2013/01/13(日)

大江天主堂

本渡バスターミナルまで歩いて、予約していた「天草ぐるっと周遊バス」に乗る。路線バスに乗って島内観光をするより効率的で、しかも1コース500円という破格の値段設定(施設入場料等は別料金)。ガイドさんも同乗して説明してくれるという、至れり尽くせりのサービスである。バスセンターを出発した後は、天草瀬戸大橋のループの途中で左折し、下島を横断する山道に入る。子守唄の里・福連木(ふくれぎ)を通り、西岸の下田温泉で一旦停車した後は、海岸線に沿って南下するが、十三仏公園に立ち寄って象岩と亀岩を眺める。晴れていたら景色はもっと綺麗なのだけど、空はどんよりと曇っている。そして最初の目的地は、丘の上にある大江天主堂。1932年完成の建物の中は畳敷きとなっている(内部は撮影禁止)。確か福江島の天主堂もそうだったかな。続いて麓にある「天草ロザリオ館」に入館し、資料映像を観た後、マリア観音や「隠し部屋」の実物大ジオラマなど、隠れキリシタン関連の資料を見学。

崎津天主堂

再びバスに乗って移動し、小雨の降る中、海辺の集落の中にある崎津天主堂へ。大江天主堂とほぼ同時期の建物で、予算の都合上、入口側が石造りで奥が木造となっているが、中に入ってしまえばその違いは分からない。こちらも内部は畳敷きで、撮影禁止となっている。崎津にはここでしか食べられない伝統菓子があるのだけど、一軒目は大江を出る時点で既に今日の分は売り切れ。そして二軒目は逆にまだ準備中~ということで残念ながら食べ損ねてしまった。「杉ようかん」という名前だが、杉の葉を添えた餅で、なんでも沖縄から製法が伝わったのだとか。沖縄には杉がないので、もしかして月桃の葉で包むムーチーが原型なのだろうか。崎津は景観保護のため、自家用車は乗り入れ禁止なのだとか。海に張り出した露台「カケ」や、家々から海に向かう細い路地「トウヒ」が今も残り、昔あった旅館は海側に正門があったらしい。羊角湾と呼ばれる海沿いに集落を離れると、家並みのずっと上に展望台が見える。この湾を閉め切って淡水化するための工事が途中まで進んでいたらしいが、計画は中止になったとのこと。

午前コースの最後の目的地は、羊角湾の奥にある「天草コレジヨ館」。コレジヨ(colégio)は“学校”を意味するポルトガル語で、16世紀末に7年間この地にあった宣教師養成学校に因む資料館である。天正少年遣欧使節団当時の船の模型や、楽器や道具類の複製など、南蛮文化の資料が揃っている。使節団が描かれたバチカン図書館の壁画の複製もある。日本初の活版印刷(ローマ字)による「天草本」も、コレジヨ付属の印刷所で作られたが、当時の印刷機は禁教時代に持ち出された先のマカオで焼失したため、マインツのグーテンベルク博物館で復元されたものが展示されている。見学を終えて下島を縦断し、昼前に本渡バスセンターに到着したところで、午前のコースは終了。

本渡の中心部まで少し歩いて昼食。折角だから何か地元料理をと思いつつ、昼間だし酒も飲まないしということで、気が付けば普通の刺身定食を注文。大きめの店だったけど、混んでいたので思ったよりも時間が掛かった。雨は次第に強くなってきたが、本渡市内の名所をということで、町山口川に架かる祇園橋を見に行く。19世紀前半に出来た石橋で、橋脚が多いのが印象的である。手前の本渡橋近くには何百もの柄のない風車が紐通ししてあったけど、何かのイベントなのだろうか。続いて「天草キリシタン館」に行こうと入口まで行ってみたけど、そこからさらに丘に登らなければならないことが判明。次の出発時間から逆算すると、10分しか見学出来ないことになってしまうので、断念してバスセンターに戻る。

バンドウイルカ

午後のコースは下島の北岸に沿って進む。晴れていれば島原、雲仙方面がくっきり見えるらしいが、雨の今日でも、対岸におぼろげに見えている。通詞島の手前でツアーは一旦2つに分かれる。通詞島散策も魅力的だったけれど、事前予約していたイルカウォッチングの乗船待合室へ。天草と島原の間の早崎海峡は、海が狭まり魚が集まる好漁場で、バンドウイルカが定住しているため、一年中ほぼ確実にイルカが見られるのだとか。雨はすっかり本降りになったけれど、船には屋根が付いているので、波が荒くさえなければ大丈夫らしい。少し離れた桟橋から小型船に乗り込んで出航。最初は速度を上げるので船室内で待機し、ポイントに到着したところでデッキに出る。多くのイルカが泳いでいるので、少し船を動かせば近くから見ることが出来るが、クジラに比べて小さい分動きが速いので、やはり写真に撮るのは難しい。ともすると背中ばかりを撮影することになり、顔は殆ど見られない。この辺りのイルカは魚が少ない時、素潜り漁師を真似て岩場に顔を突っ込んで餌を取るため、顔に白い傷が耐えないのらしいが、確認することはほぼ不可能である。とりあえず沢山撮影しておけば、一枚ぐらいはそれなりに写るだろう、ということで撮り続ける。が、コートの上から雨具を着て救命胴衣を付けていても、雨の吹き込むデッキにいるとどうしても寒くなる。元気な人達は船首側に回ってはしゃいでいるが、既に疲れた人達は船室に引っ込んでいる。そのどちらでもなかったので、船尾側に座ったまま適当に撮影を続ける。そうこうするうちに時間となり、全員が船室に戻って桟橋に帰る。

ちょうど目の前に停まっていたバスに乗り込み、通詞島散策組と合流。バスはそのまま西に向かい、苓北物産館で休憩してから帰路に就く。下田温泉で下車する客はいなかったので、そのまま海岸沿いの国道を引き返して本渡に戻る。バスセンターから先は徒歩15分、傘を差していてもすっかり濡れてしまったので、部屋ですぐに着替える。夕食付きのプランにしておいたので、その後はすぐ目の前のコンビニに出るくらいで済んだ。今夜も事実上オフラインなので、さっさと就寝。