2005/05/04(水)

予報では曇りだったが、空はかなりどんよりとしている。予定を明日と入れ替えた方がいいのかもしれないと思いつつ、既に切符類を購入してしまっているから、わざわざ変更するほどでもないだろう。宿を出て駅に向かおうとしたら、自動車専用道路があって多少迷いながらも、レリュラーン(Lelylaan)駅に到着。列車の時刻が迫っているので、すぐに高架ホームに上がったら、何だか雰囲気がちょっと違う。どうやら近郊線専用だったようで、慌てて隣のホームに移動すると、ちょうどハーグ(den Haag)ゆきが入線するところだった。2階建車両の急行で、スキポール空港に停車したら、次はもう今日の目的地ライデン(Leiden)だった。

駅前でバス営業所を探して、ガイドブックに載っていた乗車券&入場券のセットを買おうとしたら、車内で買うべしとのこと。バスが来るまで少し時間があったので、乗り場前で待っているうちに、雨が降り出した。巨大な電光表示で発車番線と系統番号や行き先を案内しているが、間際になっても一向に乗るバスの表示が出て来ない。あれ、なんか観光客っぽい人達に動きが、と思ってその行く先を見てみたら、専用乗り場にちょうど入線したところだった。季節運行だから乗り場が別だったんだね。運転手からセット券を購入して、連接バスに乗車。ライデン市内を出て、隣のリセ(Lisse)に入ってしばらく走ると、キューケンホフ公園(Keukenhof)の入口前に到着。

チューリップといえばオランダ名物の筆頭に上がり、各地で球根生産が盛んだが、実は開花シーズンのチューリップ畑を訪れても、その時に花が見られる場所はかなり限られている。というのも、花を咲かせ続けるとそちらに養分が取られてしまうので、球根肥育を目的とする場合は、花色だけ確認したら開花後すぐに摘み取らねばならないからである。しかしそれでは観光客ががっかりしてしまうので、観賞用にチューリップを咲かせ続けているのがキューケンホフなのである。しかも公園自体の公開が、チューリップの季節のみなので、まさにチューリップを見せるためだけの施設と言っていいだろう。なお、キューケンホフとは英語で言うキッチン・ガーデンのことらしい。

キューケンホフ

かくしてはるばるやって来たキューケンホフであったが、無情にも雨。しかも肌寒い。といって今更引き返す訳にもいかないので、とにもかくにも入園して案内所で地図を貰う。あれれ、思ったほどチューリップがないような。室内展示を見ているうちに、雨も上がったようなので、右回りに園内を見てゆくことにする。と、木々の下に色別に植えられたチューリップが、連なって咲いている。畑のように一面びっしりではなく、あくまでも庭園としてチューリップを見せるのが、キューケンホフってことなのかな。チューリップの帯はどこまでも続いていゆき、ムスカリの青も川の流れのようにそれを縁取る。写真を撮ってもこの空間の一部を切り取ることにしかならないけど、気の向くままカメラを向けてシャッターを切る。曇り空だから色は鮮やか目に出るのだろうか。でも光量が不足しているから、シャッター速度の辛いこと。ブナの大木の並木道やツツジ園を通り抜けてゆく。

あれれれ、まだ昼にもなっていないというのに、電池切れ間近のサインが。う~みゅ、感度調整したりして、普段よりも長めに液晶モニタを使っているからなのだろうか。一眼レフと違って、レンズの出し入れ、ズーム、設定変更にまで電池を使うから消耗が早いのだろうけど、って液晶モニタが案外一番効いているのかな。フラッシュ禁止モードにしていれば、暗い時に自動的に感度を上げてくれるかと思いきや、ただ光量不足と警告が出るだけ。フラッシュを焚くと当然電池の減りが早くなるし、白く飛んだ写真しか撮れないから、なるべく感度で対応しようとするから操作が面倒だし、液晶点灯時間も延びてしまう。何はともあれ、今更アムステルダムの宿に戻って充電し直す訳にもいかないので、一時的な機能低下であることを期待して、だましだまし(?)使うしかないのだろうな。なるべく無駄ゴマ使わないように節約しながら。

チューリップ畑

園内のチューリップは色別に植えられているのがほとんどだが、あえて同系色を集めてパンジーやスイセン等と混植している所もあり、それはそれで見事。ピンク系統ではタイツリソウの仲間まで登場していたのにはびっくり。それにしても電池の残量が気になる。このコマは本当に撮影するべきなのか迷いながら撮影するなんてのは、久々の感覚。この先に思いもよらない素晴らしい見所があったらどうしようなんて、心配しつつ。風車があったので上ってみたが、それほど視界が開ける訳でもなかった。それよりも小高い丘の上から見える公園に隣したチューリップ畑に、ちょうど花が咲いている区画があって、ぎっしりと敷き詰められたような花が原色の絨毯を織りなしていたのが凄かった。昼近くになると客も増えてきたので、花だけを写すのがなかなか難しくなってきた。

園内を半分以上見終わったところで、昼食を取ることに。セルフ式だと伝票とかチップとか気にしなくていいからね、って観光施設の中だからそれなりに高いかも。シュニッツェルを注文してみたが、これってオランダではなくてもそっと南の方の料理じゃなかったっけ(^^; 再び外に出て、幾何学庭園や古式庭園などを回ると、大体園内の主立ったところは見たことになるので、見残しがないようもう一回軽くまわってから、バス乗り場に向かう。へぇ、日蘭友好記念の、自然庭園風の区画なんてのもあったんだ。門を出るまでどうにか電池は保ってくれたようだ。それにしても今日は、一体何万株のチューリップを目にしたことか(^o^)

バスでライデン駅前に戻り、市内観光。運河のある街並みを少し散策してから、風車博物館(Molenmuseum de Valk)へ。これは風車の内部を公開しているもので、風車の仕組みや歴史などの展示があって、階段と梯子をひたすら登ると、市内を見渡す展望台に出る。この梯子がなかなか急だし、展望台の木組みも足元が透けて地上が見えていたりするのだが、確かに眺めは良いので登っただけのことはある。羽根が回る部分は立ち入り禁止になっているがそれは運河の方なので、街並みの方向はしっかりと見ることが出来る。降りる時は後ろ向きじゃないと無理だなこりゃ。

跳ね橋と風車

下界に戻って、散策を続ける。駅近くにはもう一つ風車があって、そのすぐ近くには運河に架かる跳ね橋という、いかにもオランダ的な風景になっている。これを撮影出来たらから、今日のところは満足かな。本当は街並みをいろいろ撮影したかったのだけれど、途中で全く撮れなくなってしまうような憂き目にあわなかっただけでもよしとしなければ。

ライデンは大学街ということでライデン大学(Universiteit Leiden)の本館を探してみるが、ガイドブックの写真のような建物は見付からなかった。諦めて近くにあったライデン大学付属植物園(Hortus Botanicus Leiden)に入る。ここにはシーボルトが日本から持ち帰った植物が植えられた日本庭園があり、その庭先にはシーボルトの胸像もあった。そういえばここに来る途中に、「シーボルト住居跡」という看板があったり、俳句が掲げられていたりと、何かと日本と縁がある街のようで、ガイドブックによると市内には「出島通り」なんてのもあるらしい。

ライデン駅に戻るとクロケット(kroket)の自動販売機があったので、試しに買って食べてみたら熱々で美味だった。列車に乗ってレリュラーン駅に帰り着いたところで、構内を少し探索。予想通り有人窓口はなかったが、切符を扱うコンビニは朝7時から開いていたようだし、現金が使える旧式券売機もあった。結果的には昨日切符を事前に買っておかなくても良かったことになるが、なにせ欧州では日本みたいに車内で精算というのが気軽に出来ないからね。オランダでは、イギリスのように問答無用で高額の罰金、ということにはならないらしいが、車内で切符を買ったら2~4倍の運賃を請求されるって、日本だと罰金レベルという話も(-_-;) 宿に帰ってフロントで状況を尋ねてみると、予約の確認は取れたとのことで一安心。結局、宿に帰った時点でも、カメラの電池はまだもう少し残っていたようだ。一眼レフのように残量が半分を切ったところで知らせてくれれば、もう少し焦らずに済んだんだけどね。次回は予備バッテリーも持って来るべきなのかな。