2004/08/21(土)

当初の心づもりだと、今日と明日でコペンハーゲン市内を回って、月曜日に郊外を訪れるということになっていたが、昨日ガイドブックを眺めていたら、週末と月曜日は営業時間が短かったり休みになっている施設が多いことが判明。予定を組み直した結果、今日は先にオーデンセに訪れることにした。宿で朝食を済ませ、歩いてすぐの中央駅に。まずはオーデンセ方面の列車の時刻を確認しようとしたら、方面どころか上下の区別さえなく発車時刻順にずらっと並んでいるだけ。しかも行き先と列車種別(と運転日)だけで途中の経由が書いていない。えーとガイドブックによると、オーデンセに行くのはオーフス(Århus)ゆきかフレデリックハウン(Frederikhavn)ゆきだから、これのことかな。さらにガイドブックによると、IC(インターシティー)などの優等列車は全車指定のため事前予約が必要ということだったので、窓口で“次のインターシティーでオーデンセまで”と言って切符を購入。ところが窓口を離れて券面を確認したら、座席番号はどこにも書いていない。あれっ?普通列車と間違えられたかなと思って“これでインターシティー乗れるんだよね”と別の係員に尋ねても“はいな。次の列車は7番線だよ”とのこと。うーん、そういうものなのだろうか。言われたとおり7番線のモニターを見たら確かにオーデンセゆきのICになっていた。あはは、行き先そのものだったのに見落としていたんだ^^;

列車は既に入線していたので、等級・禁煙など各種表示を確認してから乗り込む。各座席番号の横に小さな電光掲示があって、どれもが"KAN VÆRE RESEVIRET(予約可能)"となっていたし、周りを見回しても座席番号を確認して座っている人はいなかったので、つまりは全席座席指定は可能だが、事前予約は必須ではない、ということだったのかな。それにしても進行方向はどっちなのだろう。固定座席でボックス席ではないから確率は2分の1(?)。えいや、で座ってみたら逆向きだった。空港方面への線路と分岐し、近郊電車が走る複線とは別の複線(線路別複々線)を快走。ほどなく車内検札が来たので少し緊張したが、やはり問題なしだった。

コペンハーゲンがあるのがシェラン(Sjælland)島で、オーデンセがあるのがフュン(Fyn)島。そして大陸と地続きになっているのがデンマークの国土の大半を占めるユトランド(現地語ではユーランJulland)半島。鉄路はこれらの島と半島を繋いでいて、近年はさらにスウェーデンとも架橋によって結ばれている。かくしてシェラン島の西端まで来た列車はトンネルに入って海底を潜る。これだと島が実感出来ないな~と思っていたら海峡の真ん中あたりにある小島で地上に出て、そこからフュン島までは道路と併走する長い橋で渡ったので、車窓の両側が海になった。鉄道がトンネルだった部分の道路は高い吊り橋になっていたので、船の航路を確保するための構造だったようである。所要約2時間でオーデンセに到着。デンマーク第2の都市で童話作家アンデルセンの故郷として知られている。街の名前は女神フライヤが“オーデン(主神)を見よ!”と言った故事に基づくのだとか。

フュン島博物館

駅前の王立公園を抜けて市街中心部にある観光案内所で24時間用の観光フリーパスを購入。ガイドブックの値段より少し値上がりしていた。オーデンセ川の乗船場までさらに歩き、窓口でパスを見せて割引乗船券を購入。船は行楽客で満員で、動物園を経由して約20分の航行。終点の公園から森を抜けて歩くことさらに約30分で、フュン島博物館(Den Fynske Landsby)に到着。ここにはフュン島各地の古い建物が集めてある。農家や風車小屋、煉瓦工場に貴族の別荘まであり、大半は内部も見学可能。一通り見て回ったら3時間を費やしてしまった。

帰りの船はがら空きで家族連れと乗り合わせただけ。それでも街で折り返しの船を待つ客は鈴なりだった。街に戻った時点で既に午後2時を過ぎていたので、各施設の閉館時間で回る順序を決める。まずは駅に戻る途中にあったアンデルセンの子供時代の家(H. C. Andersens Barndomshjem)を見学。ここまでで昼食を取る機会がなかったので、駅のカフェで軽く済ませる。続いて駅の北側にある鉄道博物館(Danmarks Jernbanemuseum)を見学。昔の機関車や客車、新旧のお召し列車やラッセル車など様々な車両が旧機関庫に展示してあった。

アンデルセン像

駅の南側に戻って、アンデルセン博物館へ。(H. C. Andersens Hus)アンデルセンって旅先でスケッチを描いたり、切り絵が得意だったとは知らなかった。そして系図を見てびっくり。"Andersen"というのは名字ではなくて、父称だったんだ。つまりは“Andersの息子”という意味で、アンデルセンの父の名はAnders Hansenだそうな。てことは当時は名字を使う習慣がなかった模様。因みに現地語だと"Andersen"は「アナスン」と発音するらしい。デンマーク語は英語に匹敵するほど、綴りと発音のかい離が激しいらしい。作家の生涯を60のパネルに分けて、関連展示物と共に詳しく解説してあったが、10を過ぎたところで挫折。英語の解説を順にじっくり読んでいくには眠くて足が疲れすぎていた。博物館を出て近くの古い街並みを散策してから、川縁にアンデルセンの銅像を見に行く。

夕食は博物館近くにある、“手頃な値段で郷土料理が食べ放題”の店に行くつもりでいたが、軽食を中途半端な時間に取ってしまったため、そこまで食べる元気は出そうにもなかったので断念。駅に戻って切符を買おうとしたら、既に窓口が閉まっていた。うわっ、土曜日だけ営業時間が短かったなんて。仕方なく自動券売機で買おうとしたら、表示はデンマーク語だけで英語に切り替えるボタンが見当たらない。う~みゅ、日本だったら車内で買おうということになるのだが、欧州だと即罰金だからなぁ。え~い、とりあえず試してみよう。きっとこれが“切符を買う”のボタンで、次はこれが“片道”なのだろうな。で、行き先を選ぶのかな。だはは、かろうじてコペンハーゲンの現地語の綴り(København/ケベンハウン)を知ってたから助かった。とりあえず行きと同じ値段を請求されたから正しい切符なのだろう。

いくらあまり空腹ではなくてもコペンハーゲンまで2時間掛かるので、乗車前に売店でサンドイッチを購入。土曜日の午後は運転本数も少ないので、普段なら毎時2本ある列車も1本のみ。車内検札も無事クリアしたところで、写真の整理。調子に乗って取りすぎたので、不要な画像を消去。宿に帰って洗濯を済ませると即就寝。