2022/08/06(土)

漢字の音読みには呉音、漢音、唐音があるけれど、いずれも中国王朝を示すものではなく、「漢」や「唐」は“唐土(もろこし)”くらいの意味らしい。実際、漢音は唐時代の、唐音は宋時代以降の発音に基づくのだとか。「呉音」は唐時代の長安で南方の訛りを指す言葉だったのが転じて、漢音以前に日本で定着していた読みのことを指すようになったようである。呉音と漢音は熟語によって使い分ける場合が多いが(行(ギョウは呉音)事/行(コウは漢音)動)、通常片方しか用いないものもある(未(ミは呉音、漢音はビ)、軽(ケイは漢音、呉音はキョウ)。唐音は「行脚(アンギャ)」など比較的特殊な読みになるが、漢音以降に断片的に導入されたものなので、唐音を持たない漢字も多い(例えば正は呉音ショウ、漢音セイ、唐音はなし)。

というように漢字の読みについて改めて調べるきっかけとなったのが、「茶」の字。呉音がダ・ジャ、漢音がタ、唐音がサで、唐音こそ「茶道」や「喫茶」などの読みに出てくるものの、チャという音は呉音でも漢音でもない「慣用音」になると知って驚く。なんでも漢音と唐音の間の時代の音に由来するのだとか。慣用音とは、呉音・漢音・唐音のいずれでもない音読みの総称で、「茶(チャ)」のように中国の発音に由来する場合もあれば、「消耗(モウ)」のように誤読が定着したもの、「早(サッ)速」のように訓読みに由来するものまであるらしい。

今夜のワインはイタリア・サルデーニャ島のMontessu Isola dei Nuraghi 2018年。サルデーニャは、シチリアに次いで地中海で2番目に大きな島。英語だとSardiniaになり、sardine(イワシ)の語源という俗説もあるみたいだけど、実際はギリシャ語のsardinēに由来するもので、サルデーニャは関係ないらしい。