2008/02/08(金)

到着後最初の夜は、時折目を覚ましながらも合計10時間以上の睡眠で帳尻を合わせる。ヒロで目覚めた朝に似つかわしい曲といえば、勿論「愛から遠く離れて」。そう、ヒロを訪れた最大の理由というのが、「夜会 VOL.10 海嘯」の舞台だったからに他ならない。防波堤の内側で波の音は聞こえなくても、鳥の声は聞こえてこなくても、ラナイ(ベランダ)に真っ赤なミツスイが羽を休めに来たりする。とりあえず空腹だったので、1階のレストランに行ってみたら折悪く混雑する時間帯だったらしくて、注文した料理も30分以上待たされてしまった。まぁ、時間的にはかなり余裕があったから慌ててはいなかったんだけれど。

アカカ滝

朝から断続的に雨が降っていたが、出掛ける頃には止み始めていた。迎えに来た日本語ツアーの車に乗って、ハワイ島一日観光を開始。まず最初に、ヒロの街から10マイル程北にあるアカカ滝(Akaka Falls)を訪れる。駐車場から遊歩道を辿って鬱蒼とした木々の間をゆけば、落差100メートルを超す大滝が目の前に現れる。緑の中を水しぶきを上げながら轟く滝は、離れていても迫力がある。そして次に訪れたのが、ヒロの郊外にあるレインボー滝(Rainbow Falls)。その名の通り虹の名所として知られるが、小雨模様ではさすがに見ることは出来なかった。アカカ滝に比べれば落差は小さいものの、溶岩が作ったトンネルの上から3筋となって流れ落ちる独特の風景をなしている。滝2連続の後はヒロ市内のファーマーズマーケットへ。毎週水曜と土曜は定期市で賑わうが、それ以外の日でも果物や野菜を売る店が幾つか出ている。日系人が多い街だけあって、"Japanese cucumber"も売っていた。一旦自由行動となったので、古い建物の残る街の中を少し散策する。

カメハメハ大王像

観光を再開し、カメハメハ大王像(ハワイ州に3つあるうちの1つ)を見学してから、ビール工場で6種類の地元産ビールを試飲。そこから車はハワイ火山国立公園(Hawaii Volcanoes National Park)を目指して走り続ける。山の方に行けば天気が変わることを期待していたが、裏腹に雨が強くなってきた。キラウェア・ビジターセンター(Kilauea Visitor Center)に到着した時もまだかなり降っていたが、休憩中に急速に雨脚が弱まった。とりあえず蒸気の噴気孔(Steam Vent)を見学してから、休憩所で遅めの昼食。日本でも最近知られるようになったロコモコ(Loco Moco)というのは、手っ取り早く言えば目玉焼きを載せたハワイ風のハンバーグ丼ということになるが、実はヒロが発祥の地らしい。遠く火山のカルデラを眺めながらの初ロコモコは、予想通りの美味だった。

ハレマウマウ火口

少し先にあるトーマス・ジャガー博物館(Thomas A. Jagger Museum)の展望台に出ると、目の前に雄大なキラウェア・カルデラ(Kilauea Caldera)が広がる。予想よりも視界が良くて、ハレマウマウ(Halemaumau)火口もくっきりと見えている。各所から水蒸気が立ち上っているが、晴天の時は見られないらしい。夢中で写真を撮っているうちに、東側から霧に覆われて視界が少し悪くなってしまった。雨上がりでタイミング的には丁度良かったのかも。クレーター・リム・ロード(Crater Rim Road)をさらに進み、ハレマウマウ間近の展望台に行ってみたら、残念ながら火山ガスの影響で立ち入り禁止になっていた。当初は火口周辺をハイキングすることになっていたが、予定を変更してチェーン・オブ・クレーターズ・ロード(Chain of Craters Road)を辿って、海辺に出る。この辺りは溶岩が何度か海に押し寄せた跡が残っていて、比較的最近のものは植生がまだ回復せずまだら模様をなしている。海辺は溶岩が複雑な形に冷え固まっている。海岸付近では雨が降った形跡すらなく、眼下にはどこまでも青い海が広がっていた。道をさらに下って海辺に出ると、溶岩が形成するシー・アーチ(Sea Arch)の辺りで行き止まりとなる。以前は海岸沿いに道が続いていたが、近年の溶岩流に埋もれてしまったとのこと。昨年までは赤く流れる溶岩の近くまでハイキングに行くツアーが開催されていたが、地震の影響で流れが変わってしまったため、現在は中止になっているとのこと。

元来た道を戻って再びキラウェアの近くに出て、本日最後の観光となるサーストン溶岩トンネル(Thurston Lava Tunnel)へ。駐車場から熱帯雨林の中を少し歩くと、溶岩が流れ出た後に残されたトンネルに入る。鍾乳洞とは異なる自然の造形に、地表から滲みてきた雨粒が降り注ぐ。辺りも暗くなり始めたところで帰路に就く。ヒロの街に戻ったのは、午後6時頃。盛りだくさんの楽しい一日だった。ハレマウマウに近寄れなかったのは残念だったけど、その代わりに海辺の溶岩原を訪れることが出来たし、結局雨に邪魔されることなく観光出来たのは何よりだった。夜は外食に出ずに、スナックと市場で調達したチェリーパパイヤで済ませる。ナイフやスプーンがなくてどうやって食べようか一瞬悩んだけれど、完熟していたので皮は指でも簡単に剥くことが出来た。