2006/03/04(土)

8時過ぎに宿を出て、離島桟橋へ。旅行会社のカウンターで手続きを済ませて乗船。船内はほぼ満席で、後方デッキに座る。竹富島や小浜島を眺めながら、30分と少しで西表島南東部にある大原港に到着。ここからバスで50分掛けて北西部を目指す。西表島西部へは上原港の方が圧倒的に近いのだけれど、冬場は北風の影響で揺れが大きく欠航率も高いので、大原からの陸路に頼っているのだとそうな。

港を出て島内に2つしかない信号の片方「日本最南端の信号機」のある交差点を曲がって県道に入り、仲間川を渡ったところでバス会社からの連絡が入って一旦港に引き返す。なんでも他のバスに乗りきれなかった団体客を急遽乗せることになったのだとか。出直して再び仲間川を渡り、海岸沿いに走り続ける。途中の西表島温泉入口やヒナイ川河口の「海中道路」に見覚えがないのは、きっと前回バス車内で熟睡していたせいだろう(汗) 上原港を通り過ぎて浦内大橋まで来たところで、浦内川ツアーの人々はバスを降りる。前回参加したのはそのツアーで、軍艦岩まで船で上って、そこから先は徒歩でマリウドの滝とカンビレーの滝を目指すことになる。

今回は八重山4度目で、どうやって過ごそうかとガイドブックを眺めていたら、船浮ツアーが新設されていたのを知って、迷わず申し込んだのである。最少催行人数2名だったが、他にも参加者が複数いたのでツアーは無事成立。同じコースを辿る別の団体客も合流して、総勢二十余名が県道の果ての白浜港で下車。ここからは船に乗り換えて、いよいよツアー本番の始まり始まり~(^o^)

まず最初に訪れたのは、白浜港の対岸にある内離(うちぱなれ)島。西表から少し離れた所にあるのが内離島で、その外側にあるのが外離島と分かり易い名前になっている。今はどちらも無人島となっているが、明治から終戦前までは石炭の産地で、最盛期には現在の西表島を上回る3千人近くが住んでいたとのこと。上陸して山道を通っって、炭坑跡などを見学。

水落滝

船に戻り、西表島と内離島の間の水路を通って船浮湾へ。水路はあまりに浅いため、数年おきに浚渫が必要なのだとか。その昔は石炭を積み出していた桟橋の跡を船から見学。船浮湾は一転して最深80メートル近くもあるため、国際雛場所になっていて、台風接近路に大型船が停泊するためのブイが沢山ある。終戦前には特攻艇が配備されていたが、ここからは一度も出動することはなかったらしい。船を隠すための石組みも今は崩れ去っている。船は湾の奥に進んで、水落川河口からマングローブ林の中を遡る。暫く進むと水落滝が見えてくるが、少し離れた所からの見学となる。

伝統料理

船浮湾に戻って養殖真珠の筏を見てから、船浮集落へ。白浜と船浮は直線距離で2kmでも、間にある陸地は大きく切れ込んでいて、しかも途中に集落がある訳ではない。このため船浮集落には道路がなく、船が唯一の交通手段となっている。言うなれば西表島という「離島」の中にある「陸の孤島」である。防空壕などの跡や真珠真珠の養殖場を見学してから、昼食の伝統料理(^o^)

イダの浜

食後は集落を出て西に向かう。途中、イリオモテヤマネコの足跡があるのを教えて貰う。夜行性で警戒心が強く騒がしい場所を非常に嫌うため、今では島の南西部のジャングルにしか残っていないらしいが、船浮は比較的静かなので足跡も珍しくないのだとか。それでも姿を見ることは滅多にないらしい。島の特別天然記念物としてはカンムリワシもいるが、こちらは昼行性で、しかもアスファルト上の獲物を狙って電柱に止まる習性があるため、見付けるのは容易なのだとか。15分ほど歩いてイダの浜に到着。冬場にしては珍しく良い天気で、空と海は青く、珊瑚の白い浜との対比が美しい。しかも見渡す限り人工物は一切ない。15分くらい滞在していたが、誰もが立ち去り難いようだった。

集落に戻って、イリオモテヤマネコ発見の地へ。民家の鶏小屋から逃げられなくなった個体が新種と認定されたが、島の人達はそれ以前から新種と知らずにたまに見掛けていたらしい。続いて訪れた資料館で、昔は船浮よりも南西側に幾つか集落があったことを知る。今となっては大学の研究施設が一ヶ所あるのを除けば、船浮が唯一の「孤島」となっている。時間になったところで、名残を惜しみながら「ちむどんどん(心どきどき)号」で集落を後にする。この船は2つのボートの上に座席を設けた双胴船で、波をほとんど立てないため揺れも少なく、マングローブを傷めないらしい。その分操縦が難しいのだとか。帰りは引き潮で内離島の水道は砂が現れて浅瀬になっていた。

白浜港からバスで東に向かう。来る時に見た車窓を撮影しようと待ち構えていたのに、やはり疲れが出たのか、意識が飛んでしまった(^^; 西表島を観光すればやっぱりもれなくついてくるのか、いつものように水牛車で由布島に渡る。もう夕方前で閉園も近く、園内はひっそりとしていた。

大原港から船で石垣島に戻った時にはもう6時になっていたので、行きつけの店で夕食。今回はちょっと贅沢に石垣牛のサイコロステーキ定食。食後のデザートとしてぜんざい(沖縄風氷あずき)付き。明日の先島諸島は天気が悪くなるということだったから、早い飛行機に振り替えて那覇に出ようか、石垣市街地でのんびり過ごそうかなどと思案しつつ、宿に戻って念のため天気予報を確認したら、なんと明日は晴れの予報に変わっていた。発生するはずだった低気圧はどこに行ったんだ~! 嬉しい誤算に計画を練り直してから就寝。