2008/08/21(木)

コリントス運河

今日のツアーの集合は8時前だったので、比較的時間に余裕があった。集合は昨日と同じ場所で、係員の指示に従ってバスに乗ると、程なく停車して行き先方面別にバスを乗り換えることになった。アルゴリス(Αργολίδα)方面のバスに乗って、ペロポネソス半島に向けて出発。英語とフランス語の混成ツアーで、アジア人の参加者は他にいなかった。高速道路に乗ってアテネを出て、重工業地帯を抜けて海岸沿いに走って、コリントス運河(Διώρυγα της Κορίνθου)に到着したところで見学を兼ねた休憩となる。運河は駐車場から歩いてすぐのところにあって、橋から見下ろすと幅の狭い水路は遥か下方にあり、鋭く切り立った崖に挟まれた青い水という風景は印象的である。

ミケーネ遺跡

丘の上にある古代コリントス(Κόρινθος)を車窓に見ながらバスは走り続け、1時間弱でミケーネ遺跡に到着。ミケーネは古代ギリシャ語で"Μυκηναι(ミュケーナイ)"、現代ギリシャ語では"Μυκήνες(ミキーネス)"となるが、フランス語では"Mycènes(ミセーヌ)"となり、英語にな至っては"Mycenae(マイシーニー)"とかなり違った響きに聞こえる。19世紀末にシュリーマンによって発掘された遺跡で、早い話がトロイア戦争で攻め込んだ側である。ミケーネ文明は古代アテネよりもさらに古く、今から約3500年前というから、一昨日のアクロポリスよりも千年も遡ることになる。城壁の外の墓を見学してから、獅子の門(Πύλη των Λεόντων)を通って城内へ。「アガメムノンのマスク」は、入ってすぐのところにある円形墓地で発見されたとのこと。遺跡は丘の上に位置するので、見学路を辿って王宮跡まで上ると、なだらかに続く周囲の丘陵地帯が見渡せる一方、背後には石灰岩の露出した山々が控えている。職人の作業場跡を通って城の端まで行ってから、帰りは城壁伝いに歩いて城門に戻る。

遺跡の駐車場を出たバスは、すぐ近くのレストランに停まって昼食となる。ムサカ、グリークサラダに続いて、選択制のメインは仔羊のグリル。食後のグリークコーヒーをミルクだけで飲もうとしたら相当苦かったので、普段は使わない砂糖を投入(^^;;; 食後は土産物屋に立ち寄ってから、海辺の街ナフプリオン(Ναύπλιο)の対岸で見学停車。街のすぐ近くには、要塞のあるブルジイ島(Μπούρτζι)が確認出来る。

古代劇場

内陸部に入って反対側の海近くまで暫く走ると、エピダヴロス(Επίδαυρος)遺跡に到着。古代の療養場跡で、劇場や神殿、宿泊所もあったということは、温泉はないけれど湯治場みたいなものだったのだろうか。ここの古代劇場(Αρχαίο Θέατρο)はギリシャで最も保存状態が良く、改修されて今でも夏場は毎週末、古代劇が上演されているとのこと。ほぼ原型を留める劇場の中央に立つと、小さな声でも客席全体に響き渡るようになっている。劇場の他の建物はいずれも基礎や柱の一部等が残っているだけだが、一通り見てから駐車場に戻る。

帰り道に何度も眺めのいい場所を通ったが、走り続ける車内からはうまく撮影することが出来なかった。帰りもコリントス運河で休憩を取ってから、アテネ市内に戻る。各ツアーの集合時間を揃えることは出来ても、到着時間を合わせるのは無理なようで、乗り換えなしで参加者のホテルを順に回っていく。オモニア広場から一旦東に大きく回り込んだため、シンタグマ広場に到着したのは最後の方になったけれど、別段急ぐ訳じゃないからね。宿に戻って今夜も携行食をかじって、とっとと寝床に入るつもりだったが、読み掛けの文庫本の続きが気になって、少し夜更かしして最後まで読んでしまった(汗)

上橋菜穂子「闇の守り人」読了