2011/07/24(日)

今日は朝からどんよりとした天気。今日利用する列車は別会社の運行だけど、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn/DB)の券売機で切符を買うことが出来た。新型車のコミューター列車に乗って、マイン川(Main)右岸を西に向かう。ヴィースバーデン(Wiesbaden)では、頭端式ホームに入ったので、反対向きの座席に移る。ここから進行方向を変えてライン川右岸線(Rechte Rheinstrecke)に入り、フランクフルトを出てから1時間と少しでリューデスハイム・アム・ライン(Rüdesheim am Rhein)に到着。

ライン川

駅前広場に出ると僅かに雨が降っていたが、傘を差すほどではないなと思っているうちに、ブレムザー城(Brömserburg)に着いてしまう。12世紀以来増築を重ねた城で、現在はワイン博物館(Weinmuseum)となっている。この辺りはドイツに14あるワイン栽培地域の一つであるラインガウ(Rheingau)で、街の周囲にはブドウ畑が広がっている。入口でオーディオガイドを借りて、ワイン樽作りや歴代の保存容器やラベルなどの展示を見学。テラスから対岸の景色を眺めた後、外に出ると雨は止んでいたので、昼食まで屋外を観光することに。オーバー通り(Oberstraße)を中心部に向かって歩いていくと、ドイツの地方都市らしい家並みが出現。つぐみ横丁(Drosselgasse)を過ぎたところにあるゴンドラリフト(Kabinenbahn)乗り場へ。2人乗りゴンドラが次々とやって来るタイプのロープウェー(Seilbahn)で、遠ざかる街並やライン川を見ながらブドウ畑の斜面を上る。終点のニーダーヴァルト(Niederwald)で降りて少し歩くと展望台に出ると、中心となるゲルマーニア女神像(Germania)は修復工事のためシートで覆われていた。天気が良くないので景色はそれほど期待していなかったが、思ったよりも視界はずっと良くて、対岸の丘やもっと遠くまで見渡すことが出来た。

つぐみ横丁

麓に降りて“Winzerkeller”で昼食。名物のリースリング・クリームスープ(Rieslingrahmsüppchen)とソーセージ(Wurst)をメインにしたリューデスハイム風農家料理(Rüdesheimer Bauernteller)、リースリングのグラス、そして勢いでアップルパイ(Apfelstrudel)まで注文したりして。食後は細い路地の両側に店が並び観光客で賑わうつぐみ横丁を抜けて、ケルン・デュッセルドルフ・ドイツライン汽船(Köln-Düsseldorfer Deutsche Rheinschiffahrt/KD)の乗船場で片道切符を購入。折り返しの船は既に到着していても、出航まで1時間近くあったので、街に戻ったりして適当に時間つぶし。15分くらい前になって乗船が始まったので、甲板に出てみるとかなり肌寒い。この辺りはここのところずっと低温が続いているようだが、今日は曇っていて一段と肌寒い上に川風まで吹いている。船室に入れば暖かいに決まっているが、折角の船旅なのでやはり外で景色を楽しみたい~ということで体が冷えきらないよう注意しながら甲板に留まることにする。

ラインシュタイン城

午後2時過ぎにリューデスハイムを出航して、ライン川を下り始める。両岸の斜面にはブドウ畑や林が広がり、ところどころに集落がある。船はその集落を縫うように結んでいて、ビンゲン(Bingen)、アスマンハウゼン(Assmannshausen)と左岸や右岸を行ったり来たりしながら下ってゆく。そしてライン川下りを特徴付けているのは、川岸に(一部は中洲にも)連なる城の数々。クロップ城(Burg Klopp)、ねずみの塔(Mäseturm)、ラインシュタイン城(Burg Rheinstein)と続いてゆく。川面には他の観光船や、大型の貨物船も航行している。そして両岸には、ライン右岸線とライン左岸線(Linke Rheinstrecke)が近くを走っていて、時折列車が駆け抜ける。

ローレライ

左岸のバッハラッハ(Bachrach)を出て背後のシュターレック城(Burg Stahleck)や中洲のプファルツ城塞(Pfalz)などを見た後、オーバーヴェーゼル(Oberwesel)を過ぎると、川は急角度で蛇行して岩礁が出現する。この近くにあるのが岩崖のローレライ(Loreley)で、遠くからでも分かるように、川岸に大きなネームプレートが掲げてある。船人を惑わす乙女の伝説で名高いが、恐らく船旅の難所であることから伝説が発生のだろう。ローレライを通り過ぎるとすぐザンクト・ゴアー(Sankt Goar)到着となるので、慌ただしく準備をして下船。船はさらに下流にあるコブレンツ(Koblenz)ゆきだが、そこまで行くとフランクフルトに戻るのがかなり遅くなってしまうので、ハイライト区間と言われる区間のみの乗船となったのである。なお、宮古島の「うえのドイツ文化村」にある「博愛記念館」のモデルとなっているマルクスブルク城(Marksburg)は、コブレンツの近くなので今回は見ることが出来なかった。

ザンクト・ゴアーは小さな町で、近くの丘に登ればラインフェルス城(Burg Rheinfels)を見学出来るが、時間が掛かりそうだったので止めておく。駅は坂を上ったところにあって少し分かり辛かったが、列車の時間には十分間に合った。無人駅だが通路の途中に一台だけ券売機があったので、とりあえずマインツ(Mainz)までの切符を購入してホームに上がる。ローカル列車と貨物列車が主体のライン右岸線に対し、幹線となっているライン左岸線には多数の高速列車が走っているが、ザンクト・ゴアールに停車するのは1時間に1本のローカル列車のみ。少し遅れて来た列車に乗り込むと、ほどなくローレライが車窓に見える。そのままライン川を見ながら走っていると、辺りは暗くなって雨が降り始める。途中の駅で特急を退避して、1時間と少しでマインツに到着。当初はここで途中下車して、旧市街にあるワインレストランで夕食を取るつもりだったが、駅から少し離れている上まだ雨が降っていたので、駅構内で切符を買い直して近郊列車(S Bahn)に乗り継ぐ。6時過ぎにフランクフルトに戻り、サンドイッチを買って帰る。