今日の天気予報は終日曇り。明け方に雨が降っていたようで、出掛ける時も少しぱらついていたが、近くの停留所からバスに乗って南に向かう。大島は山が多く、島の中でも場所によって天気が異なると聞いていたが、実際に名瀬市街を出てトンネルを抜けて南側に出ると、雨の降った形跡は全くなくなり、空を覆う雲も薄くなっている。途中のバス停名のアナウンスで、奄美でも“城”をグスクと読むことを知る。住用湾の入口にあるマングローブは大規模群落としては日本最北端となり、展望台から見下ろしたりカヌーに乗ったりするのが大島観光の定番となっているようだけれど、今日の目的地はまだまだ先。一山越して奄美市を出て、伊須湾沿岸を走ってからもう一山越して、瀬戸内町中心部の古仁屋(こにや)へ。集落内をぐるっと回ってから終点に向かうため、乗船場には途中の古仁屋港前で下車してから歩いた方が早いのだけど、時間に余裕があったのでそのまま乗り通す。マラソンで交通規制が掛かっていたが、バスは迂回せず選手のペースに合わせて進んで行った。終点の「海の駅」で下車して、乗船券を買ってから少し待ち、ターミナル内の食堂に入って奄美名物の「油そうめん」を注文。そうめんを具と一緒に炒めたもの~って早い話が、沖縄の「ソーミンタシヤー」なのかな(^^;
“瀬戸内”の町名が示す通り、古仁屋は海峡に面していて、向かいにあるのが加計呂麻(かけろま)島。大島のすぐ近くにあるため、他の島より知名度が低いのかもしれないが、実は奄美群島では4番目の面積で、喜界島や与論島よりも大きいのである。古仁屋からは同じ船が瀬相と生間(いけんま)の2カ所を交互に結んでいて、それぞれ1日4往復と3往復。名瀬から日帰りで回るには大きすぎる島なので、生間に渡って周辺を観光することにする。20分の乗船時間で加計呂麻島に到着すると、生間港には3方面に向かう路線バスが待機していたが、今回は徒歩なので見送る。小型バスや自家用車が去って急に静かになった港を後にして、まずは海岸沿いを西に向かう。途中の防波堤にスイジガイ(水字貝)を並べているのを見掛けたが、奄美でも沖縄と同様に火難避けとなっていることを後から知る。思ったよりも天気は良くて、晴れ間も出て来たので海の色も綺麗である。小さな峠を3つ越して、ようやくスリ浜に到着。加計呂麻島は「寅さん」最後の作品の舞台となり、この浜もロケ地の一つなのだとか。といっても映画は見たことはないんだけどね(^^;
一通り撮影した後は一旦港近くまで戻り、南に向かって峠を越すと、地峡部なのですぐに反対側の諸鈍(もろどん)湾に出る。こちら側の空はどんよりとした雲に覆われていて、海の色も今ひとつ冴えない。まあ晴れていたところで、この時間だと逆光になるのだけどね。海岸沿いにデイゴの大木が連なっていて、花の時期は見事だそうだが、奄美では5~6月とまだまだ先。さすがに3~4月に咲く沖縄よりは遅いようである。こちらも映画のロケ地となっていて、撮影記念碑が目立つ場所にあった。帰りの船までかなり余裕があったので、生間港の近くを経由して、今度は北東に向かう。集落を通り越して岬に辿り着くと、「ムチャカナ公園」の標識の向こうには坂道と長い階段が見えている。10km近く歩いた後に登るのは無茶かな~と駄洒落を言いたくなる状況だったが、折角ここまで来たからには引き返す訳にも行くまい。ということでえっちらおっちら登って、「むちゃ加那節」の歌碑のある広場に出る。生間出身の美女うらとみと、喜界島で生まれた娘むちゃ加那の悲劇を歌ったもので、喜界島にも「ムチャ加那公園」があるが、去年訪れた時には行き損ねている。加計呂麻島の公園からの見晴らしはそれ程良くないが、垣間見える景色を撮影してから港に戻る。
帰りのフェリーで古仁屋に到着したのは午後4時過ぎ。船とバスの接続はあまり良くなくて、その辺りを散策してから5時発のバスに乗る。走っているうちに日は暮れ、名瀬に戻る頃にはすっかり夜になっていた。夕食はホテルのレストランに入ったが、やっぱり今夜も鶏飯と黒糖焼酎ということになる。