2012/03/11(日)

朝7時過ぎに宿を出て駅に向かい、既に停車中の2両編成の普通列車に乗り込む。阿南駅で時間調整となり、徳島始発とは1時間近くも差があるため、阿南泊とすることで朝の時間を得したことになる。海岸から少し奥まった所を南下し、牟岐で後ろの車両を切り離してワンマン運転となる。終点の海部で降りて、隣のホームで待機していた阿佐海岸鉄道・阿佐東線の単行列車に乗り換える。空は雲一つない快晴。社名の通り海岸沿いに走って次の宍喰(ししくい)に停車した後は、県境のトンネルを抜けるとすぐ終点の甲浦(かんのうら)となる。20年前に乗りに来た時は、折り返し列車ですぐに引き返したが、今回は高架ホームから階段を下りて、駅舎内で乗継ぎのバスを待つ。30分以上あったので、集落を通ってバスの始発の甲浦岸壁まで歩いてもよかったのだけど、途中で道に迷って乗り損ねたりしたら困るのでおとなしく待合室周辺に留まる。

室戸岬

定刻通りにやって来たバスに乗って国道55号線を南下すると、歩き遍路の人々を何度も追い抜かす。夫婦岩の横を通り過ぎ、約50分で室戸岬バス停に到着。まずは中岡慎太郎像の背後の斜面にある展望台まで登って、岬の突端にある岩礁を見下ろす。風が肌寒くても相変わらず良い天気だが、この時間は逆光気味。麓に降りた後は、巨岩に根を張るアコウ樹を見てから、黒い岩の連なる潅頂ヶ浜に出る。そこからは「乱礁遊歩道」を歩いて、子授けの岩、弘法大師目洗いの池、月見が浜と名所を順に辿る。遊歩道の途中にもあるアコウの大樹を眺めつつ、「土佐日記御崎の泊」の石碑、エボシ巌、弘法大師行水の池、ヒシャゴ巌の傍を通って国道合流地点に出ると、目の前の丘の上に「青年大師像」が聳えている。拝観料を払って仁王像の間から入場し、階段を上って釈迦涅槃像の近くから海を見下ろす。

最御崎寺

帰りは国道を歩いて御厨人窟・神明窟を見学してから、天狗岩、水掛地蔵の横を通って分岐点から遍路道に入る。急な階段をえっちらおっちら登り、一夜建立の岩屋、捻り岩という弘法大師縁の場所を通ってさらに登り続け、約20分でようやく第24番札所である最御崎寺(ほつみさきじ)に到着する。すぐ近くには室戸岬灯台があり、はるか眼下に荒々しい海岸が横たわる。下りは違う道ということで、室戸スカイラインを歩いてみたかったが、アバウトな観光マップではどのくらい遠回りになるか分からなかったので、元来た遍路道を下ってバス停に戻る。後から調べたらそれ程大回りではなかったので、次のバスまで時間を持て余すのだったら、そちらを通った方が良かったかも。

早咲きの桜

風が強まる中、安岐方面に向かうバスに乗り、室戸市街を通って土佐湾沿いに北上。途中の奈半利で土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」に乗り換える。正式名称は阿佐線で、午前中に乗った阿佐東線と繋げて海部-甲浦-室戸-奈半利-安芸-後免と結ぶ計画だったが、完成間際だった両端がそれぞれ別の第3セクターとして開業したものの、甲浦-奈半利間は未成線のままである。今日はバスも使ってその幻のルートを辿ったことになる。高知ゆきの列車は安芸から快速となり、約1時間で後免町に到着。目的とする立田は快速通過駅で、一つ手前の「のいち」で乗り換えると20分待つことになる。それよりも後免町から反対方向の普通に乗り換えた方が早く着くから、と一駅先まで乗ったのだけど、隣の駅までは1kmちょいだからと、勢いで歩いてしまう。バスもあるけど次は1時間後だったし。とはいえ立田駅から高知空港までは2km以上あるから、合計3.5kmを歩くことになったけど、途中の高知大学のキャンパスで早咲きの桜が見られたのでよしとしよう。

空港に到着して、「土佐の野菜定食(鰹たたき付)」と栗焼酎で早めの夕食。到着機が遅れるというアナウンスがあったので、売店でゆっくり買物をしてから搭乗待合室に進む。高知に来たからには名物の「帽子パン」を買うのも忘れずに。15分遅れの出発となったが、偏西風がとても強かったため、羽田には定刻通りの到着。ただし北ピアに入ったので、出口まで少し遠かった。TXで帰宅すると、こちらは今日も雨が降ったようで、地面が濡れていた。高知はずっと晴れていたけど、徳島は天気が崩れた模様。

今回は、ちょうど一年前に震災の影響で中断した旅行の前半部分のやり直しだったので、何事もなく帰宅出来て一安心。因に後半部分(高知市内)は昨秋やり直したけど、そちらは台風で中止になりかけたところを、出発時間を遅らすことでなんとか挙行。