2006/07/30(日)

ガイドブックで各施設の休館日を見比べて、今日のうちに遠出しておくことにする。週末だと鉄道の往復運賃も安いみたいだし。早朝に少し雨が降ったけれど、今日はそれほど天気も悪くならないという予報だったし。

ブリュッセル中心部で急行列車に乗り継ぐと、車内の自動アナウンスと電光掲示はベルギーの主要言語であるオランダ語とフランス語の両方になっていたけれど、ブリュッセル市外に出るとオランダ語のみの案内に。首都ブリュッセル(2重言語地域)を除く北部はオランダ語地域だからね。列車は約1時間でブリュッヘに到着。オランダ語では「ブリュッヘ(Brugge)」は「橋(英bridgge/独Brücke)」を意味するのだとか。英語では「ブルージュ(Bruges)」で、フランス語では同じ綴りで「ブリュージュ」になる。ハンザ同盟の一員として栄えた街も、海への水路が浅くなって交易の中心はアントワープに移ってしまったが、そのために古い街並みが残されているとのこと。

運河クルーズ

駅から街の中心部に向かって歩いていくと、道幅は狭まり煉瓦造りの家の間の石畳に変わる。どこから散策しようか迷うくらいだけれど、まだ観光客の少ない午前中に人気の運河クルーズから始めることに。乗船券を買って橋の袂から船に乗り込み、暫く待って定員が集まったところで出航。水面から眺める街並みはまた違った雰囲気。様々な時代の建物を見ながら、幾つもの橋の下を潜る。モーターボートを操縦しながらのガイドは、オランダ語、フランス語、英語の順番。途中で折り返して一旦出発地点を通り過ぎ、反対側で折り返してから再び戻ってくるというコースで、所要は1時間足らず。乗り場は4ヶ所あって、途中観光客を満載した何隻もの船とすれ違う。

ブリュッヘ旧市街

船を下りて向かったのが、街の中心にあるマルクト広場(Markt)。様々な建物が取り囲むその広場を見下ろすように聳えているのが、高さ88メートルの鐘楼(Belfort)。中庭から建物の中に入って、時折休憩しながらひたすら階段を上ると、沢山の鐘が連なる展望台に出る。素晴らしい眺めだとカメラを構える間もなく正午を迎えると、機械仕掛けに従ってカリヨンが盛大に鳴り始める。耳を塞いでいた人もいたけれど、間近で聞いても思ったほど凄まじい音量ではなかった。展望台からはほぼ全方位の視界が得られ、赤い三角屋根の海の中に黒い屋根も混じっていた。

ワーテルゾーイ

汗が引いたところで麓に降りて、街並みの写真を撮りながら移動。ガイドブックに載っていた店に入って、少し遅めの昼食。注文したのは地元料理のコースで、名物の野菜スープとワーテルゾーイ(waterzooi)。地方によっては魚や海産物が入っていることもあるらしいが、ここでは鶏肉と野菜のさらっとしたシチューだった。

店を出て愛の湖公園(Minnewater Park)を散策してから、アムステルダムでも訪れたベギン会修道院(Begijnhof)を見学。先程からぽつぽつと降り始めた雨は、急に強くなり土砂降りとなったので、慌ててダイヤモンド博物館(Diamantmuseum)に駆け込む。ブルージュはダイヤモンド研磨発祥の地で、その歴史や加工技術が紹介されている。隣の店舗では日本よりも安くダイヤモンドが買えるらしいが、さすがにモノがモノだけに冷やかしもせずに雨上がりの通りに出る。

ミケランジェロ作の聖母子像がある聖母教会(Onze Lieve Vrouwekerk)、マルクト広場近くの聖血礼拝堂(Heilig Bloedbasiliek)、ブルージュ最古の教会でタペストリーの飾られた救世主大聖堂(Sint-Salvatorskathedraal)を順に見学した後、ザンド広場('t Zand)を通って、旧市街の城門の一つである鍛冶屋の門(Smedenpoort)まで行ってから、運河沿いに駅に戻る。旧市街の反対側には風車が残っているのだけど、既にかなり疲れていたし、去年オランダで見たということで今回はパス。ボビンレースもブルージュの特産品なので、レースセンター(Kantcentrum)も見学したかったのだけど、日曜日は休館なので仕方がない。

発車3分前に乗ったら急行列車は既に満席で、デッキで立つことになったが、途中のゲント(Gent/オランダ語ではヘント)で乗客がかなり入れ替わったので、そこから先は座ることが出来た。ブリュッセル北駅(Brussel Noord/Bruxelles Nord)で普通列車に乗り換えて、早めに宿に戻って明日に備える。