2010/05/02(日)

フォロロマーノ

朝からどんよりとした空模様だったので、傘を持って宿を出る。テルミニ駅から地下鉄B線(Linea B)に乗ってコロッセオ駅(Colosseo)で下車し、人影まばらなフォリ・インペリアリ通り(Via dei Fori Imperiali)を歩いて開いたばかりのフォロ・ロマーノ(Foro Romano)に入場。古代ローマの集会所跡で、ラテン語形の"Forum Romanum"が英語のフォーラム(forum)の語源となっている。フォロは政治・経済の中心だった場所で、ギリシャのアゴラに相当する。遺跡には建物の一部、あるいは礎石しか残っていないものも多いが、様々な施設の跡が所狭しと並んでいる。ほぼ中央にある入口から入場し、元老院(Curia)、セプティミウス・セウェルスの凱旋門(Arco di Settimio Severo)などを経て、坂を上ってサトゥルヌス神殿(Tempio di Saturno)から遺跡全体を見渡した後、演台(Rostri)、フォカスの記念柱(Colonna di Foca)を見ながら聖なる道(Via Sacra)を歩く。一旦陽が射すまで天気が良くなったものの、再び空模様が怪しくなり雨が降り始める。一時は傘が必要な程になったが、幸い雨はすぐに止んでその後は徐々に回復していった。ヴェスタ神殿(Tempio di Vesta)やマクセンティウスのバジリカ(Basilica di Massenzio)、ティトゥスの凱旋門(Arco di Tito)と一通り見学したところで、隣のパラティーノの丘(Colle Palatino)に移動。

パラティーノ

ローマの七丘のひとつパラティーノは歴代皇帝が居を構えたことから、宮殿を表す英語の"palace"という語もこの場所に由来する。丘の上にはドムス・フラヴィア(Domus Flavia)やドムス・アウグスターナ(Domus Augustana)といった古代遺跡の他、16世紀のファルネジアーニ庭園(Orti Farnesiani)もある。見晴らしの良い高台も何カ所かあり、フォロ・ロマーノや反対側のローマ市街を見渡すことも出来る。すっかり天気は回復したので、広い敷地内を歩き回っているうちに暑く感じるようになってきた。巨大なスタジアム(Stadio)やドムス・セヴェリアーナ(Domus Severiana)を経て、丘を下って外に出る。サン・グレゴリオ通り(Via di San Gregorio)を歩き、コンスタンティヌスの凱旋門(Arco di Costantino)の横を通ってフォリ・インペリアリ通りに戻ると、歩行者天国となっていて大勢の人がぞろぞろと歩いていた。昨日訪れたヴィットリアーノの横の坂道を上り、カピトリーノの丘(Monte Capitolino)へ。こちらもローマ七丘のひとつで、カンピドリオ(Campidoglio)とも呼ばれる。頂上にあるカンピドリオ広場(Piazza di Campidoglio)はミケランジェロ(Michelangelo)の設計によるもので、奥正面にあるのがローマ市庁舎(Palazzo Senatorio)で、両側にカピトリーノ美術館(Musei Capitolini)がある。

チケットを購入して美術館に入り、まずはカフェテリアに行って昼食を取るつもりだったが、案内図を見てもそちらに通じる階段が見付からなかったので、仕方なく先に館内を見学することになった。本館1階(日米式だと2階)の彫刻や2階の絵画を見て回った後、長い地下通路で広場を潜って新館へ。地下道の分岐の先は、市庁舎の真下にある公文書館(Tabularium)に繋がっていて、アーケードからはフォロ・ロマーノを一望することが出来る。空腹で疲れていたため手早く見学を済ませ、建物を外から回り込んで2階にあるカフェテリアへ。後から確認すると、本館1階の端にある階段から来られるようになっていたようだが、どちらにしても一度外に出る必要があったようだ。予定よりもだいぶ遅い時間になったため、店はかなり混雑していて、順番待ちの行列が出来ていた。ようやく注文していた品が揃ったけれど、座る場所がなくて立ったまま食べる羽目になった。それにしてもイタリア国旗を表すはずのピッツァ・マルゲリータ(pizza Margherita)が、赤のトマトと白のモッツァレラだけで、緑のバジルが入っていないなんてありなんだろうか。結局食事時間は休憩にはならなかったので、近くのテラスで景色を眺めた後、階段に腰掛けて足を休める。

真実の口

丘を下りて暫く歩くと、真実の口広場(Piazza Bocca della Verità)に出る。その名の通り「真実の口(Bocca della Verità)」があるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会(Basilica di Santa Maria in Cosmedin)が面している広場で、教会の鐘楼が遠くからでも目立つ。教会入口では大勢の観光客が順番待ちをしていたが、かの有名な真実の口は外壁の入口付近にあるので、手を入れたりせずに外から見るだけなら行列に並ぶ必要はなかった。教会の裏手にあるチルコ・マッシモ(Circo Massimo)は古代ローマの競技場跡で、細長い敷地の長辺に沿って歩くとサン・グレゴリオ通りに出る。再びコンスタンティヌスの凱旋門の近くまで来て、今度は右手にあるコロッセオ(Colosseo)に入場。ローマ・パスや共通券を持っていると、チケットを買わずに直接入口に行けるので楽である。

コロッセオ

コロッセオは古代ローマの競技場跡で、ラテン語形の"colosseum"が英語のコロシアム(colosseum)の語源となっている。細かな装飾は失われていても、建物の構造は良く保たれている。入口から外周廊下を4分の1くらい歩いたところで階段を上り、上階にある展示を見学してからパラティーノの丘方面の景色を眺める。それからいよいよ競技場の内側に入ると、すり鉢状の観客席跡がずっと上方まで続く建造物のスケールに圧倒される。アリーナの床は崩れ落ちたため、地下の遺構を見下ろせるようになっている。剣闘士と戦わせるための猛獣を、そこに待機させていたらしい。アリーナに沿って一周した後は、階段を下りコロッセオを出て地下鉄の駅に向かう。

一旦宿に戻って荷物を置いて、テルミニ駅構内のセルフサービスの店に行ってみたが、早い時間でも既に混雑していた。空いている席が見付かったとしても、一人だと場所取りも出来ないし、席に残しておけるような上着も持っていない。ガイドブックは宿に置いて来たし、また雨が降り始めたようだし、昼を食べたのも遅かったし~ということで、昨夜と同じ店でパニーノを買って帰ることになってしまった。