2002/09/04(水)

宿を出て、地下鉄でウォータールー駅へ。予約列車まで時間があったので名残の紅茶~といってもテイクアウトの樹脂製カップ(^^; 欧州の鉄道は、地下鉄等を除いては駅に改札がないので、ホームへの立ち入りは自由になっているが、英仏海峡を越えるユーロスター(Eurostar)だけは新幹線のように専用改札が設けてある。ただしこちらはチェックイン→手荷物検査→出国審査と、飛行機の国際線並の手続き。ユーロスターは、パリおよびブリュッセルゆきが、大体1時間に1本ずつ。それなのに発着線が5つもあるなんて。それでもホームに上がってみると、パリゆきの隣に続行発車のブリュッセルゆきが停まっている。アナウンスで乗り間違えがないように注意していたし、各車両には行き先表示があったから、大丈夫なのかな。ユーロスターの2等車はコンパートメント形式ではなくて2人掛けの座席が並ぶオープンサロン形式だけれども、“集団見合い型”の固定シート。つまりは座席の半分ずつが進行方向とその逆向き。日本では優等列車のほとんどが座席の向きを変えられるけれども、欧州では固定式しか見たことがない。そして指定された座席は生憎の逆向き。窓際だっただけまだマシだけれど、やっぱり少し気分が悪くなった(T_T)

ロンドンを出てからアシュフォード(Ashford)までは在来線区間を走るので、スピードがあまり出せない。しかも第3軌条の集電方式(日本では地下鉄の一部に見られる、3本目のレールからの集電)。さらなるスピードアップを目指して、現在高規格新線を建設中だそうな。車窓が農村風景に変わり、建設中の新線と併走するとほどなくアシュフォード駅を通過すれば、いよいよユーロトンネル(Eurotunnel)へ。ドーバー海峡(Dover Channel)は津軽海峡より幅が広いので、海底部分の長さは当然ユーロトンネルの方が長いのだけれども、地形の関係でトンネル全長では青函トンネルの方がずっと長いとのこと。因みにフランス側ではカレー海峡(Pas de Calais)と呼ぶ。

丁度昼時だったので、車内の売店で軽食を買う。食堂車もあったらしいけれど、遠かったし、行ってみたら満席だったら悲しいので、パス。なお1等車なら飛行機のような供食サービスがあるらしい。売店ではカードが使えなかったので、現金で支払い。請求がポンドでもユーロも受け付けてくれたのは、さすが国際列車。

再び地上に出ると、そこはフランス。同じような農村風景でも、イギリスとは建物の外観が違う。ロンドンから3時間と少しで、終点のパリ北駅(Gare du Nord)へ。時差が一時間あるため、時計では4時間経過したことになる。駅前の乗り場からタクシーに乗り、ホテルに着いてみたら料金はたったの3.5ユーロ。1キロしかなかったとはいえ、日本の初乗りよりもべらぼうに安いことになる。なにはともあれ宿にチェックイン。エレベーターの外扉はこちらも手動だったけれど、内扉は自動で開閉した。部屋の鍵を開けようとしたら、なかなか開かない。しばらく格闘しているうちに思い出す。確かこの手の鍵って、回しきった状態で、扉を少し引っ張らないと開かないんだっけ。やった、開いたぁ! ツインルームのシングル使いで、ベッドの幅や丈が小さかったものの、部屋は広くて快適そう。

一休みしてから、外出。ホテルの所在はモンマルトル(Montmartre)地区で、しかもピガール広場(Place Pigalle)のすぐ近く。最初予約した時は、漠然と北駅から近くて安いところ、くらいの認識しかなかったのだが、ガイドブックを読んでいると、実は歌○伎町に相当する歓楽街の近くであることが判明してびっくり。ロンドンより相対的に治安が良くないといわれるパリの中でも、要注意地区とか書いてあるし。でも気が付いたのが出発直前だから変更が出来なかったし、ネットで調べてみたらエコノミーホテルや楽器店が建ち並ぶ地区だったし、ヨーロッパは通り一つ隔てだだけで雰囲気が変わるということだったので、まぁ大丈夫だろうと思って来てみたら、やっぱり大丈夫そうだった(^^;;;

それでも最初は歓楽街とは反対方向にある地下鉄の駅を利用することに。途中で小さな日本料理店を見掛ける。看板には平仮名で「おおさかやき」と書いてある。なんだかお好み焼きでも出てきそうな名前だなぁや。おや、そのすぐ近くにももう一軒ある。「ふじやま」と書いてあるのかな、と近付いてみたら「ふじやき」になっていた。いったいどんな料理の店だったのだらうか(爆)

ロンドンの地下鉄の券売機は、ボタンを押すか、タッチパネルに触れるかして券種を選択するのは日本と同様だったが、パリの地下鉄の券売機は、パネルに触れても無反応。おや?と格闘するうち、画面下にあるホイールを回して、左右にある「決定」「取消」ボタンを押すシステムになっていることが判明。さて、ホームに行こうとしたら、両端の駅名で案内してあるから戸惑う。ロンドンだったら「南ゆき/北ゆき」のように方面で区別していたから、自分がどちらに向かっていることさえ把握していれば、乗り換えは楽々だったのだが、こちらは郊外にある終点の駅名をいちいち覚えていなけりゃならないのか~と思ったら、通路の分岐部に一応路線にある駅一覧が掲示してあったので、それを見れば判るというシステム。でも何駅目かを覚えていなかったら、立ち止まって暫く眺めなければならない。ロンドンは一つの路線が末端では分岐していることが珍しくなかったのに対して、パリでは分岐がほとんどないからこういうシステムになったのだろうか。

ホームに降りてみると、トンネル断面積がロンドンよりも広く、開削工法による相対ホームは広々としている割に照明が暗い。パリの地下鉄はスリが多いので~と事前情報を気にしすぎかもしれないが、荷物を体の前に持ってきて、辺りにも注意を払っておいても損はないだろう。走行音が聞こえて列車が来たかと思いきや、反対方向。そっか、パリでは地下鉄も右側通行なんだ。そして到着した列車はちょいと古そう。どうやって乗り降りするのかぱっと見で判らなかったので、前の乗客を観察。なるほどドア中央部にある取っ手を回すと、ドアは自動で開くのか。降りるときに回してみると、ドアが想像以上に勢いよく開いたのでびっくり。

地下鉄を乗り継いで、駅から少し歩いて到着したのはエッフェル塔(Tour d'Eiffel)。出来た当時は嫌われていたというデザインも、今ではすっかり街に溶け込んでいる名所。その昔、大学でフランス語初級を習っていた頃、パリの観光名所の名前を一通り教わったのだけれど、その頃は実際に行くことがあるのかどうかさえ考えなかったのに、今その一つを目の前にしているのだなぁと感慨。折角来たのだから、勿論てっぺんまで登ることに。エレベーターを乗り継いで、最上階へ。眼下には石造りの家々がびっしり並ぶ花の都。明日以降訪れる観光地もほぼ全て確認出来た。景色を楽しんでから、中層階にあるカフェで軽い夕食。帰りは違うルートで宿に戻る。1号線は新型車で、第3軌条ながらインバーター制御だったのに驚き。