2008/01/13(日)

明けゆく街並を眺めながら朝食を取った後、宿を出て路面電車を乗り継いで長崎駅に出る。全線100円均一というだけでも十分お得だが、築町で乗り継いでも値段は変わらないというからなお驚きである。長崎駅から白い車体の特急「かもめ」に乗れば、諫早まではわずか17分。最高速度130km/hで次々とトンネルに入ると、耳に影響が出るぐらいである。乗り継ぎまで時間があったので、券売機で「島原半島遊湯券」を購入してから、駅構内のドーナツ店でちょっと休憩。

島原城

10年ぶりの島原鉄道で島原半島を目指す。諫早の市街地を出て、諫早湾の干拓事業地を過ぎれば、車窓はずっと海が続くことになる。対岸が長崎県から熊本県に移り変わり、半島を半分近く回り込んだところで、島原に到着。まずはここで下車して島原城方面に向かい、城入口近くの「姫松屋」に入って、島原の郷土料理「具雑煮」を注文。食後は島原城の天守閣に登って、四方の景色を眺める。視界は良好で対岸もはっきり見えていたが、雲仙方面は雲がかかっていて、見えていたのは手前に聳える眉山だけだったことを後になって気付く。島原城は明治の始めに取り壊され、戦後になってから様々な建物が復元されている。天守閣と共通券となっていた「西望記念館」および「観光復興記念館」、入場無料の「民具資料」を見学してから武家屋敷跡へ。中央に用水路がある無舗装の道は記憶にある通りだったが、10年前に来た時も付近の建物を見学したかどうかは、当時は日記を書いていなかったから記憶が定かでない。多分、列車の乗継ぎを優先してあまり観光していなかったのじゃないかな。

城の反対側を回ってアーケード街の途中にある「しまばら水屋敷」へ。その名の通り、湧水のある庭に面した屋敷を利用した喫茶店で、途中の窓口で注文してから座敷に進むようになっている。注文したのは島原名物の「かんざらし」と抹茶のセット。小豆入りもあったけれど、最初だからオーソドックスな方で。雰囲気のある建物だが、招き猫のコレクションが半端でなく、2階は「島原招き猫屋敷」を名乗っていたりする。商店街を出てから暫く行くと「鯉の泳ぐまち」で、水路に鯉が放たれている。といってもさすがに津和野ほど多くはないようで、3カ所くらいで群れているのを見掛けただけだった。途中から速めに歩いたので、島鉄本社前駅に着いたのは予定よりも40分以上早くなってしまった。それなら待ち時間を利用して近くの温泉に行けるのでは、ということで当初は夕方に立ち寄るはずだった予定を急遽繰り上げる。ちょっと慌ただしくなったけれど、全体的に時間が押しているからね。帰りは駅まで小走りになったけれど、乗る予定だった列車には十分間に合った。

島原鉄道

島原から先の末端区間に乗るのが、今回の主目的である。この3月末で島原外港-加津佐間が廃止になると聞いた時は、10年前の乗車が最初で最後になるのかと漠然と思っていたが、斉藤さんの記事を読んでもう一度乗ってみたくなったのであった。廃止直前になると混雑が激しくなるので、少し早めに来てみたのだが、カメラを手にしたそれらしき人がちらほらと。それでもまだ、地元の人達の方が多いようだ。旧深江町に入ると、雲仙が正面から見られるようになる。この辺りは噴火の際に何度か不通となった後、線路を付け替えて97年にようやく復旧した区間であるが、残念ながらそれから11年で廃止することになってしまった。線路は深江、布津、有家、西有家、北有馬、南有馬、口之津、加津佐の旧町域を順に辿っているが、昨年の合併で現在は全て南島原市となっている。島原からは1時間と少しで終点の加津佐に到着。

20分の間に駅近くの砂浜まで急ぎ足で行って来てから、折り返し列車に乗車。そのまま終点まで乗り通してしまうと、2時間以上何も食べられないことになってしまうので、再び島原で下車することに。昼頃に比べると雲が少なくなっていたので、眉山の奥に雲仙が控えているのがはっきり確認出来た。「青い理髪館工房モモ」という青い塗色が印象的な古い理髪店の建物を利用した喫茶店に入って、広島産レモンを使ったチーズケーキを賞味してから、駅に戻って50分後の列車に乗る。実はこれが急行運転をしているので、諫早に到着した時点での差は30分に縮まるのである。

諫早で長崎ゆきの快速列車に乗継ごうとしたら、発車ホームが変更になっていたので慌てて地下道を潜る。危うく乗り遅れるところだった~と思っていたら、長崎本線のダイヤが乱れているため、遅れている特急を待っているとのアナウンス。それでホームが変更になっていたんだ。30分近く遅れて到着した特急が発車してから、こちらもようやく動き出す。快速の停車駅は喜々津と浦上だけだが、単線でダイヤが乱れているため、こまめに運転停車しては行き違い待ちや通過待ち。さっきの特急に乗っておけば、長崎に早く戻れていたと今頃気付いても時既に遅し。かなり待たされたように感じていたが、実際のところ十数分の遅れで長崎に到着。改札を出たところでカメラを手にした人が目立ったので、何かあるのかと電光掲示を見たら京都ゆき寝台特急「あかつき」が入線するところだった。そういえばこの列車も3月改正で廃止になるのだったっけ。3年前に長崎に来た時は、東京ゆきの「さくら」が廃止になる直前だったかな...

トルコライス

路面電車で思案橋に出て、九州最古の喫茶店と言われる「ツル茶ん」へ。2日連続となってしまうのも構わず、トルコライスを注文。バリエーションも何種類かあるけれど、今回はあくまでも基本形で。この店ではカレーソースが掛かっているが、さすが老舗だけあってカツが柔らかくて美味だった。食後のデザートには勿論ミルクセーキを注文。食後用にハーフサイズがあるのが嬉しい。満腹満足したところで商店街を少し歩いて、別系統の路面電車で宿に戻る。