2005/05/05(木)

今日はうって変わって良い天気。近くの駅まで歩いて行って、市電に乗車。一昨日準備しておいたアムステルダム・カード(24時間用)は、市内各施設と公共交通の両方が利用出来ることになっているが、実際に購入してみると、入館用ICカードと一日乗車券の2つになっていて、それぞれ最初の使用から24時間有効。このため、必ずしも両方を同じ日に使わなくてもいいらしい。運転手から一日乗車券の方にスタンプをもらって、中心部に向かう。5連接の新しい車両で、次の停留所も車内に電光掲示されるので、目的地の電停の名前を覚えていれば、降り損ねる不安はない。

西市場(Westermarkt)で下車して、少し歩いたところにあるのが、アンネ・フランクの家(Anne Frank Huis)。終戦間際に発見されて連行されるまでの間、一家を含め8人が実際に隠れ住んでいた家が博物館として公開されている。いつでも入館待ちの行列が出来ているということだったので、開館直前に行ってみたが、既に十数名が待っていた。入口は増築されたところにあり、展示を見ながら順路に沿って進むと、「表の家」から本棚に隠された扉を通って「裏の家」に入る。当時のまま残されているのは屋根裏だけだったが、裏庭のマロニエの大きな木は、今も白い花を咲かせている。

アムステルダム西教会

すぐ近くにある西教会(Westerkerk)は鐘のある塔の部分だけが公開されていて、ガイドツアーに参加すれば上まで登ることが出来る。ボートハウスの浮かぶ運河の畔を散策した後に通り掛かると、ちょうど受付開始時刻だったので、一番乗りで申し込む。アムステルダムで展望が得られるのは、どうやらこの西教会ともう一カ所だけのようだが、夏場以外はここだけということになるみたいである。昼からはもっと混みそうだが、朝一番の参加者は5名。ガイドの案内に従って、鐘やそれを鳴らすための仕掛を見学しながら、階段と梯子を上り続けると、四方が見渡せる展望台。昨日だったら天気が悪かったので、ここまで眺めは良くなかったのだろうね。ガイド・ツアーゆえ、一息ついたらもうすぐに降りる時間。昨日の風車のような急な梯子をひたすら下りて、受付に着いた時にはもう次のツアーの開始とかなり慌ただしいようだ。

運河を幾つか渡って、旧市街に入る。途中見掛けた路面電車はどれも新型車だったけれど、古い車両はもう残っていないのかな。ウィンカーが付いていたのには驚いた。路線網が複雑で、分岐が多いからかな。王宮(Koninklijk Paleis)に近付くと、バグパイプの調べが。えっ?ここはスコットランドではなくて、オランダだったはず。偶然なのか、ここにもキルトで正装したストリート・ミュージシャンがいたのであった。一瞬、昨日の朝までいたエジンバラに引き戻されてしまった(^^; その王宮はといえば残念ながら、どうやら休業期間中だった模様。王宮前はダム(Dam)広場となっているが、これはアムステル(Amstel)川の流れを制御するために作られた築堤で、アムステルダムの礎であり、街の名前の由来でもあるのだとか~ってLとRの違いはどうなっているのだろうか(^^;;; 大勢の観光客で賑わう広場に面した新教会(Nieuwe Kerk)を見学してから、カルフェル通(Kalverstraat)の商店街を抜けて、歴史博物館(Amsterdam Historishc Museum)に入る。現在の街を念頭に各時代の地図を見てゆくと、発展の様子が分かって面白い。

シンゲルの花市

歴史博物館のすぐ隣がベギンホフ(Begijnhof)という修道院施設。緑豊かな中庭を周りに古い瀟洒な建物が取り囲んでいる。団体客お断りの私有地で、個人観光客は多かったが静かが時間が流れる空間だった。スパイ広場(Spuiplein)を通り抜けて、運河を渡るとそこは、シンゲルの花市(Singel Bloemenmarkt)。チューリップの花束から、花苗、球根、園芸用品を売る店が、運河沿いに軒を連ねている。もう少し長い滞在だったら、思わず花束を買っていたかもしれない。ムントの塔(Munttoren)が見下ろすムント広場(Muntplein)と、画家の銅像があるレンブラント広場(Rembrandtplein)を経由して散策は続く。途中で見付けた自販機で軽食を調達。アムステル河畔に出てマヘレの跳ね橋(Magerebrug)を渡り、市庁舎の近くを経由して、植物園(Hortus Botanicus Amsterdam)へ。こぢんまりとした敷地内だったが、この季節は至る所になにがしかの花が咲いている。

牛乳を注ぐ女

近くの電停から次の目的地に直行する系統に乗るつもりだったが、1時間に2本の運転で、しかもさっき出たばかりだったので、一旦中心部に戻って乗り継ぎをすることに。ホッベマス通り(Hobbemasstraat)で下車して、王立美術館(Rijksmuseum Amsterdam)に向かうと、入口には入館待ちの行列が出来ていた。どうやら入場制限を行っているみたいで、大分待たされるのかと思ったら、10分くらいで中に入ることが出来た。銀製品、陶磁器、ドール・ハウスなどを順に見学すると、後半は絵画部門。フェルメール(Vermeer)の代表的な作品の他、同時代の様々な画家の作品が展示してある。やっぱりこの時代のチューリップは、モザイク病を発症しているものが多く描かれているなぁ。当時は変わった新種として珍重されていたという話だから。おぉ、この静物画の金属やガラスは、まるで写真のような質感だな。そしてこの美術館の目玉はなんといっても、レンブラント(Rembrandt)の「夜警(Nachtwacht)」。なにせこの絵のためだけに、部屋が丸ごと一つ充てられているくらいなのだから~って、実物を見てびっくり。6畳間よりでかいんじゃないだろうか。部屋の片隅には、同作品の小さな模写も展示してあった。

ずっと歩き続けていたので、近くの店に入って休憩。オランダにはいろんな種類のパンケーキがあるが、折角だから甘くない方のゴーダチーズのパンケーキを注文。一緒に紅茶を頼んだら、湯の入ったガラス容器にティーバッグと砂糖と小菓子がくっついて出て来た。イギリスじゃないから、ミルクはデフォルトではないってことなのかな。一息ついたところで、ゴッホ博物館(Rijksmuseum Vincent Van Gogh)へ。こちらは待たずに入ることが出来た。年代順に作品が並べられているので、初期の暗い色遣いから、鮮やかな色彩へと変わっていったのがよく分かる。そして「ひまわり(Zonnebloem)」も一つだけだが展示されていた。後の作品で、同じく黄色い背景に描かれたアイリスも、その色の対比が印象的だった。

ライツェ広場(Leidseplein)まで少し歩いてから、路面電車に乗って中央駅(Centraal Station)に出る。東京駅丸の内口はこの駅舎を模して作られたもの、ということで確かに東京駅に似ている。一日券には運河巡りも含まれていたので申し込もうとしたら、一時間待ちと言われた。う~ん、それだと宿に帰るのが9時頃になってしまう。夏時間だからまだ明るいとはいえ、時間つぶしをするのもしんどいので、パスして郊外の宿に戻る。なおこの宿の所在地は、レンブラント公園(Rembrandtpark)の夜警通り(Nachtwachtlaan)だったりする(笑)。