2011/05/05(木)

ボルドー市街

今日のツアーは午後からなので、午前中はボルドー市内を散策。まずブルス広場に行って、道路の反対側にある噴水広場に写る姿を見ようと思ったら、朝早いせいか水がなくて実像のみだった。ガロンヌ川沿いに歩いて、カイヨ門(Porte Cailhau)の前を通ってピエール橋(Pont de Pierre)へ。ヨーロッパの古い街では石造りの家が並んでいるが、ガロンヌ川沿いの家並みは建築様式が統一されているので、見事に整然としている。橋を渡ろうとしたら北側の歩道が工事中だったので、橋からの眺めも橋の外観写真も片側に限定されてしまう。対岸に渡って手前の景色が邪魔にならない場所を探して、ボルドーの街並をパノラマ撮影してから再び橋を渡る。袂にあるのが、なんとブルゴーニュ門(Porte de Bourgogne)。ボルドーに“ブルゴーニュ”があるなんて、一体どういう謂れがあるのだろう。ワイン繋がりだったら面白いのだけれど。街中に入って大時計(Grosse Cloche)、アキテーヌ門(Porte d'Aquitaine)を見てから、ペイ・ベルラン塔(Tour Pey-Berland)へ。定員19名ということで、5分くらい待ってから中に入る。独立した鐘塔で螺旋階段が一つしかないので、すれ違うのが大変だけど、頑張って上まで登ればボルドーの街並の全方向が見渡せる。

隣のサンタンドレ大聖堂(Cathédrale Saint-André)を訪れた後は、露店の並ぶカンコンス広場(Place des Quinconces)まで行ってから、大劇場の前のコメディ広場(Place de la Comédie)に面した店で昼食。注文したグラスワインが品切れだったので、メドックが飲みたいと言ったら代わりのグラスワインを出してくれた。銘柄は確認しなかったけれど、左岸の特徴があるワインだったことは確か。主菜はワインに確実に合う物を、ということでボルドー風ビーフステーキ(Bœuf Steak à la Bordelaise)。ホテルのブラッスリーだったので、デザートまで注文したら結構いい値段になったけど、集合場所の至近距離だったので慌てずに食事をすることが出来た。

午後の半日ツアーの木曜日は、本命ともいえるメドック地区である。実は今回、メドックとサンテミリオンの両方に行けるように、日程を調整していたりする。メドック(Médoc)は左岸を代表する地区で、ラテン語の"In medio aquae(水の真ん中)"に由来する地名は、ジロンド川と大西洋に挟まれていることを表すのだとか。地区名AOCとしては、下流側のメドック(Médoc)と上流側のオーメドック(Haut Médoc)に分かれるが、オーメドックの中にはさらに6つの村名AOCがある。ボルドー市からバスに乗って北に向かい、最初に訪れたのが村名AOCを名乗れる場所の一つ、リストラック・メドック(Listrac-Médoc)にあるシャトー・カップ・レオン・ヴェイラン(Château Cap Léon Veyrin)である。昨日と同様、醸造施設を見学して、ワイン作りの解説を聞いた後、2種類のワインを試飲。Château Julien(ACリストラック・メドック)の2007とクリュ・ブルジョワのChâteau Bibian(同)の2002で、どちらもメドック地区では珍しくメルローが主体。というのもリストラック・メドックは、砂利が多いメドックの中でも例外的に土壌が石灰質だからだそうな。

シャトーマルゴー

バスでもう一つの村名AOCであるマルゴー(Margaux)に移動し、シャトー・マルゴー(Château Margaux)で下車。“五大シャトー”の1つに数えられ、“ワインの女王”とも呼ばれる高品質ワインを産する超有名シャトーであるが、さすがに通常のバスツアーで内部見学や試飲が出来る訳ではない。短時間の見学停車に過ぎないけれど、エチケット(ラベル)に描かれた建物の外観を垣間見たり、畑を見学出来ただけでも感激である。いつかはファーストラベルを飲んでみたいと思っているけれど、安くても一本ン万円もするのでそう簡単には飲めない。セカンドラベルであるPavillon Rouge du Château Margauxならハーフボトルを買ったことはあるけれど、それでも通常の格付けワインと変わらない値段なのである。

シャトードーザック

続いて本日2カ所目の見学先となるシャトー・ドーザック(Château Dauzac)へ。5級の格付けシャトーで、先程ちょっと立ち寄っただけのシャトー・マルゴーを別にすれば、今回の真打ち登場といったところである。メドック地区の格付けは、1855年のパリ万博に際してナポレオン3世(Napoléon III)の命で行われたものである。ただ一つの例外(Château Mouton Rothschild)を除いて150年以上も見直しは行われていないので、必ずしも当時の等級通りの順列が保たれている訳ではないにせよ、今でも高品質なワインを産出していることには違いない。メドック地区でグラン・クリュ(Grand Cru)を名乗れるのは、格付けシャトー(ファーストラベル)のみで、それ以外の良質ワインから1932年に選定されたクリュ・ブルジョワ(Cru Brougeois)の方は、何度か改定を重ねている。シャトー・ドーザックのラベルに描かれているのは、池の畔に建つ優美な城館であるが、現在ワインの醸造は別の建物で行われている。今回見学した中では最も規模が大きく、立ち並ぶ金属タンクを上階から見下ろす。そして試飲は、セカンドラベルのLabastide Dauzac(ACマルゴー)の2007とファーストラベルのChâteau Dauzac(同)の2007。これまでの試飲はメルロー主体のものばかりだったが、ようやくカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインである。香り高くて力強く、優美で余韻も長いマルゴーらしいワイン。ここで購入すれば日本で買うよりずっと得なはずだけど、機内には持ち込めないのでスーツケースに入れて預けるか別送にする必要があるが、どちらも面倒なので断念。この黄色いラベルに見覚えがあるということは、日本でもきっと手に入るだろう。

夜のブルス広場

ボルドー市内に戻ってツアーが終了したところで、それほど空腹になっていた訳でもなく、今日もそれなりに飲んだ後なので、普段なら夜は軽食で済ませるところだけど、折角ボルドーまで来て2日連続でそうするのはあまりに勿体ない! ということでツアーで一緒だった人と近くのブラッスリーに入る。ワインリストの中にBrio de Cantenac Brown(ACマルゴー)の2006があったので迷わず注文。シャトー・ブラーヌ・カントナック(Château Brane Cantenac)の兄弟シャトーといわれるシャトー・カントナック・ブラウン(Château Cantenac Brown)のセカンドラベルなのだから、美味しくないはずがない。前菜はアスパラガスのソテーにして、主菜は鶏とソーセージと豆の煮込み、そしてデザートにタルト・タタン(Tarte Tatin)まで頼んでしまった。食後はガロンヌ河畔に出て、ボルドーの夜景やブルス広場の水鏡を撮影してから宿に帰る。