2010/09/04(土)

羽田に30分前に到着しても飛行機には間に合うけど、やはり余裕を持って1時間前に着くように家を出る。売店でベーグルサンドを買ってから、久々にバス連絡で搭乗。便名は747だけれど使用機材は320。左側の窓から富士山、諏訪湖、北アルプスを見ながら富山湾に出て、能登空港に着陸。羽田便が一日2往復のみ就航する空港であるが、飛行機の発着に合わせた空港連絡専用バスはなく、通常の路線バスの一部が空港経由になっているようで、次の輪島方面が来るまで40分以上。展望デッキから富山湾や雲間に見える立山連峰を眺めた後は、ターミナル内に座ってバスを待つ。以前は午前便の到着に合わせた定期観光バスのコースがあって、能登半島の観光名所を効率良く回ることが出来たのだけど、調べてみたら今年の3月限りで廃止になっていた。午後便の出発に合わせたコースなら今もあるけど、今回の旅程では利用出来ないので、路線バスを乗り継いで移動することになったのである。

輪島駅

のと鉄道七尾線の末端区間、穴水-輪島間は2001年に廃止となったが、今でも路線バスのターミナルは“輪島駅”を名乗っている。駅舎の跡は「ふらっと訪夢」という名前の道の駅になっていて、駅前広場にはバス・タクシー乗り場があるので、今でも駅のような雰囲気がある。線路の一部がモニュメントとして残っているが、長さ3m程度のホームは作り直した感じがする。隣駅の欄に“シベリア”と書いてある駅名標のレプリカもあった。バスの乗り継ぎが50分以上あっても駅近くに見所はなさそうだったので、荷物をロッカーに預けて待合室で文庫本を読んで過ごす。

千枚田


宇出津ゆきのバスに乗り、輪島市街地を出て東に向かう。途中、寝豚(ねぶた)という変わった名前の停留所を通過。白米(しろよね)で下車すると、道の駅「千枚田ポケットパーク」までは歩いてすぐ。展望台からは海岸まで続く棚田を見下ろすことが出来る。暑さは続いていても稲穂は色付き、一部区画では刈り取りが始まっているようである。この場所には二十年前も訪れているが、春の連休だったから風景はかなり違っている。次のバスまで時間はたっぷりあったので、棚田の間の遊歩道を散策。この季節の田は稲が生い茂り、上から眺めると斜面全体が繋がっているように見えるが、下から見上げると区画同士はかなり離れているのが分かる。中には1m以上の段差になっているところもある。天気が良いので写真撮影には好条件だけど、真夏日に急勾配の道を歩き続けるのは楽ではないので、一回りした後は売店でソフトクリームを買って、木陰に座って30分後のバスを待つ。

曽々木海岸

再び宇出津ゆきのバスに乗って、曽々木口(そそぎぐち)で下車。頭の中で“注ぎ口”と変換してしまいそうである。交差点から国道沿いに10分歩くと、曽々木海岸の「窓岩ポケットパーク」に着く。窓岩は波の浸食で窓のような穴が貫通した一枚岩で、東側から見るとこの時間帯は逆光になっているが、順光となる西側からだと窓の形に見えない。そこからさらに東に進むと、かつては“能登の親不知”と呼ばれた断崖続きの難所となる。国道の八世乃洞門トンネルは能登半島地震で被害を受けたため、昨年内陸側に新トンネルが開通した後は閉鎖されている。海側には江戸時代の旧道を利用した「波の花道遊歩道」となっていて、案内図によるとそのまま東側に出られるようになっていたので歩き始めたが、トンネルを抜けた先で通行止めとなっていたので引き返す。諦めてバス停に戻るには早過ぎるけど、さりとて山側の遊歩道で千体地蔵まで行くのも大変そうだと思っていたら、国道の新トンネルは800mと意外と短くて歩道も整備されていたので、トンネルの中を歩いて垂水の滝に向かう。滝は出口から少し離れた海辺にあり、岩肌を伝って海に直接注ぎ込むのが特徴となっている。冬場は強風に煽られて、水が吹き飛ばされてしまうのだとか。

曽々木口バス停には早めに戻ったつもりだったが、バスの方もかなり早く来た。あれれ、始発でもないのに何故と驚いたが、実は勘違いして別のバス停の時刻を見ていたことに気付く。偶然近い時刻にバスがあったから良かったものの、場合によっては1時間以上待ちぼうけになるところだった(激汗) 旧輪島駅に戻って荷物を取り出し、海側の宿まで歩いてチェックイン。夕食のため外に出掛けるのは面倒だったので、館内のレストランで済ませる。フロントで確認したら最寄りのコンビニまで2kmということだったが、館内には軽食の自動販売機があったので、明日の昼はなんとかなりそうで一安心。輪島市にコンビニがない訳ではないのだが、残念ながら駅から港にかけて空白地帯となっているようである。