2005/08/21(日)

当初はまずミュンヘン市内の観光を済ませるつもりだったけれど、ガイドブックによると今日と明日は休館日が多いので、その情報に従って予定を組み直し、今日は郊外を先に訪れることにした。朝食を済ませてから宿を出て駅に向かって歩いていると、小雨がぱらついてきた。あれれ、昨日確認した情報では、しばらくずっと天気が良いはずだったのに。山の方だと平地以上に天気が崩れやすいのかもしれないけれど、折角早起きしたということもあり、そのまま窓口で乗車券を購入。発車まであまり時間がなかったので、急いで指定されたホームに行ってメミンゲン(Memmingen)ゆきの列車に乗り込む。あれれ、往復と念を押して買ったはずなのに、片道切符になっている。まぁ、行き先が違っていなかっただけでもいいか(汗)

明るくなるにつれ天気が回復したりしないかな~という期待も空しく、車窓の視界は悪く、時折雨脚が強くなる。1時間足らずで到着したブッフロエ(Buchloe)でローカル線に乗り換え、さらに山に向かって走り続け、終点のフュッセン(Füssen)に到着したのはミュンヘンを出てから2時間後のこと。ここから目的地まではバスに乗ることになるが、雨の中でも既に長い行列が出来ていた。てゆーか、かなり雨が強くなっている。ほどなくバスはやって来たが、乗車券は運転手から乗車時に買うことになっているので、なかなか列は進まない。ようやく乗り込んだ連接車は牛詰めで出発。

ホーエンシュバンガウ(Hohenschwangau)までは3kmなので、バスだとわずか10分。晴れていたら十分に歩ける距離だけれど、この雨ではとても歩く気にはなれない。ここは世界的に名高いノイシュバンシュタイン城(Schloss Neuschwanstein)の麓。城の見学はガイドツアーのみなので、下車したバス停から少し歩いたところにあるチケットセンターで予約をすることになっている。電光掲示に示された一番早い予約時間によると、日本語も選べるオーディオツアーより英語ツアーの方が早かったので、迷わず英語を選択。折角ここまで来たからにはと、ホーエンシュバンガウ城(Schloss Hohenschwangau)と両方の見学を申し込む。

ホーエンシュバンガウ

小高い丘の上にあるホーエンシュバンガウ城は、チケットセンターがある麓の村からは歩いて約20分。観光馬車という選択肢もあったけれど、アルプ湖(Alpsee)を見ながらゆっくりと坂道を歩くことにする。城に着いた頃には一度小降りになった雨もまた強くなってきて、予約した時間までまだ間があったので、とりあえず城の向かいにあった土産物屋で雨宿りしてから、周辺を少し見て回る。城の前の小さな広場は、時間待ちの人々でごった返していたが、テントの下に場所を見付けてさらに時間待ち。ようやく順番が来たところで城の中に入る。ホーエンシュバンガウ城はバイエルン王ルードビヒ2世が子供時代を過ごした城で、内装は懐古調の中世風になっていて、伝説の場面が多くの壁に描かれている。建設中のノイシュバンシュタイン城をこの城の窓から眺めて過ごしたという話だけれど、今日は視界が悪くて全然見えない...

帰りは村に真っ直ぐ降りて、ノイシュバンシュタインゆきのバスを待つ。こちらの城は村を挟んで反対側のかなり高い所にあり、坂道を歩いて約40分。相変わらずの雨なので迷わずバスを選ぶ。今度も長い行列が出来ていたが、間もなくやって来たバスに乗り込む。バスの終点から城まではまだ少し歩くことになるが、バス停近くに城を眺める名所となっているマリエン橋(Marien Brücke)があったので、立ち寄ってみた。ら、吊り橋には人ばかり滞留していて、肝心の城は雨雲に隠れてほとんど見えない(;_;)

城までの道はかなりの勾配を降りて登ることになったが、近付くにつれ徐々に偉容が明らかになって来る。城の前にはやはり時間待ちの人達で溢れかえっていたが、こちらは雨をしのぐ場所とてなく、時間が来るまで傘を差したままじっと耐えるしかない。夏場だったから寒くなかっただけでもマシだったのだろうか。時間になってようやく入ることが出来た城は、壮大なスケールで、中世の物語を好んだ王の理想を具現化したものとなっている。歌劇「タンホイザー」に出て来る洞窟まで再現しているのにはただ驚くばかり。専用の歌劇場のセットもかなり凝ったもの。この城のために王国の財政は傾いてしまったようだが、そのおかげで現代に素晴らしい観光名所が残されたというのは、ベルサイユ宮殿と事情が似てなくもないかも(^^;

ノイシュバンシュタイン

城に滞在している間に天気は少し回復して、麓の平野も雲の間からかいま見えるようになったので、バス停に戻る前に再びマリエン橋に行ってみたら、さっきよりは城がよく見えるようになっていた。といっても相変わらず雨雲で少し霞み、本来なら背後に広がっている平地もほとんど見えない。まぁ、天候ばかりはどうにもならないので、城の全貌が確認出来ただけでもよしとしよう。

フュッセン

麓の村までバスで降りて、さらにバスを乗り継いでフュッセンに戻る。まだ時間があったので、フュッセン市内を散策。ロマンティック街道の終点に位置する街で、一軒ずつカラフルに塗り分けられた建物は、以前訪れたアイルランドを思い出させる。中庭の壁一面に騙し絵が描かれたホーエス城(Hohes Schloss)と、「死の舞踏(Totentanz)」という絵で知られる市立博物館を見学。リュート発祥の地ということで、様々な弦楽器が製造工程の紹介と共に展示されていた。晴れていれば見えたはずのアルプスの山々までは無理だったものの、中世の面影を残す街並みは十分堪能することが出来た。

フュッセンからの列車は一時間に一本で、ミュンヘンとアウクスブルク(Augsburg)ゆきが交互に運転されているが、帰りはミュンヘンへの直通列車だった。足はすっかりずぶ濡れになってしまったが、それでも今日見たいと思っていたものは一通り見ることが出来た。走っているうちに車窓はどんどん明るくなり、雲の切れ間から青空さえ覗いてきた。う~ん今頃天気が回復しても(^^;;; このまま明日の天気が良くなるのなら、もう一度ノイシュバンシュタインを訪れてみたかったが、ミュンヘン中央駅前のネットカフェで確認したら、明日も明後日もこの辺りは天気が悪いということだったので、当初の予定通り明日はおとなしくミュンヘン市内観光をすることにした。それにしてもこの期に及んで日本の天気予報サイトでは、ミュンヘンもフュッセンも「晴れ」のまま。やっぱり現地の天気予報サイトの方が正確なのだろうか。