2009/09/19(土)

予報通り朝から晴れているが、宿の部屋から見ると漢拏山は雲に覆われていた。日本からだと済州島のバスツアーは2人以上でないと申し込めず、島内の路線バスは観光向きではなさそうだったので、タクシーを2日間チャーターすることにした。という訳で迎えに来たタクシーに乗って宿を出て、島の東部に向かう。日本語を話す運転手から道中、済州島の紹介を聞く。有名な「三多(石と風と女が多い)」と「三無(泥棒と乞食と門がない)」の他、島の各所で見られる石像トルハルバン(돌하르방)の由来を聞く。一対のうち右手が上になっている方が「文」で、左手が上になっている方が「武」なのだとか。

万丈窟

小一時間で世界自然遺産「拒文オルム溶岩洞窟系(거문오름용암동굴게)」の万丈窟(만장굴)に到着。溶岩が流れ出た跡が洞窟となった溶岩トンネルで、昨年のハワイ島でも見学しているが、ここは世界最長で1.34kmも続き、そのうち1kmが公開されているのである。階段を下りて洞窟に入ると、夏場だから中の空気は涼しく感じる。秋芳洞のような大きな空間が広がっているが、溶岩トンネルなので壁面は溶岩が冷え固まる際に出来た模様が残されている。そして鍾乳洞に比べると造形の変化に乏しく、主な見所は600m地点にある亀石と1km地点にある溶岩柱くらいである。それ程大した距離ではないのだが、洞窟内はかなり暗い上、床は冷え固まった溶岩がほぼそのままなので、かなり歩きにくい。亀石は溶岩流で運ばれていた岩が途中で引っかかったもので、その名の通り亀の甲羅の形をしているが、済州島の形にも似ているというから面白い。溶岩柱は上層トンネルから下層トンネルへと流れ落ちた溶岩が固まったもので、ここにあるのが世界最大のものなのだとか。

城山日出峰

続いて向かったのが、島の東端に突き出た寄生火山である城山日出峰(성산일출봉)で、こちらも世界自然遺産に登録されている。テーブル状の山の中央が窪んでいる火山灰丘(タフコーン)で、オアフ島のダイヤモンドヘッドに似ていると言われている。手前の海岸から全景を撮影した後、登山口で車を降りる。海抜180mの頂上を目指して階段を上っていくと、次第に景色が開けてくる。天気が良いので細い陸地で繋がった済州島の東部が遠くまで見渡せるが、残念ながら漢拏山は雲に隠されていて見えない。約30分で噴火口を見下ろす展望台に到着。スケールが大きすぎてとても一枚の写真に収められないので、後からパノラマ合成出来るように撮影しておく。帰りは白波立つ海岸に寄り道してから駐車場に戻る。

モデルコースだとこの辺りにある海鮮鍋の店で昼食ということになるのだけれど、さすがにそれは食べられないのでパスしてすぐ近くのソプチコジ(섭지코지)へ。ここはドラマ「オールイン」の撮影地なのだそうだが、題名すら聞いたことがないドラマの関連施設が目当てだった訳ではなく、断崖絶壁の風景を見に来たのである。灯台がある岬の先端まで行ってから、さっき登った城山日出峰を別角度から眺めた後、再び車に乗って内陸部に入る。次の目的地の近くの焼肉店に入って、黒豚(오겹살)とジャガイモ麺を注文。

城邑民俗マウル

遅めの昼食が終わったところで、茅葺きの屋根を縄で留めた済州島の伝統的家屋が建ち並ぶ城邑民俗マウル(성읍민족마을)へ。海岸近くの済州民俗村(제주민속촌)という所でも伝統的家屋が復元されているが、こちらは昔らかの集落が保存されている所で、沖縄の竹富島と同様に今でも人々が生活しているのである。マウルのガイドの案内で、入口の門に登って集落を見下ろしてから、上流階級の家と、現在も人が住んでいる家を見学。地元の特産品として五味子茶(오미자차)と馬骨製品があるそうだが、五味子茶は本土と違って蜂蜜に漬込むということで試しに買ってみる。

サングムブリ噴火口

次は再び火山関係ということでサングムブリ(산구무부리)噴火口を訪れる。こちらはマールと呼ばれる、マグマ水蒸気爆発によって形成された火山地形で、世界的にも数はあまり多くないのだとか。直径600m、深さは100mと、城山日出峰に匹敵する大きさだが、草原となっていた城山と異なり、こちらは木々が茂っている。外側の斜面はススキに覆われ、蕾の赤と開花後の白が混在していた。噴火口を見下ろす展望台から階段を下りると、足に痛みを感じる。さすがに今日は歩きすぎたようだ。続いて島中央部の漢拏山登山口まで行ってみたが、残念ながらこれほど近くまで来ても漢拏山(こちらもやはり世界自然遺産)は雲に隠れたままだった。

少し時間が余ったので、旧済州(구제주)にある三姓穴(삼성혈)と龍頭岩(용두암)も訪れる。三姓穴は済州島の高、梁、夫の三神人が誕生したという伝説の地で、島内各地にゆかりの場所が残されているのだとか。龍頭岩の方は海岸に突き出た奇岩で、その名の通り龍の頭に形が似ている。

宿に戻ると部屋から漢拏山が見えていたが、ビルの谷間で一部しか見えないのが残念である。少し休憩してから夕食に出掛けたが、ガイドブックに載っていた店が見当たらない。念のためその近辺も少し広めに歩いてみたが、見付からない。仕方がないので第2候補の店に行こうとしたら、そちらも見当たらなかった。かなり歩き疲れていたし、遅めの昼食の量も多かったので、諦めてコンビニでサンドイッチを買って帰る。