2004/06/19(土)

土日はバスの本数が少ないので心配していたが、フェリーターミナルまでは宿の車で送って貰えたので助かった。島北部に向かうバスは、ハイカーでほぼ満員に。海岸沿いに進むと、土手に様々な花が咲いているのが確認出来る。空港下を経て船泊の集落を抜けると、最北の湖、久種(くしゅ)湖が見える。香深から約1時間で終点の須古頓(スコトン)に到着。今日の礼文は風が強く一日中曇りの予報だったが、スコトン岬は霧の中。対岸の海馬(トド)島までは見えなくて、手前の岩礁がようやく確認できる程度。崖の下という凄い立地の民宿があるが、風が遮られるから案外快適なのかも。

ここスコトン岬が礼文散策路の起点となっている。最も有名なのは島西部海岸を縦断する「(愛とロマンの)8時間コース」だが、危険箇所もあり利尻富士登山なみの装備が必要とのこと。ガイドには“単独行は避けるべし”と書いてあるし、そして何より天候があまり良くないので、無難な「4時間コース」を選択。岬からしばらくは車道がコースになっていて、早速センダイハギやチシマフウロがお出迎え。レブンシオガマやエゾカンゾウも咲いている。しばらく行くと道が分かれ、片方は鮑古丹という入り江経由になっていたが、そちら方面は真っ白な霧の中で、歩くのも困難なほど風が吹き荒れていたので、そのまま車道ルートを歩く。二つのルートが合流したところで、ルートは山道に入る。ゴロタ山の近くを登って降りて、ゴロタの浜へ。ここからは海岸沿い道が続く。海はかなり荒れていて、矮性のハマナスが過酷な気候を物語るが、山側の斜面はエゾカンゾウが黄色い絨毯をなしている。出発してから約2時間で鉄府の集落に到着。

澄空岬

集落を通り抜けたところで、山道に戻って急な上り坂が続く。峠を越したところで視界が開ける。入り江は霧が薄くなっていて、先の方まで崖が続いているのが見える。麓にある西上泊の集落に降りる道に入り、途中で右に曲がると澄海(すかい)岬への入口。島北部の浜中から鉄府、西上泊それぞれに車道が通じていて、観光バス用の駐車場もある。そこから階段を数十段登ったところから、澄海岬の絶景が広がる。そう、ここは知る人ぞ知る、「銀の龍の背に乗って」のプロモーションビデオの撮影地なのである。おぉ、みゆきさんが立っていた斜面の風景そのままだぁ(^o^) 団体客がいなくなるのを待ってから、PDAに登録しておいたMP3ファイルを再生すると、まるで目の前でみゆきさんが歌っているみたい~(幸)

8時間コースは西上泊の集落を抜けて南に続くが、4時間コースはここから浜中までの車道を辿る。礼文は森林限界を超えているので、山肌は笹に覆われている。途中にレブンアツモリソウの保護区があったが、開花時期が過ぎていて既に公開を終了していた。終わりかけの花が遠くから辛うじて見付かる。所要4時間と少しで浜中バス停に到着したが、次のバスまであと1時間もある。ここでじっとしていても仕方ないので、東に歩いて久種湖を目指す。湖の近くに展望台があったので、迷わずに登る。この辺りは霧もほとんどなかったので、入り江全体がくっきりと見える。湖水は最近の雨のせいか、以前見た時に比べると少し濁っている感じがした。船泊集落の入口からバスに乗って、香深のフェリーターミナルに戻る。

カラフトハナシノブ

香深で宿の車で迎えに来て貰うことも可能だったが、折角なので桃岩コース経由で戻ることにする。香深の集落を抜け、急な山道を登り、桃岩展望台へ。本来なら眼前にどどーんと桃岩が見えるはずの場所だが、霧で何も見えない。ここから先は人通りも少なく、霧も深く、風も強く、時刻も夕方前だったので少々不安だったが、コース自体に危険はなさそうだし、携帯も圏内のはずなので、整備された散策路を歩き続ける。視界は10メートル程度だが、すぐ近くの花畑の鑑賞には十分だった。このコースは花の種類が多いのが特長となっているようで、島北部では見掛けなかったカラフトハナシノブやヒオウギアヤメも咲いていた。霧の薄明かりの中、花々が灯火にように光って見えた。雨が降っている訳ではないので傘は必要なかったが、霧で髪がびっしょり濡れてしまう。長い下りの後で急な上りに転じ、再びなだらかな下り坂をひたすら歩けば、3時間足らずで知床の集落に到着。

栗本薫「ドールの子(グイン・サーガ95)」読了