2007/09/23(日)

故宮博物院

朝食は洋食と中華のビュッフェだったので、ここはやっぱり中華を主体に。宿から歩いて故宮博物院(Gugong Bowuyuan)の東華門(Donghuamen)の前まで来たところで、堀(筒子河)沿いに正面入口である午門(Wumen)へ。この午門だけでも幅100mもある巨大な建物であるが、1平方キロ近くある故宮全体の入口に過ぎなかったりする。入場券を買って中に入ると、5重の金水橋(Jinshuiqiao)が架かっているというのは、風水に基づいた設計なのだとか。真正面の太和門(Taihemen)は現在修復工事中で、緑のシートに覆われている。脇の門を通って進むと、太和殿(Taihedian)の前の広場の大きいこと。200メートル四方の広場を建物が取り囲み、それら全てを見下ろすように3段の石造りの基台に建っているのが太和殿。ここに案内された外国の使者は、このスケールだけで圧倒されたのではないだろうか。様々な公式行事が執り行われた太和殿も、残念ながら目下工事中。

太和殿に続く中和殿(Zhonghedian)と保和殿(Baohedian)は、建物の外から内部の宝座等を見学出来るようになっていた。そして保和殿の北側にある石段の中央には、龍の彫刻が施された巨大な一枚板で出来た大石雕が据えられている。龍や「九」という数字は皇帝を表すが、宮殿の正中線なす通路は全て皇帝専用となっていた。ここまでが公務の場である外朝で、乾清門(Qianqingmen)から先は皇帝や皇后、皇妃達の居住区であった内廷となる。乾清宮(Qianqinggong)から続く3つの建物は、太和殿などを小振りにしたような造りになっている。坤寧門(Kunningmen)を抜けた先が、御花園(Yuhuayuan)と呼ばれる庭園で、その先にある神武門(Shenwumen)が北門となっているが、こちらも現在工事中。ここまで来てようやく、端から端までほぼ直線に歩いたことになる。

東西六宮

内廷の東西には西六宮(Xiliugong)、東六宮(Dongliugong)と呼ばれる後宮があり、その名の通りそれぞれが6つの小宮からなっている。西六宮は西太后や退位後の清朝最後の皇帝が生活していた場所で、てゆーか、西側に住んでいたから西太后と呼ばれていたらしい。故宮というのは“元の宮殿”という意味で、明や清の時代には紫禁城(Zijingcheng)と呼ばれていて、英語ではこれを意訳した"Forbidden City"となっている。まるで一つの町のような大きさ故の訳なのだろうけれど、一つ一つの小宮が門を構えていて、その間の街路のような道を歩いていると、本当にどこかの古都を散策しているような感じがする。宮廷内ではシーサーを思わせる獅子像を幾つか見掛けたが、小宮の入口にはヒンプンのような衝立も見られた。西六宮、東六宮などを順に見学して外朝に戻ったところでかなり空腹になっていたが、ちょうど食堂があったので、入って公保鶏丁を注文。

食べて元気を取り戻したところで、北東にある寧寿宮区(Ningshougongqu)へ。入口にあるのが九龍壁(Jiulongbi)と呼ばれる大きな玻璃装飾。中国三大九龍壁の一つなのだとか。寧寿宮区は清の乾隆帝が隠居後の住居として用意したもので、乾清宮等を模して造られている。現在は珍宝館となっていて、宝石や装飾品などが展示されている。暢音閣は3階建ての大がかりな京劇舞台で、西太后もここで演じられた京劇を向かいの閲是楼(Yueshilou)から観たのだとか。続いて近くの奉先殿(Fengxiandian)で時計コレクションを見学してから、保和殿、太和殿の横を通って、午門に戻る。これで公開されているところは大体見たことになるが、公開エリアは故宮全体からすると3分の1程度である。

天安門広場

午門を出て、端門(Duanmen)、天安門(Tiananmen)を通り、地下道を潜った先が天安門広場(Tiananmen Guangchang)。天壇や万里の長城、オリンピックなどをモチーフにした花飾りが制作中だったが、後から聞いたところでは国慶節の準備なのだとか。広場自体もまた大きくて、南端の正陽門(Zhengyangmen)まで約600メートル。故宮を中心とした旧市街「内城」の正門に相当し、午門からの距離は約1,200メートル。今日はここまでで相当歩いたことになるが、さらにもう一がんばりと2km歩いて宿に戻る。

梨園劇場

部屋で少し休憩して、待ち合わせ時刻になったところでロビーへ。今夜と明日はカード会社を通じて、個人ツアーを手配していたのである。日本語ガイド付き専用車に乗客1人とかなり豪勢だが、物価のせいか欧州と比べると料金はかなり安い。まずは夕食ということで、老舗の「全聚徳(Quanjude)」で名物の北京ダックを食す。出来たては香ばしくて美味だった。続いて前門建国飯店(Qianmenjianguofandian)の中にある「梨園劇場(Liyan Juchang)」で京劇鑑賞。案内された席は舞台の一番近くで、演目を間近で見られるのは嬉しかったが、そのぶん舞台脇にある電光掲示板(英語の解説文が表示される)が見辛かったので、内容を理解するために日本語ヘッドホンを借りることにした。蓋碗の茉莉花茶を飲みながら開演を待つと、まずは舞台中央で楽団が演奏があり、3人の登場人物による古典劇が始まる。仕草の一つ一つの芸が細かいこと。次の劇の主要人物によるパフォーマンスに続いて、立ち回り劇。槍が何本もくるくると飛び交う様は見事。あっという間の1時間が終わり、宿に帰って明日に備え早めの就寝。