2007/08/30(木)

マドリッド市内で行きたい場所には大体、一昨日のうちに行っておいたので、昨日に続いて今日も遠出することに。地下鉄を乗り継いでプリンシペ・ピオ(Principe Pio)駅の近くにあるバスターミナルに行こうとしたら、あれっ、地下通路で直結って、いつからこんなに便利になったのだろう~と思いきや、それは市バスのターミナルであって、郊外に向かうラ・セプルベダーナ社(La Sepulvedana)のターミナルは地上に出て交差点を渡った先だった。小さな入口から地下に入っていくターミナルなんて、事前情報がなかったら見付けるのはかなり難しかったかもしれない。地下1階の窓口で往復券を買って、地下2階の乗り場から長距離バスに乗車。マドリッドを出て、高速道路を北に向かう。途中で長めのトンネルを抜けると、良く晴れていたはずの空が、一変してどんよりとした雲に覆われていた。今日の目的地は晴れの予報だったのに、天気は大丈夫かなと少し心配になったが、走っているうちに雲は徐々に薄くなり、青空も少し見えるようになっていった。

ローマ水道橋

1時間半でセゴビア(Segovia)のバスターミナルに到着。高速列車で行けるトレドと違って、マドリッドからセゴビアは列車を乗り継いで2時間。運転本数も2時間に1本ということだから、ほぼ30分おきに走っていて、街の中心近くまで乗り入れているバスの方が便利だったのである。帰りのバスを予約しておいた方がよさそうだったので、適当な時間を窓口で指定しておく。案内所で地図を貰ってから、観光開始。スペインに来てからずっと暑い日が続いていたけれど、今朝のセゴビアは薄曇りで、少し風が肌寒いくらい。高台にある旧市街を遠くから眺めながら500メートルほど歩くと、ローマ水道橋(Acueducto Romano)が眼前に姿を現す。高台にある旧市街に水を通すため、2千年近くもローマ時代に作られた形のまま使われ続けた水道橋だが、現在も橋に設置したパイプに水を通しているということで、水道橋としてはまだまだ現役。重厚にして華麗、しかも実用的な建築が、長い時を経た今もなお残っているのである。アソゲホ広場(Plaza del Azoguejo) から見上げた後は、左手にある階段を上って橋の最上部の近くにある展望台から眺め、反対側にある丘にも登ってみる。先はまだ大分ありそうだったので、水道が屈曲しているところまで行ってから引き返す。

セゴビア大聖堂

広場から旧市街へ入る坂道を登り、壁面に石の突起が規則的に並ぶ「刺の住宅」(Casa de los Picos)やサン・マルティン教会(Iglesia de San Martin)を見てから、街の中心にあるマヨール広場(Plaza Mayor)に出る。衣料品や野菜、果物の屋台が出ていて、多くの人で賑わっていた。広場に面した大聖堂(Catedral)に入って荘厳な内部を見学したが、建物自体もゴシック式の装飾が見事だった。(スペインとしては)昼食にはまだ早い時間だったので、細い街路を歩き、サン・エステバン教会(Iglesia de San Esteban)の前を通って街外れまで行くと、城壁越しに視界が開けて荒涼とした丘陵地帯が広がっていた。いつのまにか空から雲がなくなり、気温もだいぶ上がってきた。

ラベラクルス教会

サンティアゴ門(Puerta de Santiago)から街を出て坂道を下る。トレドと同じくセゴビアも周囲を崖に囲まれた高台に位置するが、街を取り囲む斜面だけが木々の緑に覆われている。エレスマ川(Río Eresma)を渡って、小さな集落を通り抜けると、十二角形のラ・ベラ・クルス教会(Iglesia de la Vera Cruz)がぽつんと建っているのが見える。この辺りから旧市街を振り返ると、緑の斜面から王城(Alcázar)がそびえ立っている。ガイドブックによると、ここからの眺めがディズニーの「白雪姫」の城のモデルになったとのことだが、映画を見たとしても三十年も前のことだからほとんど記憶にない(^^; 街に戻って広場に面したレストランのテラス席で昼食。注文したのはニンニクを使ったカスティーリャのスープ(Castellana Sopa)とポークソテー。

セゴビア旧市街

食後は街の北西の端にある王城へ。前庭を通ってチケット売場に行き、城内の部屋を先に見学。宮殿に比べればこぢんまりしているものの、イスラム文化の影響も受けた一つ一つの部屋の装飾は見事。武器の展示と地下の遺構を見てから入口に戻り、隣の階段から塔にも登っておく。大聖堂の周り旧市街の赤い屋根が広がり、その外側を城壁、斜面の林、丘陵地帯、そして山並みが取り囲み、それら全てに覆い被さる空は、良く晴れてどこまでも青い。昨日、今日と続けて印象深い景色を眺めることが出来たので、マドリッドを別方向に飛び出して来た甲斐はあった。

帰りは街の南側を回って広場に戻ると、屋台は全て撤収していた。今朝とは違う道を通ってアソゲホ広場の近くまで戻ると、薄曇りで逆光だったローマ水道が、午後の陽射しを浴びて青空を背景にくっきりと浮かび上がっていた。名残を惜しみつつバスターミナルに戻って、指定したバスの発車を待つ。来る時はセゴビア市内に入るまで無停車だったが、帰りは高速道路に入ったかと思えばすぐに出て、途中の町や集落に順に停車していった。それでも後半は高速道路に戻ったので、2時間くらいでマドリッドのバスターミナルに到着。まだ明るかったので、帰りにスペイン広場(Plaza de España)に立ち寄ってドンキホーテ(Don Quijote)の像を見ることも考えたけれど、今日も結構歩き回って疲れていたので、宿に直帰して帰り支度に取り掛かる。スペインでは夜、レストランやバルに行っていないせいもあって、パエリャ(paella)やトルティーリャ(tortilla)、ガスパチョ(gazpacho)など食べ損ねた物が多いけれど、本場に拘らなければ日本でも食べることは出来るだろう(^_^;)