2005/08/23(火)

今日も天気が悪いので、おとなしくミュンヘン市内の美術館巡りでもしておこうかとも思ったが、やっぱりじっとしていられない性質なので、中央駅から急行列車に乗って隣国の入口ザルツブルク(Salzburg)に向かう。ひと時代前なら国際列車ということで、国境通過前に車内でパスポート検査があったのだろうけれど、今やシェンゲン協定国間の移動になるので全くの国内扱い。ザルツブルクまでは無停車で所要約1時間半。駅構内の観光案内所でザルツブルク・カード(24時間用)を購入してから、街の中心部に向かう。

ミラベル宮殿

まずは新市街にあるミラベル宮殿(Scloss Mirabell)から見学。公開されているのは、中に入って手すりの彫刻から名付けられた天使の階段(Engelsstiege)を登った先にある大理石の間(Marmorsaal)まで。宮殿に隣接した庭園は映画「サウンド・オブ・ミュージック」に登場~という場所なら市内の各所にあり、専門のツアーもあるようだ。整然と手入れされた庭園は、旧市街を見下ろすホーエンザルツブルク城塞(Festung Hohensalzburg)を借景としている。

連日の雨で濁流と化したザルツァッハ川(Salzach)を渡って旧市街に入り、メンヒスベルク(Mönchsberg)のエレベーターに乗って展望台へ。旧市街と新市街を一望に出来るが、次第に強まる雨の中、遠くの景色は雲に隠れてしまっている。丘の上には近代美術館もあったけれど、そのまま下に降りて旧市街に戻る。幅は狭くても目抜き通りとなっているゲトライデガッセ(Getreidegasse)を歩き、通りの中程にあるモーツァルトの生家に入る。家族や子供時代にまつわる品々や、実際に使用していた楽器も展示されていた。

ザルツブルク

通りを抜けてレジデンツ広場(Residenzplatz)に出る頃には雨も上がっていたので、これ幸いとケーブルカー(Festungsbahn)に乗ってホーエンザルツブルク城塞に向かう。城壁からも新旧市街を見下ろすことが出来るが、メンヒスベルクの後ろ側の平原まで見渡せる。雲が途切れて背後の山々も中腹あたりまで姿を現してきた。案内に従って城塞に入ると、全員にオーディオガイドを持たせ、人数を区切って係員が誘導する方式になっていた。日本語ガイドを選択して、順路を辿ってゆく。ザルツブルク地方はオーストリアに併合されるまでは大司教が治めていたので、城塞や宮殿は全て大司教のものだったのだとか。長い間に少しずつ建て増しされていった城塞は、三十年戦争にも持ちこたえたとのこと。「塩の城」を意味する地名の通り、塩を産する地域なので籠城にも有利だったのだとか。城塞に続いて資料館の見学も終えて外に出ると、再び雨が降り出していた。麓に降りて、ケーブルカーの乗り場近くの「シュティーグルケラー(Stieglekeller)」で遅めの昼食。自家製ビールを出す店だったので、そちらも注文してみる。

レジデンツ

映画にも出て来たザンクト・ペーター(聖ペテロ)墓地(St. Peters Friedhof)を経由して、大司教の居城だったレジデンツ(Residenz)へ。オーディオガイドに従って皇帝の間(Kaisersaal)、白の間(Weiß)などを見て歩くが、有名なのは騎士の間(Rittersaal)で、子供時代のモーツァルトが大司教の前で演奏したのだとか。大聖堂(Dom)に立ち寄ってから、一服してさらに観光を続けるつもりだったが、無情にも雨は激しくなるばかり。モーツァルトの住居など、他にも見たい場所は何カ所かあったが、旅行中盤で風邪をひいたらもともこもないので、切り上げて駅に戻ることにする。といってもバスに乗るためには川を渡らねばならないので、折角ならと映画にも出て来たモーツァルト小橋(Mozartsteg)を利用する。

次の列車はザルツブルク始発だったので、早めにホームに行って車内に入ろうとしたら、ほとんどの車両が禁煙/喫煙が半室ずつで、仕切はないに等しかったのには驚いた。なんとか全室禁煙の車両を見付けて腰を落ち着ける。主要駅停車タイプの急行は、途中何度か信号待ち停車したため10分以上遅れたが、夕方のミュンヘンに無事帰着。ネットカフェに立ち寄ってから宿に戻って、明日の移動に備える。