2008/06/22(日)

釧路には何度か来ているが、JRに乗るのは久しぶりで、いつの間にか自動改札になっていた。釧網本線の快速「しれとこ」は単行気動車で、約30分で塘路に到着。ネイチャーウォッチングを予約していたので、ガイド氏の出迎えがあったが、一年半前と同じ人で、向こうもこちらを覚えていた。今回も参加者は一人だけだったので、二人分の料金で貸切ツアーとなった。

カキツバタ

まずは釧路湿原を横断する唯一の道を走って、コッタロ湿原へ。前回通った時は真冬だったので、湿原の表情はまるきり違う。湿原の花を探すツアーなので、エゾスカシユリ、エゾカンゾウ、ノコギリソウなど、花が咲いているポイントがある度に停まって、近くで観察出来るのが嬉しい。ちょうどカキツバタが見頃で、青紫の濃色の花が群れをなして咲いていた。天気は薄曇りだったので、花の色が鮮やかに出ている。青系統の花はやっぱり、ホワイトバランスはオートでない方が発色が良いのかな。

音根内木道

続いて鶴居村を抜けて、音根内に出る。近くを何度か通過したことはあったが、降りるのは初めてである。駐車場から階段を下って、ビジターセンター脇から湿原の中に続く木道を歩いて、季節の花を探してゆく。途中に谷地眼(やちまなこ)があって、深さを測るための棹が用意されていたので試してみると、底の泥に入って感触が変わった後も、どこまでもずぶずぶと沈んでいったりする。木道脇に咲いている花は小さいものが多く、その辺りに咲いていると教えられた上で注意して見ていないと、見過ごしてしまいそうである。ミズバショウを小さくしたようなヒメカイウ、ヒースのようなヒメシャクナゲ、ワタスゲに似たサギスゲ、ツルコケモモはクランベリーで、クロミノウグイスカグラはハスカップの和名。ミツガシワは繊細な造形をした花で、白が基本だが端部が赤く染まっているものもある。何の仲間かと思えばリンドウ科とのこと。あっという間に予定していた1時間半が過ぎ、鶴居村軌道の廃線跡を通って駐車場に戻る。

再びコッタロ湿原を通って、ハマナスよりも小型で色の淡いカラフトイバラを鑑賞してから、二本松の展望台へ。四輪駆動車でないと到底登れないような道なので、観光バスやタクシーでは訪れることの出来ない、まさに穴場である。眼下には一面緑の湿原が広がり、川が大きく蛇行している。ここもいつかは流れから取り残されて、三日月湖となるのだろうか。その際には梃子の形をした物を探して(以下略)

細岡展望台より

塘路に戻ったところでツアーは終了し、駅近くの店で遅めの昼食。釧網本線に乗って釧路湿原駅で下車。駅のすぐ前から続く階段を上って、細岡展望台まで歩く。釧路湿原の雄大な景色を眼下に眺められる場所で、夏場に訪れるのは19年ぶり。今日は少し雨が降るという予報で、傘も持参していたのだが、予想外に晴れて汗ばむくらいの陽気となっている。空には雲が多いものの、はるか眼下の川面は煌めき、湿原の彼方には雄阿寒岳も微かに見えている。次の列車までかなり時間があったので、ビジターズラウンジの喫茶室で休憩してから、展望台に戻って名残の景色を楽しむ。

次の列車は「くしろ湿原ノロッコ号」で、運転開始から20年目で、乗客数がもうじき百万人に達するとのこと。釧路に帰って早めの夕食の場所を探してみたものの、駅近くには店は少なく宿の側の炉端焼の店も開店前。幣舞橋の方まで歩いてみてもこれといった店が見付からなかったので、コンビニで軽食を買って済ませる。