2003/07/05(土)

利尻といえば、利尻富士。観光バスも半日あれば島内一周も可能だし、登山適期は限られ、晴れ渡っている日も決して多くはない。だから今日のような絶好の登山日和を逃す手はない。利尻登山には2ルートあり、鴛泊(おしどまり)と沓形からのアプローチとなる(3つ目の登山道はは危険なため7合目で閉鎖)。宿泊している沓形からの方が当然便利なのだが、頂上までに危険箇所のある中級コースとなっているため、初級コースの鴛泊ルートを選ぶ。といってもタクシーの営業は7時からなので、路線バスの始発(6:45)に乗るしか方法はない。本当は鴛泊に宿が取れればよかったのだけど、利尻は観光の最盛期ということを知らずに、一月前に宿を探した時には、既に最後の一軒だったので、島内に泊まれただけでも幸運だったと言わざるを得ない。日曜日だと始発バスはもっと遅くなることだし。

バスは集落をこまめに回るので、沓形から鴛泊までの所要は約30分。フェリーターミナルで下車してタクシーを探すが、船の発着時間ではないため1台も停まっていない。ので携帯で呼び出すと、すぐに到着。利尻富士は海から立ち上がる山なので、頂上を極める人達の中には、海水に足を浸してから登るという儀式もあるらしいけど、今回はなにせ時間がないので、行けるところまでは交通機関を利用。市街地を抜けて林道を走れば、10分程で3合目の登山口に到着。ここで登山届けを出していざ、出発!

高山植物

とにかくひたすら上り坂が続く。登りは体力任せといっても、かなり坂がきついんでねぇべか。木々の背丈は徐々に低くなり、やがてハイマツが現れると見晴らしが良くなる。良く晴れているので、島の海岸線は勿論、隣の礼文島までくっきりと見える。それでもまだまだ続く上り坂を、ひたすら登り続ける。高山植物も現れ始め、8合目の長官山でようやく一段落。標高は千メートルを越したが、頂上は遙か彼方。これでようやく半分まで来たに過ぎない。最低限の休息を取った後は、尾根筋をひたすら辿る。避難小屋を通過し、再び上りに転じて、たどり着いたのが9合目。標識にもある通り“ここからが正念場”

利尻富士より

頂上が近付くにつれ、道はさらに険しくなる。急坂もガレ場もある程度覚悟していたとはいっても、こんなにもガレた急坂が続くなんて~(@_@) ここまででも既に5時間のハイペースで登って来たため、体はかなりバテている。9.5合目とはいえ、ここから先も最低1時間を要する。たびたび来られるような場所では決してないし、来たからと言ってこんなに晴れていることは滅多にないことは重々承知している。でもこれ以上続けるのは危険と判断。一人だと何かと不安な上、時間がなくて焦ると怪我の危険もそれだけ増すことになる。折角ここまで来ておきながら諦めるのは本当に残念だけれど、精神的にも参ってしまっているので仕方がない。ここまででも高山植物と眺めは十分に楽しめたのだから、よしとしよう。

下りにかかったものの、予想通りなかなかはかどらない。もともと下りは苦手な上に、疲労もあるとなおさらである。上りもあれだけ大変だったから、下りも下りで大変なのは当然。途中、滑ったり、突きだした枯枝に膝をぶつけたりしたけど、どうにか怪我もせずに麓まで辿り着く。道が緩やかになるにつれペースを上げても、結局4時間近くを要し、下山届けを出したのは午後4時半のこと。頂上まで順調に行けたとしても、7時近くになっていたことになる。タクシーなら帰れないことはない時間だけど、やっぱり無謀な計画だったかも。せめてストックでも用意しておけば道が捗ったのかもしれない。

くたびれ果てていたし、舗道を歩くのは足に非常に負担が掛かるので、タクシーを手配。バスにはまだ時間があったので、利尻富士温泉で降りる。これほど温泉を有難く感じたことはないかも。バスが都合良く立ち寄ってくれたので、そのまま沓形に帰る。宿で一度床に身を投げ出すと起き上がるのも大儀に感じるが、夕食とストレッチだけはこなしてから就寝。