2010/05/03(月)

明け方には大雨となっていたが、出掛ける頃にはすっかり止んでいた。今日は地下鉄A線(Linea A)に乗って、オッタヴィーノ駅(Ottavino)で下車。駅から随所に案内標識があったので、地図を取り出す必要はなかった。バチカンの城壁が見えて来たところで、そこが行列の最後尾となっていた。並び始めたのが8時過ぎで、開館時間の8時半を過ぎても列は殆ど動かなかったが、9時前になってようやく断続的に進み始め、約1時間でバチカン美術館(Musei Vaticani)に入ることが出来た。保安検査を済ませてチケットを購入したところで、既に一仕事終えたような気分になったが、見学はこれからである。

アテネの学堂

500年以上の歴史を持つ広大な美術館群は、全ての展示をじっくり見て回ると5時間掛かるらしいので、昨夜までに予習しておいたコースで巡ることに。入口近くのエジプト美術館(Museo Gregoriano Egizio)から始まり、キアラモンティ美術館(Museo Chiaramonti)などの古代彫刻群を鑑賞。一番人集りが出来ていたのはやはりピオ・クレメンティーノ美術館(Museo Pio-Clementino)にある「ラオコーン(Laocoonte)」だった。タペストリーのギャラリー(Galleria degli Arazzi)や地図のギャラリー(Galleria delle Carte Geografiche)などを通ってラファエロの間(Stanze di Raffaello)に進む。巨匠直筆や弟子達による絵が並ぶ部屋が連なり、有名なフレスコ画「アテネの学堂(Scuola di Atene)」もここにあるが、狭い区画に人が集中するので一方通行となっている。混雑する部屋を出て、案内の矢印に従って幾つかの部屋を通った後、急に空間が広くなったと思えばそこがシスティーナ礼拝堂(Cappella Sistina)だった。ミケランジェロの天井画(Affreschi di Michelangelo)と「最後の審判(Giudizio Universale)」はあまりにも有名。前世紀末の修復により、鮮やかな色彩を取り戻している。天井はあまりにも高く、真下から見上げていると首が疲れるので、少し離れた場所から見た方がいいかも。なお、美術館内はシスティーナ礼拝堂内部のみ撮影禁止となっている。続いてバチカン図書館(Biblioteca Apostolica Vaticana)を見学した後は、混雑する前に早めの昼食をとカフェテリアに行ってみたら、11時を過ぎてもまだ準備中だったので、絵画館(Pinacoteca)を先に見学しておく。11時半になってようやく開いた店で、本日のランチであるペンネのトマトソース、仔牛とナスのソテーを食べる。

クーポラより

美術館を出て城壁沿いに歩くと、順番待ちの行列は500m近くまで伸びていた。北側からサン・ピエトロ広場(Piazza San Pietro)に入ったところで、サン・ピエトロ大聖堂(Basilica di San Pietro)の行列最後尾がすぐ目の前だったので早速並ぶ。天気はすっかり回復して気温も上がってきたが、春なので暑いという程ではなかった。30分以上待っても殆ど動きがなかったが、午後1時になったら急に流れ出したので、入場制限でもあったのだろうか。並び始めてから約1時間で大聖堂の入口に到達するや、すぐに次の行列に並ぶ。じわじわと進みながら、こちらも約1時間後に窓口でチケットを購入。大聖堂横のエレベーターでテラスに出た後、外側の階段を上ってミケランジェロ設計のクーポラ(Cupola)の内部に入ると、遙か下方の見学者がとても小さく見える。そこから先は内側の階段を上り続けることになるが、体を真っ直ぐ起こせない場所もある。階段の終点は100メートルを越す高さの展望台。ぐるっと一周すれば全方向の景色を眺めることが出来る。眼下の博物館や庭園、サン・ピエトロ広場やテヴェレ川、そしてそれらを取り巻くローマ市街。途中で天気が変わらないか心配していたが、まだ晴れていたのでずっと遠くまで見渡せた。

サンピエトロ大聖堂

帰りは別ルートで反対側のテラスに出た後は、エレベーターで大聖堂の内部に下りる。聖ペトロ(San Pietro)が殉教した場所に建てられたとされる大聖堂は、カトリックの総本山だけあって内部は荘厳な空間となっている。聖ペトロの椅子(Cettedra Di San Pietro)やミケランジェロの「ピエタ(Pietà)」などを順に見て回った後、宝物館(Tesoro di San Pietro)も見学。大聖堂から外に出ると、カラフルな制服のスイス人衛兵が歩哨に立っていた。ファサードの外観写真を撮ろうとしたが、かなり離れないと画角に収まらなかった。サンピエトロ広場を横切り、東端まで行って遠景を撮影してから、地下鉄の駅に戻る。因みにサンピエトロ広場の外縁やそれに続く城壁が、バチカン市国(Stato della Città del Vaticano)とイタリア共和国(Repubbulica Italiana)との国境となっているが、昔から広場は自由に出入りすることが可能である。もっとも今ではシェンゲン協定により、ポルトガルやポーランドまで入出国の手続きなしで行けるようになっているのだけれど。

ラザーニャ

スパーニャ駅(Spagna)で途中下車して、スペイン広場近くのエノテカ(enoteca)で夕食。ギリシャ語の"Οινοθήκη"(ワイン倉庫)に由来する言葉で、イタリアではワイン・ショップ、レストランを指す。イタリアはフランスと並ぶワイン大国だけれど、ボルドーを少しずつ勉強中という状況で殆ど知識がないため、せめて見覚えのある名前を~ということでトスカーナのキアンティをグラスで注文。料理はミックスサラダ(insalata mista)とラザーニャ(lasagna)を選択。店を出た後は、アウグストゥス帝の廟(Mausoleo di Augusto)に立ち寄ってから、地下鉄に乗って宿に戻る。