2010/09/25(土)

サケの遡上

5時に起床して早朝ツアーに参加。迎えの車に乗ってウトロを出て南に向かう。途中、オシンコシンの滝の前を通ったが、落石の影響で滝に近付く階段が閉鎖されていた。遠音別川の手前の駐車場で下車して、サケ・マスの遡上を観察するのがツアーの目的。橋の上から魚の群れが確認出来たので、川岸に降りて近くから観察。今年はサケの遡上が遅れていて、現時点ではカラフトマスが主体とのこと。ということは昨日ペレケ川で目撃したのは、殆どがカラフトマスだったのかな。カラフトマスはサケよりもやや小型だがオスの“背っぱり”が顕著で、2年後に海から戻って来るがサケほど母川回帰本能はないらしい。偏光グラスを借りて観察すると川の中が良く見えるのだけど、写真を撮る時は外さないと偏光フィルタの効果が分からなくなってしまう。遠音別川はペレケ川よりも幅が広く、人影を警戒してかサケ・マスは遠い側にしかいない。しかもどんよりと曇った早朝なので、シャッター速度が遅くなる。偏光フィルタで光の反射は抑えられるといっても、川面の揺らぎや魚の動きがあるため、“川の中に何かがいる”というだけの写真になってしまう。風の吹きすさぶ川岸でじっとしていると、薄手のセーターだけでは寒さに耐えられなくなったので、風除けにポンチョを羽織る。海岸に出て河口に行ってみたが、潮が満ちていなかったためか、海から川に入る魚は見られなかった。車に乗ってウトロに戻り、サケ・マスの水揚げが見られるかと漁港にも寄ってみたが、今日は時間が合わなかったようである。遠く知床連山が初冠雪しているのが確認出来た。

宿に戻って朝食を取った後、チェックアウトしてから荷物を抱えて坂を下り、バスターミナルで荷物を預けてから羅臼ゆきのバスに乗車。知床横断道路に入って知床峠を越え、1時間弱で羅臼バスターミナルに到着。ウトロ-羅臼間のバスは夏期のみ1日4往復。斜里バスと阿寒バスの共同運行で、羅臼側は阿寒バスのエリアである。今年1月に阿寒湖を訪れる時に利用した会社であるが、釧路から羅臼まで直通するバスが1日4往復(休日2往復)あるというから驚きである。羅臼バスターミナルは市街地の外れにあるので、町役場の前を通って海岸側に出る。羅臼橋から羅臼川を覗くと、やはりここでもサケ・マスの群れが見られた。

国後展望塔より

羅臼観光としてまずは羅臼国後展望塔を目指す。少し迷いながらも登り口を見付けて、丘をぐるっと回り込む坂道を上る。ここまで熊が来ることはないかもしれないけれど、念のため鈴を付けて歩く。延々と坂を上り続けること1.3kmで展望塔に到着。早速屋上デッキに出てみたが、昨日のトレッキングの後で坂をすたすた歩いたら、少し膝にきてしまったようである。空は一面の雲に覆われていたが、国後島のほぼ全景を見ることが出来る。爺々岳方面は半ば雲に隠れているものの、羅臼山やその他の場所ははっきりと見える。目を左に転じると、眼下には羅臼の市街地が広がっている。天気が良ければ知床峠方面に羅臼岳も見えるらしいが、生憎と今日は雲隠れ。建物の中にも展望室があるので、冬でも景色を眺めることが出来るようだが、さすがに積雪時に歩いて上って来るのは無謀かな(^^;

麓に降りて再び羅臼川を渡るが、最も海寄りの橋は「オジロ橋」という名前だった。もしかしなくてもオジロワシと掛けている訳で、橋の両側にはオジロワシの像が計4つ。そのまま東に向かい、「オホーツク老人」の像がある「しおかぜ公園」を経由して、集落が終わった先にあるマッカウス洞窟へ。ヒカリゴケが自生する洞窟ということで来てみたのだけど、「ひかりごけ↓」と表示してある場所にはコケらしき物は見当たらず、少し離れた場所にコケのような緑が広がっているが光っているようには見えない。自発光ではなく光線の加減で光って見えるらしいので、天候あるいは時間が条件に合致していないだけなのだろうか。洞窟内に自生場所は幾つかあるのだけど、落石危険のため一ヶ所以外は立入禁止になっていた。

昼は道の駅「知床・らうす」でチャンチャン焼き。日替わりの魚はサケではない白身魚だった。羅臼バスターミナルからバスに乗って、再び知床峠を越える。相変わらず空は曇っていたが、羅臼岳は姿を現していた。ウトロバスターミナルで荷物を取り出し、ペレケ川の魚を見てから知床斜里ゆきのバスに乗り継ぐ。ウトロを出た時点で少し遅れていたが、終点の斜里バスターミナル到着はほぼ定刻通りだったので、網走方面の列車には余裕で間に合う。釧網本線の上り列車はやや混雑していたが、浜小清水で団体客が下車。網走に到着後、駅前のホテルにチェックインしてから、部屋に荷物だけ置いてすぐさま出掛ける。

茜雲とサンゴ草

網走駅前から中湧別ゆきのバスに乗車。湧網線代替バスは今月末をもって廃止になるので、この行き先を見るのは今回が最後となる。卯原内の一つ手前で下車して、能取湖半のサンゴ草群落へ。台風の影響で明日の午前中は雨という予報なので、来るなら今日のうちかなということで。今年は北海道でも気温の高い日が続いたため、サンゴ草の色付きも遅れていたが、端の方にはかなり赤くなっている部分もある。写真を撮っているうちに日が暮れてきたが、今回は入口付近のサンゴ草をライトで照らし出していた。赤い光を使っているので、サンゴ草じゃない植物まで赤くなっているという話もあるけど、茜雲とサンゴ草という出来過ぎた組み合わせの写真が撮れた。約一時間後の折り返しのバスに乗って網走駅前に戻り、バス停の目の前のファミレスで夕食。実はウトロを出てからここまでの行動が、一昨年来た時と全く同じだったりする。でも来月から減便に伴ってバスの時刻が変わり、釧網本線からの乗り継ぎが僅か3分になってしまうので、荷物を全部抱えて移動してもぎりぎりになりそう。