宿を出た頃には降っていなかった雨が、駅前をうろついているうちにぽつぽつと降り出した。電停で一日乗車券を買って路面電車を待とうとしたら、何か様子が変。掲示をよく見ると、駅周辺の工事のため、運転系統を大幅に変更~みたいなことが書いてあった。慌てて代替バスの乗り場に回って、ちょうど停まっていたバスに乗り込む。終点のアレクサンダー広場(Alexanderplatz)まで出てみると、雨脚はさらに強まっていて既に土砂降りレベル。屋根の下で暫く待ってみたが一向に弱まらないので、仕方なくそのまま歩き出す。フェルディナント橋(Ferdinand Brücke)から運河を辿ると、そこはバイエルン国王の夏の離宮ニンフェンブルク城(Schloss Nymphenburg)。
売店で全館共通チケットを買って、まずは城の内部へ。大広間や居室、そして美人画ギャラリー(Schöheitengalerie)を見て回る。城を出た後は背後の庭園に出て、内部を中国趣味で固めたパゴダ(Pagodenburg)や浴場(Badenburg)など散在する施設を見学。ざっと回っただけでも3km近くで、城に戻った頃には雨は上がっていた。予想以上に時間を費やしてしまったので、他の施設の見学はパスして、路面電車と地下鉄を乗り継いで街の中心に出る。
雨がまた降り出さないうちに、新市庁舎(Neues Rathaus)の展望台にエレベーターで上る。「新」とはいっても相対的なもので、実は百年前の建物、というのは欧州ではよくある話。見渡すミュンヘンの街は、レンガ色以外の屋根が結構多かった。遠くの山までは見ることが出来なかったが、市内北方にあるオリンピック塔(Olympiaturm)は確認出来た。下に降りて、その名も「議会地下貯蔵庫(Ratskeller)」という店に入り、遅めの昼食を取ることにした。ミュンヘン名物の白いソーセージというのも気になったが、分量からしてそれを注文すると昼食がソーセージだけになってしまうので、通常の食事メニューを選択。ビールは苦手なので普段は自分から飲むことはないのだけれど、ドイツ料理なのだからとレーベンブロイ(Löwenbräu)を注文。
食後はバイエルン国王の居城レジデンツ(Residenz)を見学。見事な部屋の数々が公開されているが、内装の多くは戦後に復元されたもの。天井画などの一部は白く塗り込められたままになっている。壮麗なホールには空襲前と後、修復中の写真も展示されていた。城内の宝物庫も見学して外に出ると、再び雨になっていたが、北隣の宮廷庭園(Hofsgarten)を見学してから、市内散策を続ける。
新市庁舎を通り越して、ビクトアリエン市場(Viktualienmarkt)に出て、ガイドブックに載っていたハチミツ専門店を探し出し、ハチミツワインで一服。午後5時15分前になったところでマリエン広場(Marienplatz)に戻り、新市庁舎のからくり時計が動き出すのを待つ。毎正時という訳ではなく、夏場は11、12、17、21時の4回だけ。広場には多くの観光客が、その時を今かと待ち受けている。果たしてその時刻になったが、しばらくは鐘の音が響いただけで、実際にからくりが動き出したのは3分後。上下2段式になっていて、等身大人形が御前馬上試合と踊りを連続して披露。終わった後も鐘による音楽が続き、全て終わった時には15分近くが経過していた。
観光客が散らばりだした広場を後にして、聖母教会(Frauenkirche)を見学してから、バウムクーヘンの老舗「クロイツカム(Kreutzkamm)」(本店はドレスデン)で休憩。注文したのは言わずもがなのバウムクーヘン(Baumkuchen)。「年輪」が一部崩れていたのは手作りならではのお茶目ということにしておいて、日本のものよりもしっとりした食感だった。ガイドブックをよく読むと聖母教会の塔の公開時間は5時で終わっていたので、繁華街ノイハウザー通り(Neuhauser Straße)を通って駅前に戻り、宿に帰る前にネットカフェに立ち寄る。だはは、キーボードからウムラウト付き文字を入力したら、"ü"が"üになってしまった(^o^;) う~ん、やっぱり低気圧がしばらく居座り続けているみたいだ。
夜中に激しい雨音に目を覚ます。どんな豪雨かと窓に駆け寄ると、昼間の清掃で窓が開きっぱなしになっていて、近くの雨樋の水音が部屋にまともに飛び込んでいただけだった(^^;