2010/08/07(土)

熱気球準備

午前4時に起床して、早朝ツアーに備える。といってもこちらではずっと5時起きだったから、それ程早起きという訳ではない。まだ暗い5時過ぎに宿を出て、迎えの車に乗る。ギョレメ郊外の原っぱに着くと、数多くの熱気球が飛行の準備をしていた。内陸部の夜明け前は肌寒く、薄手のセーターを着てから、乗る予定の気球の近くで作業を見守る。最初はゴンドラを横向きにした状態で、送風機を使って球皮(エンベロープ)を膨らまし、途中からバーナーで断続的に熱気を送り込んで全体を起き上がらせる。準備が整ったところで、係員の指示に従って約20名の乗客が4つの区画に分乗すると、いよいよ浮上開始。

カッパドキア遊覧

離陸時は念のため持ち手を掴んでいたけど、ふわっと浮くような感じで全く衝撃はなかった。空は晴れて殆ど無風という、空の散歩には絶好の条件。暫くして太陽が山の間から姿を現したが、気球が高度を上げ下げするのに伴い、出たり隠れたりするので、どの時点が日の出なのか分からなくなりそうである。上空は気温が低いはずだが、バーナーの熱気で背中が暑くなったので、セーターは脱いでおく。西側のギョレメ方面は朝陽を浴びて、奇岩群が琥珀色に浮かび上がっているのに対し、山陰で逆光になる東側の谷間は、複雑な形の山肌が淡い色となっている。100メートル以上の高さからカッパドキアの全景を見渡したり、真下の崖を間近から覗き込んだりしながら、ローズバレーに沿ってゆっくりと北に進む。後から調べたところ、熱気球は上下方向以外は風任せなので、高度を変えることで進みたい方向の風を捕まえるとのこと。一度ゴンドラの底が岩の上部を擦ったりしたが、飛行の安全には影響ないらしい。昨日までのツアーでカッパドキアの地理や地勢は大体把握出来たので、改めて空から眺めるのは面白い。チャウシンの近くを通り過ぎ、遠くに「赤い川」が見えるようになった頃、着陸態勢に入る。丘の上で待機していた台車の上に舞い降りた後は、人力で台車を平地まで引っ張っていく。気球から降りて飛行証明書を受け取った後は、地元の発泡ワインで乾杯。なんでもフランスでの人類初飛行以来、熱気球の慣例になっているのだとか。こうして熱気球「ジュリア」による、1時間と少しのフライトが終了。

展望台より

宿の前まで戻っても、朝食の時間にはまだ早かったので、3日前に上った展望台まで足を運ぶ。午前中は順光になり、空も晴れているので、期待通りの絶景が広がっていた。谷間の向こうに見えるのは、ウチヒサルかな。名残を惜しみつつ展望台を後にし、宿に戻って朝食を取ってから、チェックアウトまで部屋で過ごす。迎えに来た車に乗り、アヴァノス経由で空港に向かう。晴れていても霞んで見えるエルジェス山は、標高4千メートル弱と富士山よりも高いが、カイセリ付近が標高千メートル以上の高原なので、相対的な高さは3千メートル足らずということになる。

カイセリ空港も、ターミナル入口で保安検査を受けてから、搭乗手続きをすることになっていた。機材到着遅れのため出発が30分遅れるとのことで、既に空腹になっていたので売店で胡麻パンとチャイを買って待合室で食べる。2度目の保安検査を経て搭乗待合室に進むと、暫くして目の前にA320が停止したので、折り返し準備が終わるのを待つ。帰りも同じ座席配列で、今度は最初から窓側だったが、ずっと逆光条件だったので写真撮影は難しい。それ以上の遅れもなくイスタンブル・アタテュルク空港に着陸したが、国際線エリアに到着したので搭乗橋は使わず、バスで国内線ターミナルまで移動。

スルーチェックインが済んでいたので、ロビーに出た後は案内に従って国際線エリアに進む。中間地点の辺りに、国内線用ラウンジの入口があったけど、国際線からの乗り継ぎを想定した場所なのだろうか。これじゃ見付からなくても無理はない。国際線カウンターは素通りして、出国審査を済ませてから免税店へ。帰りのアタテュルク空港で、トルコ式のチャイかコーヒーの器を探そうと思っていたことはすっかり忘れていたので、土産の菓子とワインだけを買ってラウンジに入る。乗り継ぎ便も30分遅れとなっていたが、新しい出発時刻の1時間前に再確認してみると、既に「搭乗中」となっていたのでラウンジを出る。搭乗口ごとにある保安検査場を通って待合室に進んだが、まだ搭乗が始まる気配はない。もしかしなくても、保安検査開始という意味だったのだろうか。全体的に空調の効きが悪いようで、多くの人が集まる待合室はかなり暑く感じる。そんな中、搭乗がいつ始まるかの案内がないまま待たされたが、ようやく乗り込んだ機内はかなり涼しかった。

機内食

帰りは最新機材のB777で、ビジネスクラスはニュージーランド航空のように、斜めに向いた座席が1-2-1配列となっている。前を向いたら前の座席のモニタが真正面だったり、斜め前を向いたら隣の人と目が合ったりと何かと戸惑うこともあるが、満席近くでもすぐ隣に席がなく、どの座席も通路側というのは楽である。快適性を優先したためか窓の景色は少し見辛いが、夕暮れのイスタンブルの街並みに別れを告げる。黒海からカスピ海の上空へと進んだが、暗くなっているので機内の地図でそれと分かるだけである。今回も食事にはトルコの赤ワインを注文。デザートまで済んだところで、寝支度に入る。ニュージーランド航空のビジネスクラスは背もたれを手前に倒してベッドにしていたが、トルコ航空では座面と一緒に前に迫り出す方式になっていた。他にも、ニュージーランド航空とは異なり、向かい合って食事が出来るようにはなっていなかった。