2010/07/31(土)

ホテルの朝食はコンチネンタル主体だったけど、トルコの胡麻パンや菓子も並んでいて、その中にターキッシュ・ディライト(Turkish delight)もあった。トルコ語ではロクム(lokum)という名前で、“トルコの悦び”という英語名があるくらい欧州では有名らしいが、日本ではあまりにも知られていないため、「ライオンと魔女(ナルニア国物語)」では“プリン”と訳さざるを得なかったらしい。いざ実物を口に入れてみると~ナッツが入っていてこの食感というのは、日本の“くるみゆべし”そっくりだなぁや。

トプカプ宮殿

観光開始は混みそうなところへ朝一番に、ということで宿から歩いてすぐのトプカプ宮殿(Topkapı Sarayı)へ。三方を海に囲まれた半島先端部の丘に建つオスマン帝国時代の宮殿で、古代ビュザンティオン時代にはアクロポリスがあった場所なのだとか。開いたばかりの窓口で入場券を買い、保安検査場を通って「表敬の門(Bâb-üs Selâm)」から入場。第2庭園、「幸福の門(Bâb-üs Saade)」、第3庭園を通って、まずは宮殿の中でも一番混雑しそうな宝物館(Hâzine Odası)へ急ぐ。膨大な財宝の一部を4つの部屋で展示していて、内部は撮影禁止。最も有名なのは巨大エメラルドを3つもあしらった「トプカプの短剣」と、86カラットもある「スプーン屋のダイヤモンド」。後者は展示スペースの前にさらに柵が設けられているので、少し離れた場所からしか見ることが出来ないが、ブリリアントカットの煌びやかさは半端ではないことだけはよく分かった。途中のテラスからボスポラス海峡(Boğaziçi)が眺められたが、午前中は雲が多く遠くは霞んでいたので、対岸はあまりはっきりとは見えなかった。続いてやはり混みそうなハレム(Harem)へ。後宮は別料金なので、チケットを購入して第2庭園側から入場。一つ一つの部屋は小さいものの、タイルやガラスなどによる装飾は見事。ところでここからTwitterに呟いたら、やっぱり「ハーレムなう」になるのだろうか(笑) 第3庭園側から出てバーダット・キョシュキュ(Bağdat Köşkü)など他の建物を見て回る。第4庭園の先にあるカフェテリアで早めの昼食(チキンケバプのサンドイッチ)を取った後、厨房の陶磁器コレクションを見ようと行ってみたら、どうやら閉鎖中だったようなので「表敬の門」から外に出る。

アヤソフィア博物館

次に訪れたのは、第1庭園の北側にある国立考古学博物館(Arkeoloji Müzesi)。地上階の彫刻群を一通り見た後は、上階にあるトロヤの出土品などをざっと見学。併設の古代東方博物館は改装中だったので、装飾タイル博物館(Çinili Köşkü)の方にのみ入館。第1庭園から「皇帝の門(Bâb-i Hümâyün)」を通って広場に出ると、午後から天気が回復していて暑さが厳しく感じられる。といってもイスタンブルの夏は、東京とあまり変わらない気候なのだけどね。すぐ近くにアヤソフィア博物館(Ayasofya Müzesi)の入口があると思って保安検査場を通ったら、隣接した霊廟だったりする。博物館の入口は「皇帝の門」からは対角の位置にあり、入場街の行列が出来ていた。なお英語の表示はギリシャ語由来の"Hagis Sophia"となっていたので、一瞬戸惑ってしまう。東ローマ帝国時代はキリスト教の大聖堂だった建物で、オスマン帝国時代にイスラム教のジャミイとなったが、トルコ共和国時代に世俗の博物館となり現在に至っている。建物はキリスト教式でありながら、イスラム教式の内装というのは不思議な雰囲気である。坂道になっている通路を登って上階に出ると、壁や天井から発掘されたキリスト教時代のモザイク画を見ることが出来る。

ブルーモスク

スルタンアフメット公園(Sultanahmet Parkı)を挟んでアヤソフィアと相対するのが、スルタンアフメット・ジャミイ(Sultanahmet Camii)で、半球状のドームが連なる建物を6つのミナレット(尖塔)が取り巻いていて非常に優美である。“ブルー・モスク”の愛称があるが、外観が青い訳ではなくタイル等の内装に基づく名前である。内部は巨大な空間となっていて、壁面を覆う青が基調のタイルと、ステンドグラスから差し込む光が見事に調和している。外に出てから隣のヒッポドロームで、古代エジプト、古代ギリシャ、東ローマ帝国由来の3本の柱を順に撮影。ヒッポドロームは東ローマ帝国時代の競技場跡で、現在は“馬の広場”を意味するアト・メイダヌ(At Meydanı)と呼ばれている。その後はスルタンアフメット・ジャーミィが順光条件になる場所を探してみたが、視界が開けた場所を見付けられないまま外側を一周。スルタンアフメット公園からだと建物全体がよく見えるのだけど、この時間だと逆光になってしまうのである。なお、この辺りは観光名所が集中する繁華街で、歩いていると日本語や英語で何度か話し掛けられたりするが、気付かないふりで通り過ぎる。たちの悪い勧誘ばかりという訳でもないのかもしれないが、用心するに越したことはない。

キョフテ

これで今日行く予定の場所は全て訪れたことになるが、まだ時間と体力に余裕があったので、予定を前倒ししてすぐ近くの地下宮殿(Yetebatan Sarayı)にも入る。英語では"Basilica Cistern"と案内されているので、入口がちょっと判り辛いかも。東ローマ帝国時代の地下貯水施設で、階段を下りるとこの季節だと涼しく感じる。ただ湿度は当然高く、足下は滑りやすくなっている。凝った造りの柱が整然と並んでいるのは、まるで荘厳な宮殿のような眺めである。照明は暗めなので写真を撮るのはなかなか難しい。見学通路の一番奥にある柱の基部とされたメデューサの頭部像を見てから、帰りは違う経路で出入り口に戻る。それでもまだ食事には早い時間だったので、宿の部屋で涼みながら休憩してから、スルタンアフメット地区にあるキョフテ(köfte)専門店へ。平たく言えば細長い形をしたトルコ風ハンバーグで、付け合わせはこれまた細長い青唐辛子だけだったので、一緒にサラダも注文しておく。食後は飲料を調達してから宿に戻り、明日に備えて早めに就寝。