2009/08/22(土)

朝5時に起きて身支度を済ませ、6時半のツアー送迎車で旅行会社へ。カウンターで手続きをした後は、バスの案内があるまで半時間を待合室でぼーっと過ごす。ツアーは共同催行のようで、2階建てバスは近くにある別の旅行会社の前からの発車。オベリスクのあるコンコルド広場(Place de la Concorde)、凱旋門のあるシャルルドゴール広場(Place de Charles de Gaulle)を経てパリ市街を抜け、高速道路に乗って西に向かう。とりあえず眠かったので、最初の半時間ぐらいは仮眠。旅程の半分くらい来たところでサービスエリアに入って休憩。週末とあってツアー客で混雑していて、あちこちに行列が出来ていたが、その半分くらいは日本人だったりする。カフェで軽食を調達しようとしたら結構待たされたので、売店でサンドイッチでも買おうかと振り返ったらレジにも長蛇の列だったのでそのまま待ち続ける。ようやく順番が回って来たのでリンゴの焼き菓子とカフェラテを注文。店内で食べていたら集合時間ぎりぎりになりそうだったので、車内に持ち込んでゆっくりと食べる。

オムレツ

往路の後半は、ノルマンディーの歴史やこれから訪れる場所について解説。4カ国語混成ツアーなので、英語、スペイン語、イタリア語、日本語の順番で車内アナウンス。ジャンヌダルクが英語でJoan of Arc(ジョーンオブアーク)になるのは知っていたけれど、スペイン語だとJuana de Arco(ホアナデアルコ)、イタリア語でGiovanna d'Arco(ジョヴァンナダルコ)になるんだね。日本語担当ガイドはとても日本語が達者なフランス人で、「日本で言うと鎌倉時代の~」とか「本能寺の変」とか「朝ぼらけ」とか日本史や古典にも詳しそうだった。週末で高速が混んでいたので、石積みの家が建ち並ぶ村を抜けて海岸近くまで出ると、モン・サン・ミッシェル(Mont Saint-Michel)が見えるホテルで昼食休憩。パリを出てからここまで来るのに、休憩を除いても約4時間半。日帰り観光地とはいえ結構遠いのである。食事は勿論、名物のオムレツとシードル(リンゴ酒)付き。オムレツと言っても、中にメレンゲを挟んだクレープのようなもので、独特の食感。噂通りの薄味だけれど、特に調味料を追加する必要は感じなかった。

モンサンミッシェル

モン・サン・ミッシェルは遠浅の湾の小島に築かれた修道院で、今年の4月に訪れたイギリス・コーンウォールのセント・マイケルズ・マウントと姿が似ているが、“本家”ともいうべきこちらの方が規模が大きい。昼食場所は島との間を結ぶ堤防のたもとにあったので、食後は島の全景の撮影場所を探して堤防の上を進む。集合時間まであまり余裕がなかったので、堤防が屈曲して展望が開けたところで望遠側で撮影を済ませると、小走りでホテルまで引き返す。再びバスに乗って堤防を走り、島の入口の駐車場で下車。日本語ガイドの案内に従って、城壁側から坂を上って岩山上部の修道院(Abbaye)に入る。まずは上階のテラスに出て周囲の景色を見渡す。引き潮の時間帯なので緑の陸地との間は一面の砂が続いている。空は良く晴れて汗ばむくらいの陽気となっている。

修道院列柱廊

708年に最初の礼拝堂が建てられて以来、修道院は増改築を繰り返して現在の姿となったが、牢獄として使われていた時代もあったのだとか。修道院附属教会から列柱廊、食堂と上階を進んだ後は、階段を下りて中階の迎賓の間、太柱の礼拝堂などを経て騎士の間から下階の司祭館に出ると内部の見学コースは終了となる。限られた立地条件の中で様々な時代の様式が組合わさった建築は、まさに“驚異(Merveille)”の名に値する。帰りは細い路地を通って大通り(Grande Rue)に出るが、狭い島ゆえ“大通り”と言っても両脇に店が軒を連ねる道は幅3メートルくらいで、そこが多くの観光客でごった返している。団体客と出会うと歩くのさえ大変になるので、城壁に登る道を見つけると、展望が少し開けた所から路地を見下ろしたり、修道院を見上げたりしながら自由時間を過ごす。

次の満潮は夜なので滞在中に海に囲まれた状態を見ることは出来ないが、今日は大潮ということもあって、満ちつつある潮が川のように流れているのが駐車場から確認出来た。後から思うと集合時間までに堤防を戻って広角側で全景を撮影する余裕があったはずなのだけど、さすがに疲れていたのかバスに乗って帰ることしか既に念頭になかったようである。帰りは往路よりもパリ寄りのサービスエリアで休憩となったので、売店でサンドイッチを買って車内で食べる。心配していた渋滞も殆どなかったようで、ほぼ予定通りにパリ市内に戻る。といっても既に午後9時で、夏時間でもすっかり暗くなっている。毎正時に照明が点滅するというエッフェル塔を眺めながらセーヌ川沿いに進み、旅行会社前に到着したところでツアーは終了。送迎車で宿に帰るや、すぐさま就寝。