2023/04/02(日)

英語の"apricot"はアラビア語"al-birquq"がカタルーニャ語"abrecoc"を経由して入ってきたものだが、その元は中世ギリシャ語"berikokkia"になるらしい。つまりは"alchemy"と同じく、アラビア語で定冠詞が付いて欧州に“逆輸入”されたということになる。"b"はアラビア語の月文字で、定冠詞が同化することはないので、語頭が"a-"になっているのはカタルーニャ語(方言形)で"l"が脱落したからのようである。実際カスティーリャ語(スペイン語)では、"albaricoque"になっている。英語でも古くは"abrecock"と、カタルーニャ語に近い形をしていたが、フランス語の"abricot"およびラテン語の別単語"apricum"(陽だまり)の影響で、今の"apricot"になったらしい。

植物としてのアンズの原産地には諸説あり、ヒマラヤから中国にかけての山岳地帯あたりになるらしい。古代ギリシャやローマには伝わっていたようだが、イギリスに入ったのは14〜16世紀頃。そして「アンズ」というのは江戸時代以降の和名で、漢名の「杏子」の唐音読みに由来するらしい。古くは「カラモモ」と呼ばれていたのだとか。