そして今日は曇天。朝の市立公園(Stadtpark)を散策して、ヨハン・シュトラウス像を見てから、街中を突っ切り、例によって開館直後の王宮(Hofburg)からスタート。見学コースは1階の銀器コレクションから。宮廷に所蔵されていた膨大な銀器、磁器、テーブル飾りがぎっちり展示されている部屋の数々を回りながら、オーディオガイドを一通り聞くだけで1時間以上を要する。煌びやかなディナーセット、フランス王から贈られた豪華な磁器セットや、皇后エリーザベトの旅行用品もある。解説によると古い銀器は、新しい銀器に作り直されたり、財政危機の折に銀貨に鋳造されたりして、ほとんど残っていないらしい。一通り見終わって2階に上がると、まずはシシィ博物館(Sisimuseum)から。シシィ(Sisi)とは皇后エリーザベトの愛称。展示物と解説で波乱に満ちた生涯を勉強したら、皇帝の部屋、シシィの部屋、アレクサンドルの部屋と順路は続く。皇后が体型を保つための体操室もそのままに残されていた。
予想よりも見学に時間を要したため、王宮を出た後はすぐにホテル・ザッハー(Sacher)に向かう。その名の通り、ザッハートルテ(Sachertorte)の本家本元。言うまでもなく観光客に人気が高いので、今日は気合いを入れて昼前に喫茶室に入る。中は広いので待たされることはなかったが、既に満席に近かった。お目当てのザッハートルテとウィーン名物の泡立てたミルクの入ったコーヒー、メランジェ(Melange)を注文。日本人には甘ったるすぎるという話もあったけれど、しつこいような甘さではなく、アンズのママレードが絶妙。一つしかないはずのチョコレートのプレートが載ってきたのは、“大吉”なのかな(^o^)
王宮方面に戻るのに少し寄り道してブルク公園(Burggarten)に足を踏み入れる。ここにはモーツァルト像があるが、足元にはト音記号の形の植え込みがある。新王宮(Neue Burg)の裏側から中庭を通って、少し見付けにくかった宝物館(Schatzkammer)を見学。数知れぬ宝石を散りばめた王冠や装飾品の中に、とても大きなアクアマリンがあったのが目を引いたが、う~ん、やっぱりアクアマリンはファセットカットよりもエメラルドカットの方が似合うかも。
新王宮の表側に回って、フォルクス庭園(Volksgarten)を散策。バラ園やエリーザベト像を見ているうちに雨が降ってきた。このまま公園北側の建築物巡りをするつもりだったが、歩き疲れていることもあって、目の前に来た路面電車に乗り込む。ウィーンの旧市街を取り囲む環状道路リンク(Ring)を走る電車は、当然のことながら環状運転。街並みを眺めながら旧市街を右回りにほぼ一周してから、国立オペラ座(Staatsoper)前で下車すると、雨はもう止んでいた。オペラ座とウィーンフィルの新年演奏会で知られる楽友会館(Musikverein)を外から見学してから、リンクの内側に戻って食事場所を探す。最初に行こうとしていた店は諸般の事情でパス。彷徨っているうちに見付けた店のテラスに座る。これまた地元料理のひとつ、ブイヨンで茹でた牛肉、ターフェルスピッツ(Tafelspitz)とやっぱり今日も白ワイン。
観光が一通り済んだところで、日系の土産物店へ。ザルツブルク銘菓のモーツァルト・クーゲル(Mozartkugel)を買うつもりだったけれど、必ずしも日本人の口に合う訳ではない、という会話が耳に入ってしまったので、とりあえず紅茶だけを買うことにして、モーツァルトクーゲルは2個入りを試しに買ってみた。明日は帰国なので、今日は早めに切り上げて地下鉄に乗る。駅から宿に帰る途中、ドナウ運河を橋から眺める。すると知る人ぞ知るフンデルトヴァッサー(Hundertwasser)設計のゴミ焼却場が川越しに見えたので、すかさず撮影。部屋に戻ってチョコレートを食してみたが、全然大丈夫だった。