小豆島は瀬戸内海では淡路島に次ぐ2番目に大きい島で、見所も沢山あるため路線バスで効率良く回るのは難しい。ということで土庄港から定期観光バスに乗車。世界一狭いとギネスブックに認定された土渕海峡を渡り、スカイラインの急坂を登って島の中央部に分け入る。最初の下車観光は銚子渓で、「お猿の国」に入園。バスの到着を待って始まったモンキーショーを観てから、しばらくの間自由行動に。遠くに展望台が見えたが、さすがにそこまで往復している時間はなかったので、駐車場の方に戻って滝が見える場所を探す。看板の案内に従って出たのは、上流側の縁までしか見えず、道路の方から回ってみても樹々に隠されて水が流れ落ちるところは見えなかった。音だけは辺りに響き渡っているのだけどね。
山道を辿って美しの原高原で二方向の展望を眺めてから、日本三大奇勝の一つである寒霞渓へ(残る二つは大分県の耶馬渓と群馬県の妙義山)。ロープウェーに乗るのなら昼食の前にというアドバイスがあったので、売店奥の乗り場に急ぐ。駐車場は頂上側になるので、ここから山腹の駅まで下ることになるが、切り立った岩肌が連なる車窓が印象的である。殆ど垂直の崖にしがみつくように、橙色の百合や桃色の撫子が咲いている。麓側の紅雲亭には特に見所はないので、すぐに折り返して寒霞渓に戻って予約していた昼食にありつく。数ある小豆島名産のうち、そうめんと鯛飯がメインになっていた。食後は近くの展望台から内海湾越しに田浦岬を見下ろす。四国地方は梅雨明けで良い天気となり、かなり暑くなっていたので、オリーブの実入りソフトクリームを食べながら駐車場で待っていたバスに戻る。
つづら折れの道を下って草壁港に出て、内海湾沿いに田浦岬を目指す。小豆島の名を全国に知らしめたのが、岬の分教場を舞台にした「二十四の瞳」である。二回映画化されているが、二度目の撮影の際に使ったセットが「二十四の瞳映画村」として公開されている。分教場の校庭にはボンネットバスが停まっていて、その近くには昭和初期の家並みが再現されている(土産物店として営業中(^^;)。タイムスリップしたような気分になるが、残念ながら映画は見ていないし、原作も二十年以上前に最初の数章を読んだだけである。子供の頃は国語嫌いだったため、日本の名作も題名や粗筋しか知らないものが多いので、そのうち機会があればいろいろと読んでみようかな。
草壁港に戻り、そのまま西進してオリーブ公園へ。今年はオリーブ栽培が始まって丁度百年になるとのこと。オリーブ記念館の展示を見学した後、斜面に広がるオリーブ畑を散策。オリーブは既に緑の小さな実をつけている。緑灰色の木々の向こうには青い海が広がり、ギリシャ式の白い風車や、古代ギリシャをイメージしたモニュメントもある。地中海を思わせる風景ではあるが、ここは瀬戸内海。ケッペンの気候区分でいうところのCs(地中海式気候)ではなくCfa(温暖湿潤気候)だからして、早い話が蒸し暑いのである(^o^;)
観光コースの最後は池田港近くにある孔雀園。入口付近には求愛中のオスが羽を広げていたので、早速撮影。前から見ると実に見事なのだけど、後ろ側は見慣れないのでまるで違う鳥のようである。園内には十羽以上が放し飼いになっているが、全身真っ白のアルビノの檻もあって、丁度通りかかった時に羽を広げたので、金網越しに撮影。同じ扇形でも全てが真っ白だと、かなり違った印象である。
土庄港に戻ったのは午後3時過ぎで、3時半発のフェリーには余裕で間に合ったが、定刻だとぎりぎり接続していない。次のフェリーでは羽田ゆきの最終便に乗れないため、島に連泊することにしたのである。バスを降りた時は暑さの盛りだったので、宿に帰ってしばし休憩。夕方の少し涼しくなった頃を見計らって外出し、平和の銅像経由で土渕海峡が最も狭くなっている場所まで30分近く歩く。既にバスで2度通過しているけれど、やっぱり歩いて渡ってみないとね。両岸の道路に挟まれて幅は10メートル弱。水の上は公園になっていて、どう見ても川のようだが、海峡というからには海なのである。てことは土庄港や町役場のある側は厳密に言うと小豆島ではない訳で、「前島」という名前になっているらしい。役場では横断証明書を発行していて、夜間や休日は宿直室で対応とのことだったので、折角なので100円で発行を依頼しておく。帰りに土庄港観光センターでうどんを食べようと思っていたのだが、既に閉店していた。近くにあまり店はないようだし、もう歩き疲れていたので、ホテルのレストランで夕食を済ませる。