チェックアウトしてから、例年通り青島亜熱帯植物園まで歩く。今年はバス停側の門にも、ジャカランダが温室からよく見えるという案内が出ていた。さて、そのジャカランダは満開には少し早かったようだが、既に木全体が青紫色になっていた。今日は朝から天気が良いので、花色も一段と濃く見える。定位置である温室北西角から撮影してから温室に入って2階に上がると、こちら側も花付きが良く開花が進んでいて見事である。バスの時間まで園内を少し散策。屋外花壇はブーゲンビリアとゼラニウムが花盛りで、一月にチューリップが咲き乱れていた場所は木立の下草が広がるのみだった。海辺に出てみると、陸に向かって吹き付ける風に乗って、白い波が次々と押し寄せていた。そしてサーファーの姿も多かった。
バスのルートが少し変わったようで、折生迫を出た後は青島中学校の前を経由して新道に入る。堀切峠では道路工事中で、道の駅から峠までの舗道を整備しているのだとか。道の駅「フェニックス」は明日来ることにして、そのまま日南方面に向かう。油津の市街地の店先に開花中のジャカランダがあったが、大き目の鉢植えだった。車窓からちらりと見えたテクノセンターのジャカランダは、今年も花付きが良いようだ。日南駅近くでは去年見付けた木に加えて、もう一本開花中の木を見掛けたので、場所を記憶に留めておく。終点の一つ手前の飫肥城下でバスを降りて、「おび天茶屋」で昼食。メニューは「おび天蔵」と共通なのだけれど、大木の切り株から作った囲炉裏の周りが座席になっている。といっても夏場だからさすがに火は熾していなかった。おび天とそばのセットで早めの昼食。続いてはバス待合所の近くの店で、厚焼き玉子と緑茶のセットを。
日南市のコミュニティバスに乗って酒谷方面に向かう。緑に塗られた「わかば号」の車体は、ミニバスというよりはワンボックスカーというのだろうか。コミュニティバスなので、路線バスに比べるとこまめに集落を回ってゆく。途中からは乗客が一人になり、道の駅から枝道に入った先の坂元で下車。日南・飫肥からここまで来るバスは午後の2本のみだけど、折り返しのバスに乗れば40分弱の滞在時間が取れるのである。日南海岸は毎年来ているので、主な観光地はほぼ行き尽くしているのだが、ここ坂元にある棚田へはまだ来ていなかったのである。路線バス時代も本数は少なく、バス停からかなり歩くことになるため公共交通で訪れるのは難しかったのであるが、コミュニティバスになって経路が変わったため合計2時間で往復出来るというのを直前に知ったのである。ただし日祝日は運休なので週末は土曜日のみとなる。棚田はバス停がある駐車場のすぐ近くで、案内に従って坂道を上ってゆく。ここの棚田は昭和に入ってから作られたもので、直線状の石垣がほぼ垂直に積まれているため、非常に整然と並んでいるのが特徴である。どの区画も草地となっているためあまり田圃という雰囲気がしないが、上の方まで行くと水が張ってある区画が続くようになった。恐らく上から順次水を張っているところなのだろうけれど、平地よりは田植えの時期が遅いのだろうか。帰りは棚田の中央を通る道を下る。最後に麓の案内板にあった展望台に寄るつもりにしていたら、意外と離れた高い場所にあることに気付いたので、慌てて坂道を下りきってからなるべく急ぎ足で展望台まで上る。木製のデッキに上がると今まで只中にいた棚田の全景を見渡すことが出来る。確かに直線の石垣が立ち並ぶこの風景は独特だね。今回は望遠ズームも持参しているので、ここぞとばかりに中央部を拡大して撮影。予定時刻の少し前にバス停に戻ると小雨がぱらつき出したが、市街地に戻った時にはすっかり止んでいた。
帰りは終点の日南駅前で下車。コミュニティバスの窓から見付けた用水路脇のジャカランダを見に行ってから、日南駅近くで去年見付けたジャカランダ、そしてさらに歩いて午前中に見付けたジャカランダを順に鑑賞。バスの時刻を確認したらちょうど南郷方面ゆきが来るところだったので、そのまま南郷まで乗車。駅前にあるジャカランダは去年と同程度の花付きだったが、道路を挟んだ空き地の木は大きくなっていても今年の花数は少ないようである。ホテルまでタクシーを使おうかと思ったが、それ程荷物が多くないからと歩いてみると、途中の住宅街の庭先にジャカランダをちらほらと見掛けたりする。丘を越えてホテルに入り、早めの夕食はマンゴーづくしのコース。部屋で少し休憩してからロビーに降りて、宿の車で道の駅「なんごう」へ。今年から茶碗山のライトアップが始まっているのは知っていたけれど、路線バスは日没前に終了しているし、さりとてタクシーで往復する程の気合いはなかったので諦めていたのであるが、無料送迎があるのなら行かぬわけには行くまいて。イベントの影響でブレーカーが落ちたりしたらしく、到着した時も茶碗山は真っ暗だったが、イベントも終わっていたので程なく通電。夜のジャカランダは、2004年に静岡駅前の宝泰寺の隣のホテルに泊まった時以来であるが、山の中の暗闇に照らし出された青紫色の花はまた違った雰囲気である。手すりに平らな部分があったので、感度を上げなくてもセルフタイマーで撮影することが出来た。迎えの車を待つ間、夜闇に浮かび上がる緑と青紫の美しさを楽しむ。