2018/05/04(金)

カルスト渓谷

昨日は予報が外れてずっと晴れていたけど、今日は朝から雨。ツアーの集合場所(屋外)に向かう頃には本降りになっていたので、庇の下に入ってガイドの到着を待つ。今日は途中のピックアップもなく、直接郊外に向けて出発。ポストイナを通り越してシュコツャン洞窟群(Škocjanske jame)に着いた時には雨が降っていなくて、晴れ間も広がっていた。再集合まで少し時間があったので、遊歩道を早足で歩いて近くの展望所まで行ってみたら、ちょうど学校団体が滞在中。なんとか人垣の隙間から渓谷を眺めてから、ビジターセンターに戻る。

予定時間を少し過ぎてから見学ツアーが始まったけど、ビジターセンターから洞窟入口まで結構離れていて、道路を渡って通路を下り10分以上歩く。ここから3グループに分かれて洞窟に入ったが、それでもかなりの人数。一昨日訪れたポストイナは洞内トロッコ列車もあり観光化が進んでいるのに対して、世界遺産に登録されているシュコツァンはなるべく人の手を入れないようにしていて、内部も撮影禁止。コース前半は“沈黙の洞窟”と呼ばれていて、鍾乳石の連なる広間を抜けていく。ポストイナ に比べると鍾乳石の量は少ない感じ。ずっと歩いていると、肌寒さは気にならない。後半は洞内を流れるレカ川(Reka)の轟音が響き渡っているため、ガイドによる解説はない。最初に渡るツェルケヴェニコヴィム橋(Cerkevenikovim)は高さ45メートルのスペクタクル。その先も見学通路に沿って灯る明かりが、まるでドラゴンのようにうねっていて、トールキンの映画を想起させる。

シュコツャン鍾乳洞

洞窟出口にあるエレベーターは現在休止中とのことで、見学終了後は谷間の遊歩道を歩いて、100メートル以上の崖の上にあるビジターセンターに戻ることになる。途中、少し寄り道して見学前に行った展望所に立ち寄ると、今度はがら空きで、眼下に広がる雄大な景色を落ち着いて眺めることが出来る。ただしスケールが大き過ぎて、写真では表現が難しい。天気も回復して歩くには暑いくらいだったけど、視界は申し分ない。この辺りはクラス(Kras)地方と呼ばれているが、ドイツ語では“カルスト(Karst)”となり、カルスト地形の名前の元となっているだけあって、石灰岩の露出が目立つ。因みにカルスト地形を表す地理用語、ドリーネ(doline)、ウバーレ(uvale)、ポリエ(polje)はスロベニア語やクロアチア語に由来している。

テランワイン

ビジターセンター内で昼食がわりにワインテイスティング、といっても結構量があったりして。テラン(Teran)という地元品種で、ブルゴーニュのガメイと同様、早熟タイプなのでフルーティー。この辺りは生ハムも名物で、ツアーの説明書ではワインと一緒に生ハムが出てくることになっていたが、実際に出てきたのはチーズだった。シュコツィアンを出て、午後は最初にリピツァ牧場(Kobilarna Lipica)で白馬に乗るというオプションもあったのだけど、本格的な雨が降っていたこともあってパス。そのまま沿岸部に向かって走り続け、アドリア海に面したピラン(Piran)を訪れる。到着した時も雨が降り続いていて、暫く止みそうもなかったので傘を差して歩き始める。

ピラン旧市街

岬の先端にある灯台を回って、丘の上にある聖ユーリ教会(Cerkev sv.Jurija)を経由してタルティーニエフ広場(Tartiniev trg)まで戻ったら、雨が止んで天気が回復し始めたので、路地を巡りながらもう一周。東ローマ時代まで遡る町は、ヴェネツィア共和国だった時代が長く、町並みもその影響が見られる。現在でも標識はスロベニア語とイタリア語で表記してある。その後も天気の回復傾向が続いていたので、ひと頑張りして急坂を登り、町を見下ろす丘の上にある城壁(Mestino obzidje)まで行ったら、“降雨のため閉鎖中”だった。諦めて坂を下りていると、途中で展望が開けた場所があったので、写真撮影。西側の空は相変わらず雲に覆われていたけど、東側は真っ青な空が広がっている。最後にもう一度灯台まで行ってから集合場所に戻る。

ピランの町を出て、イゾラ(Izola)の町を見下ろす高台に見学停車してから帰路に就く。夕方のため道路は一部渋滞していたけれど、リュブリャナ到着はそれ程遅くならなかった。昼は軽くしか食べていないので、解散後は宿の近くで夕食。スープとメインでかなりの量があったけど、名残のギバニツァも注文。ワインはピノ・ブラン。今日はスロベニア東部のワイン産地を巡るツアーに参加したかったのだけど、5月中旬以降の催行だったようで申し込めず、代わりにシュコツャンとピランのツアーにしたのである。結果的にスロベニアの代表的な鍾乳洞を、両方訪れることが出来た。