで予約を入れて貰えた。1時間近く遅れる見通しになったところで、喫茶券が支給されたので、2階の食堂で泡盛を注文。ちょうど飲み終えた頃にアナウンスで呼び出されたので、延着証明を受け取って、搭乗口に進む。どうにか1時間弱の遅れで那覇からの便が到着。すぐに折り返し便となり、那覇空港では再び反対側のウィングに急ぎ、乗り継ぎカウンターで便を振り替えて貰って、なんとか今日のうちに羽田に帰り着くことが出来た。