2008/03/22(土)

伊賀上野城

関西本線の快速に乗って、終着の加茂でローカル列車に乗り継ぐ。輸送力が格段に違うため、2両しかないディーゼルカーは乗り継ぎ客で混雑していた。その多くは月ケ瀬口で降りるハイキング客だったようだ。伊賀上野で伊賀鉄道に乗り換えて、3駅先の上野市で下車。JRの伊賀上野に対して、こちらが本来の市の中心という意味の駅名だが、市名の方は合併で伊賀市に変わっている。この路線は近鉄伊賀線だった時に一度乗っているが、伊賀鉄道に変わったため乗り直しである。以前はとにかく乗ることを優先していたので、途中で降りることなく一気に乗り通してしまったが、2度目の今回は半日掛けて観光することにしたのである。まずは駅の北側にある上野城を擁する上野公園から。石垣の上には天守閣が聳えているが、築城当時の天守閣は竣工目前に倒壊してしまい、再建されることなく明治を迎え、昭和に入ってから規模を小さくして造り直したものである。城全体が高い場所にあるため、天守閣に登れば周囲の盆地を見渡すことが出来る。内堀に面した高石垣はその名の通り約30mもの高さがあり、近付いて見下ろすのもおっかなびっくり。

伊賀流忍者博物館

伊賀上野は松尾芭蕉の出身地ということで、芭蕉を記念して建てられた俳聖殿に立ち寄ってから、すぐ近くの芭蕉翁記念館で縁の品々を鑑賞する。伊賀上野は忍者の里としても知られている~ということで続いて訪れたのが、これまた上野公園内にある伊賀流忍者博物館。見学コースの最初はくのいちの解説・実演による忍者屋敷。どんでん返しや刀隠しなど、これでもかとカラクリが仕込まれた建物は、本物の忍者屋敷を移築したもの。そこまでして守っていたのは、火薬の製法だとのこと。屋敷を出て地下への階段を下りると、そこは忍術体験館。数々の道具が展示されているが、忍者は江戸時代でも既に伝説だったため、道具の一部にはフィクションも混じっているらしい。見学の途中で忍術ショーが始まったので、忍者ステージへと急ぐ。「伊賀忍者特殊軍団 阿修羅」による実演は、実際の刃具を使用したもので、派手な効果音を使っていても手裏剣の狙いは正確。迫力のあまり泣き出す赤子もいた。ショーが終わったところで地下に戻って、忍術体験館の続きと地上に出て忍者伝承館を見学。とりあえず今日学んだのは、忍者は時代劇のような“忍者装束”は着ないことと、手裏剣はせいぜい2~3枚しか持ち歩かなかったということ。

でんがく定食

市街地に戻り、芭蕉像のある駅前広場を通り、広小路駅近くの「やまとや」で昼食。注文したのは食べる方の(?)伊賀名物、でんがくの定食。ずらりと並んだ豆腐は壮観で美味だった。食後は近くにある芭蕉翁生家を見学。再び駅前に戻って、昔の面影を残す城下町を散策してから、コミュニティーバス「しらさぎ」に乗って、「伊賀くみひもセンター 組匠の里」で下車。売り場をざっと見回して、個人的に使い道がありそうなのはストラップくらいかな、次のバスが車での40分をどうやって過ごそうかな~と思案していると、20分千円の体験教室があったので、二つ返事で申し込む。選んだ色の組み合わせは、青の濃淡2本ずつと、細い金の紐4本。向かい合わせになった同色の2本ずつを組として、順に半回転させていくという作業の繰り返しだったが、慣れるまでは時々順番を間違えそうになる。組んだ紐を常に中心を保つはずが、なんだか偏ったりもするし。出来上がったら一つ二つ、目が飛んでいたり、がたがただったりするのだろうかと不安になりつつも、黙々と作業を続けること20分。両側に付けた錘のおかげで、初めての素人でも意外と綺麗に出来るものなんだね。よく見ると僅かに目が崩れてはいるものの、そこは手作りの風合いということで(笑) キーホルダーに仕上げて貰ったが、使うのがちょっと勿体ないかも。

予定通りに次のバスに乗って、「ウェルサンピア伊賀」の「芭蕉の湯」に立ち寄ってから、本日最後の目的地である蓑虫庵を訪れる。当初の庵は焼失したもののすぐに再建され、芭蕉翁の五庵のうちでは現在、唯一現存するものとなっている。一通り観光を終えて駅に戻ると、停まっていたのは松本零士デザインによる「くのいち電車」だった。終点の伊賀神戸(かんべ)で近鉄大阪線に接続。会社が分かれたため改札も別になっている。特急が2本続けて通過した後にやって来た快速急行に乗車。途中の大和八木までは順調に走っていたが、事故の影響により大阪線の運転を見合わせているとのアナウンス。大和西大寺回りの方が早いという案内があったので、橿原線の急行に乗って、奈良線の快速急行に乗り継ぐ。30分くらい余計に掛かったことになるが、大阪市内に到着した時は既に運転を再開していたようだ。結局どちらが早かったのか分からないが、かなり空腹になっていたので難波駅地下街で夕食を済ませる。「なんばウォーク」という名前になっているけれど、昔の「虹のまち」のことだったっけ~というくらい、ミナミのことには疎かったりする(^^;