2005/11/04(金)

宮古島島内に散在する観光名所のそれぞれに路線バスで行けなくもないが、本数が少なく路線も平良を中心とした放射状になっているため、掛け持ちは困難である。自転車で回るには大きすぎるし、タクシーだと1人ではかなーり割高になる。観光バスも団体貸切のみのようなので、これまで宮古島に来ても、平良市街地と池間島以外、島内観光はほとんどしたことがなかった。早い話が伊良部島や多良間島観光の中継地点として泊まっただけである。しかし諦めきれずにネットで調べてみると、どうやら最近は通年で定期観光バスを運行していることが分かったので、迷わずに申込んだのである。

うえのドイツ文化村

指定の市役所前(以前は平良市役所だったが、宮古列島のうち多良間村を除く1市4町村が合併して、宮古島市となった)でマイクロバスに乗り込み、リゾートホテルを経由して乗客を順次乗せていく。最初の観光場所は、旧上野村にある「うえのドイツ文化村」。ライン河畔のマルクスブルク城を模した博愛記念館がどーんとお出迎え。広場にはドイツ国旗が翻り、スピーカーから流れるドイツ民謡。地元の係員もドイツの民族衣装を着ているが、ここはまぎれもなく宮古島。燦々と降り注ぐ日差しに気温は既に28℃を越えていて、園内に生育しているのは亜熱帯植物で、城の向こう側は珊瑚の海。言うなれば、ここは「南国のドイツ」なのである。どうして宮古島でドイツなのかといえば、明治の始めに座礁したドイツ商船の乗組員を、島人が助けたというのが縁とのこと。城の塔は展望台になっていて、山のない宮古島を見渡すことが出来る数少ない場所。時間があまりなかったので、城内の展示物をざっと見てから、キンダーハウスに展示されている「ベルリンの壁」の一部を見学。

続いて訪れたのが旧下地町にあって、宮古島南西部と橋で結ばれた来間(くりま)島。展望台から見る橋の風景は池間島と似てなくもないが、橋の長さでは勝っているものの、海は色はこの辺りとしては割合普通(?)かな。ともあれ、これで先島諸島(宮古列島+八重山列島)のうち、訪れていない有人島は大神島、水納島と鳩間島だけとなった。旧上野村に戻って「みやこパラダイス」へ。ここは黄金色のサナギで知られる日本最大の蝶、オオゴマダラを温室の中で放し飼いにしてある。わさわさと一杯飛び回っているが、動きが速いだけに写真に撮るのは難しい。植物に止まった直後は広げている羽も次第に閉じてくるので、相当の根気が要りそうだが、時間がないので早々に諦める。そういえばフラワーパークかごしまでもオオゴマダラの温室があったかな。

東平安名崎

旧城辺(ぐすくべ)町にある「海宝館」併設レストランで昼食。海宝館は館主自らが世界各地から集めた貝殻の一大コレクションを展示。近くには保良(ぼら)ビーチがあり、ここもなかなかの景観。駐車場から急な階段を上り下りしなくてはならないのがやや難ではあるが。そして今回の最大の目的地である東平安名(あがりへんな)崎へ。宮古島の東南端は2kmほど続く細長い岬になっていて、その先端に平安名崎灯台がある。早速登って、東シナ海と太平洋の境目を実感。近くには円形の珊瑚礁があり、その昔太陽が遊びに来た跡という民話があるらしい。公共交通でここまで来るためには、先程の海宝館近くの保良バス停から歩いて1時間弱とのこと。念願の地にようやく来られて感激だったが、出来れば岬の付け根で停まって写真も撮りたかったけれど、観光バスだから仕方のないこと。

沖縄本島や八重山とも異なる宮古の文化の話を聞きながら、海沿いの道を北に辿る。宮古島の北端にあるのが西平安名崎だが、東(あがり)平安名崎とは対照的に、こちらは地元の人も「いりへんなざき」とは言わず「にしへんなざき」としか発音しないらしい。どうやら本土から来た役人が単純に「にし」に西の字を当ててしまったらしいが、沖縄では「にし」とは北のことだからややこしい。西平安名崎の近くと橋で結ばれているのが、池間島。訪れるのは3度目になるが、今日の海の色もまた格別。光の加減によって7色に変化すると言われているが、ちょうど引き潮の時間で、海が浅いところは白砂も色合いに変化を加えている。前2回は池間島大橋のたもとから池間漁港までの間を歩いただけだったが、今回は島の中を一周して、島内の湿地や灯台も車窓から見学することが出来た。いつかは沖合にある「幻の大陸」八重干瀬にも行ってみたいなぁ。

砂山ビーチ

本日最後の下車観光は、砂山ビーチ。その名の通り砂が打ち寄せられて砂丘になっている場所で、 駐車場から一山越えて海岸に降りると、真っ白な砂浜とどこまでも青い空、そして複雑な色合いを見せる珊瑚の海。洞門もあり、沖合には池間島や伊良部島も見える。

人頭税石を車窓から見学で観光は終了し、空港で下車。一つ前の便にも余裕で間に合う時間だったが、予約変更が出来ない運賃だったので、空港で3時間だらだらと過ごす。那覇ゆき最終便に乗って、空港からモノレールを使って宿に向かう。以前泊まったのと同じチェーンの別のホテルを知らずに予約していて、こちらの方が駅から少し遠かったりする。