2012/05/20(日)

イギリスの日曜日は、店や公共交通の営業時間が短くなるが、地下鉄も午前7時以降にならないと動かないことを直前に知って焦る。それでも始発列車に乗らないと、途中で遅れが生じたりしたら困るし~ということで朝食をパスして荷物を一旦フロントに預け、シャッターが開いた直後のパディントン駅から環状線(Circle Line)に乗ると、途中で断続的に停車。どうやら信号系統に多少問題が生じていたようだが、数分の遅れで運転再開。「皆さん、また私で~す」と車内を和ませていた車掌氏のアナウンスは、半分くらいしか聞き取れなかったが、必要な情報は得られたのでよしとしよう。

ビクトリア(Victoria)駅で下車して、今日のツアーの集合場所である旅行会社へ。早めに着いたけれど店舗が狭かったので、係員に名前を告げて近所のショッピングモールで時間つぶししてから、集合時間前に戻る。係員の誘導に従って駐車場からバスに乗り込み、遅れていた参加者を待ってから出発。ハイドパーク(Hyde Park)の東側を通り、ロンドン市内を出て北西方向に向かう。昨日は薄曇りであまり気温が上がらなかったけれど、今日はどんよりと曇ってかなり肌寒い。でも予報によると雨は降らないらしい。オックスフォード(Oxford)郊外のドライブインで小休憩した後は、いよいよコッツウォルズ(Cotswolds)地方に入る。この辺りは公共交通だと不便なので、日帰りバスツアー(日本語)に参加したのである。

バーフォード

最初に訪れた村はバーフォード(Burford)で、かつては羊毛マーケットで栄えた場所とのこと。メインストリートは坂道になっていて、まずは上から見下ろすと、17~18世紀の家が建ち並ぶ向こうに、菜の花畑の黄色が目立つ丘陵地が広がっている。滞在時間は30分だけだが、それ程大きくない村なので、メインストリートと少し奥まったところにある教会を見学するには十分である。教会は日曜の礼拝中で、鐘が複雑な音を響かせている。コッツウォルズ特産の石灰石(lime stone)は場所によって色合いが異なるが、この辺りの家に使われている石は淡褐色で、クレマチスやフジの花との組み合わせが美しい。

バイブリー

道が混雑していたので、2カ所目は順番を変えてバイブリー(Bibury)を先に訪れる。詩人のウィリアム・モリス(William Morris)が“英国で一番美しい村”と呼んだそうで、14世紀の家が連なるアーリントン・ロー(Arlington Row)が撮影場所として有名であるが、コルン川(River Coln)沿いの通りに面した庭のある家も印象深い。この村も30分の滞在だけど、川を渡ってアーリントン・ローを抜け、坂道を上って広い道に出たところで坂を下り、マス養殖場(Trout Farm)の隣を通るお勧めコースを一周するのに、丁度良い時間となっている。

水辺のボートン

3カ所目のボートン・オン・ザ・ウォーター(Bourton on the Water)では、昼食を取るため2時間の滞在。ウィンドラッシュ(Windrush)川の両側に広がる村は、“コッツウォルズのベニス”の名前で知られているが、既に空腹で混み始める時間だったので、とりあえず紹介されたパブの一つに向かう。日曜日にパブに入ったのだからと、迷わずサンデー・ロースト(Sunday roast)を注文。肉の種類が選べたので、七面鳥にしておく。そういえばヨークシャー・プディング(Yorkshire pudding)を食べるのは、これが初めてになるのかな。食事を終えたところで、ようやく村の中を散策。比較的大きな村とはいっても、昔ながらの家が並ぶ見所は集中しているので、30分もあれば余裕で回れてしまう。集合時間まで1時間近く残っていたので、お茶でもしようかと店を覗いたら、週末だからかどこも結構混んでいる。テラス席なら空いていても、今日はかなり肌寒いので座る気にはなれない。ようやく空席がある店を見付けたので、クリームティーを注文。スコーンがかなり大きかったけど、昼食からそれ程時間が経っていないというのに、問題なく完食してしまった。

ブロードウェイ

再びバスに乗って、2番目に訪れるはずだったブロードウェイ(Broadway)へ。この村で音楽劇を開催したら、「ブロードウェイ・ミュージカル」になるのかな。今日訪れた村は4つとも"B"で始まることに後から気付く。ここはコッツウォルズでも北の方になるので、ライムストーンの色はかなり濃くなり、蜂蜜色に近くなる。村を代表する建物は、16世紀創業のリゴン・アームズ・ホテル(Lygon Arms Hotel)で、今でも現役の宿泊施設である。ここでも30分間の散策をしてからバスに戻り、帰りは寄り道をせずにロンドンに向かう。市内に入ると道が混んでいたので、予定よりも遅れて解散となる。

地下鉄のビクトリア駅で環状線の列車を待っていても、やって来るのは3方面のディストリクト線の列車ばかり。適当な列車に乗ってアールズ・コート(Earl's Court)に出て、そこからエッジウェア・ロード(Edgware Road)ゆきのディストリクト支線の列車に乗り換えた方が早いのかな、と思い始めた頃にようやく環状線列車が電光掲示に現れる。パディントン駅のスーパーで軽食を買ってから宿に戻り、荷物を受け取って新しい部屋に移る。今度は別の建物の地下になったが、ツインの部屋でシャワールームもかなり広い。なにより机があるので、パソコンでネットするのもとても楽になった。元が狭過ぎたとはいえ、まさかここまで広くなるとは。