2008/12/25(木)

そして今日はクリスマスデー(Christmas Day)の祝日。空港連絡バスも日曜ダイヤになり、朝の本数が極端に少なくなってしまうが、昼前の便を予約していたので問題なし。早めに空港入りして搭乗手続きを済ませ、国内線ラウンジで出発時刻を待つ。そういえば昨日からホテルや空港の係員が、サンタ帽や天使の羽根などを身に着けているのをかなり目にしたような気がする。今回のフライトはほぼ定刻通りの運航で、窓の外の地表はずっと雲に覆われていた。

スイートルーム

オークランド空港に到着後、手荷物を受け取ってバス乗り場に向かう。こちらのバスは日祝日でも本数が変わらないようだ。空港から市街地まで約1時間。高速道路を下りて、郊外を走るバスの車内から外を眺めていると、小さなジャカランダの木に花が咲いているのを見付ける。あれ、今頃でもまだ咲いているんだ、と驚いているうちに、イーデン(Mount Eden)山麓の大きな木に青紫の花が一面に咲いているすぐ側を通過。う~む、街からここまで結構離れているから、帰りのバスから撮影しようかな。それにしても、南半球では11月頃が開花時期だと聞いていたのに、12月末にもなってまだ咲いていたとは~と思っているうちにバスは中心部に入り、アルバート公園(Albert Park)に差し掛かったところで一際大きなジャカランダが。よし、ここなら大した距離じゃないはずだから、後で歩いて見に来よう。宿の最寄りのバス停で下車し、宿に向かって歩き始めたが、大通りが急な坂道になってびっくり。Googleのストリートビューで“予習”した時には、こんな急坂になっていることは分からなかった。少し早い時間だったが、チェックインを済ませて部屋に入る。天井の高いちょっと豪華な部屋だけれど、円高のおかげでかなりお得に泊まれるのである。

スカイタワーより

天気予報によると明日、明後日は雨が降ることになっていたので、景色を楽しむなら今日のうち。ということですぐに出掛けて、宿の近くのスカイタワー(Sky Tower)に向かう。隣接するスカイシティー(Sky City)に入ると、吹き抜けのロビーには巨大なクリスマスツリーが煌めいていた。エスカレーターで地下に降りて、入場券を買ってからエレベーターに乗る。スカイタワーは南半球で一番高い塔で328メートル、シドニータワー(305m)やエッフェル塔(312m)よりも高いと謳っているが、東京タワー(333m)程ではないことは気付かなかったことにしておこう(笑) 追加料金を払えば高さ186mの展望台からさらにエレベーターに乗って、高さ220mのスカイデッキに上ることが出来る。さすがにこれだけの高さだと、坂道や高層ビルの多い街でも、展望は抜群である。対岸の半島やその向こうに浮かぶ島々、目を転じれば整然と並ぶ住宅地や空港方面まで見渡すことが出来る。360度の展望を楽しんだ後は、下の展望台からも景色を眺めてみる。少し高度が下がったため、ここからだと様々なものが手に取るように見える気がする。ニュージーランド最大の都市、オークランド(Auckland)の別名は“帆の街(City of Sails)”であるが、その名に違わずハーバー・ブリッジ(Harbour Bridge)のたもとにはヨットが多数停泊している。なんでも市民の船の保有率が、自動車保有率を上回っているそうである。先ほど見掛けたジャカランダも、ここからでもはっきり確認出来る。他にもジャカランダの木を見付けたが、歩いて行くのが難しそうな場所だった。

ジャカランダ

この辺りは谷のような地形になっているようで、クイーン通り(Queen Street)に向かう道は下り坂になっているが、その向こう側は上り坂である。ウェルズリー通り(Wellesley Street)を歩いてアルバート公園の近くまで来ると、バス停のすぐ近くにジャカランダの大きな木に青紫の花が満開になっているのが見えてきた。オークランド工科大学(Auckland University of Technology / AUT)の正門に位置し、近くには歩道橋があるので少し上からも見下ろすことが出来る。花は終わりかけなのかと思いきや、まだまだ盛りのようである。様々な角度から写真を撮って、思いがけない巡り会いを享受する。

クイーン通り周辺は繁華街で様々な店が軒を連ねているが、今日は殆ど全ての店が閉まっている。ファストフード店まで営業していないので、日本の正月以上に開いている店を探すのが難しそうである。海に向かって通りを歩き、旧郵便局の建物を利用したブリトマート駅(Britomart Station)の前を通過し、フェリーターミナルに入る。今日は船も減便になっているようだが、時刻表を確認すると午後6時までは通常どおりの運航で、最終は午後10時とのことだった。改札内で少し待って入港した船に乗ったが、前方デッキに座ったつもりが折り返す時は方向転換をせず、逆向きに出航した(^^; 日本の渡し船でもよく見られるパターンで、両側が先頭になるような形だったんだね。

デボンポート

オークランド港を後にして、逆光のハーバーブリッジを遠く見ながら進み、20分程進むともう対岸のデボンポート(Devonport)に到着。入口のカフェを除いて軒並み休業中の店が続く桟橋を歩いて、港前の広場に出る。近くの住宅の一つは、庭木がジャカランダだった。デボンポートはオークランド市街地の向かい側に突き出た半島の先端で、直線距離では1キロ強でも、入江が大きく切れ込んでいるので陸伝いではかなりの距離となる。入植当時の面影を残す街並みで、港から続くビクトリア通り(Victoria Street)にはレストランや店が建ち並んでいるのだが、こちらもことごとく閉まっている。その通りの奥にあるビクトリア山(Mount Victoria)を登り始める。坂は少々きつかったものの、標高80メートルの小高い山なので、登るのはそれ程大変でもなかった。頂上が近くなったところで展望が開け、周りを取り囲む青い海の向こうにランギトト島(Rangitoto Island)からオークランド市街までが一望できる。そして眼下からノース・ヘッド(North Head)まで続く住宅地には、青紫色が点在していた。ちょうど日本の桜の季節に、薄桃色の花が遠くからでも目立つように、満開のジャカランダがあちらこちらの庭で咲いているのである。ざっと数えても十数本はある。頂上付近から反対側の住宅地を見下ろしても、やはりジャカランダを見付けることが出来た。山の斜面に咲いている濃い赤い花は、“クリスマスツリー”と呼ばれるフトモモ科の木なのかな。アガパンサスもあちこちで見掛けるけれど、この辺りに自生しているのだったっけ~と後から調べたら南アフリカ原産だった。

山を下りてノース・ヘッドに向かう途中で、住宅街の中をジャカランダ巡り。全てを見て回っていたらきりがなさそうなので、目に付くところを適当に回る。並木にこそなっていなかったものの、この辺りでは庭木としてわりとポピュラーなのかな。南島では見掛けなかったけれど、やはり気候がだいぶ違うのだろうね。こちらでは街路樹がオリーブだったりするし。海辺のエドワード王通り(King Edward Parade)に出て、ノース・ヘッドを目指して歩いたが、登り口らしきものはすぐに見付からず、展望ならさっきのビクトリア山から見てきたところだったので、海沿いを歩いて港に戻って船に乗る。帰りもデッキで潮風に吹かれていたが、さすがに北島だと夕方になってもまだまだ暖かい。

今日は店が殆ど開いていないということを事前に知っていたので、一応非常食は用意していたのだけれど、せめてサンドイッチでも買いたいな~とさっきは営業していた地下の売店に行くためにスカイシティーに入ると、1階のレストランも営業していたのでこれ幸いと夕食を済ませる。伝票を確認したらホリデーチャージが掛かっていたが、わずか数百円のことだし、今夜は開いている店を見付けただけでも幸運だったからね。因みに英国文化圏であっても、ニュージーランドにはチップの習慣がないようである。