何度も目覚めながら途切れ途切れに眠った後、明け方から目覚めたまま5時頃起床。ホテルは朝食付きのプランではなく、機内食以来何も食べていなかったので、昨夜見付けた近所の店が朝6時から開いていることをネットで確認してから出掛ける。サンドイッチは何があるかと聞いたら、エッグサンドという答えだったのでそれを注文したら、具は玉子とベーコンとチーズだけ。さすがはメリケンの朝食でんな~ってことで、せめて飲物はオレンジジュースにしておく。
一旦宿に戻ってから、近くの駅から地下鉄に乗ろうとしたら、地上からの入口が方面別となっていた。そこで交差点を渡って反対側の"Uptown"(北方面)入口に行ったところ、“本日、北方面(Uptown)の列車は停車しないので、南方面(Downtown)の列車に乗って急行停車駅まで引き返すべし”という掲示と共に閉鎖されていた。“あるいは次の駅まで歩くべし”と手書き文字が添えられていたけど、隣駅は少し離れているはずなので、印刷文字の指示に従って南方面の乗り場に向かう。ニューヨークの地下鉄は都心部では複々線になっていて、急行系統と緩行系統に分かれていること、そして宿の最寄り駅は緩行線にしかホームがないことを事前に知らなければ、掲示を読んでも何のことか分からなかったかもしれない。自動券売機で7日用の乗り放題券(Unlimited Ride)を購入し、緩行運転の6系統に乗って3つ手前の急行停車駅まで行って、反対側のホームに移動すると、やって来たのは同じ6系統。本来は緩行線を走るはずが、今日は保線工事のため急行線を走るため駅を3つ通過した後は、緩行線に戻って各停運転。ようやく目的の86丁目(86 St)にたどり着いたが、実は急行停車駅だったりする。なお、日本語では何故か、マンハッタンの縦方向の大通り(Avenue)を“○番街”、横方向の通り(Street)“△丁目”と呼び習わしている。
地下鉄の駅から少し歩いて、メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)前の行列に並ぶ。程なく開館時間となり、窓口でシティ・パス(City Pass)と呼ばれる6施設共通券を購入したところ、領収書を持って"Will Call"に行くように言われる。“えっ、うぃるこーるって何?”と思ったら、事前予約したチケット類を受取る窓口のことだった。後から調べるとどうやら北米表現らしい。窓口でシティ・パスを受取って入場し、早速2階のヨーロッパ絵画コーナーに向かう。ガイドブックによるとオランダ絵画は2階中央奥にあるはずだけど、あれっ、ない!? コーナー入口に引き返して案内図を再確認し、さらに他の部屋も一通り覗いてみたけれど見当たらない。まさかと思って係員に尋ねてみると、一部改装中につき、フェルメールを含むオランダ絵画は、5月末まで公開していないとのこと。そんな殺生な~日本からはるばるニューヨークまで来たのは、フェルメールを見るためだったのに~(T_T)(T_T)(T_T) 昨年、ロンドンのケンウッドハウスまで行ったのに全面改装中だったという反省から、事前にネットで開館中であることは確認していたのだけど、部分改装で公開中止になっていたのが、よりにもよってオランダ絵画だけだったとは。ショックのあまり、近くのソファーに5分近く座り込んでしまったが、折角ここまで来て落ち込んでばかりもいられない。ということで気を取り直して、エルグレコやゴッホ、モネ、ルノワールなどの絵画や、彫刻などのコレクションを鑑賞したけど、フェルメールを見られなかったショックが、ちょっと尾を引いてしまった。昼食は館内のカフェテリアで、しっかりと食べておく。
午後は予定を変更して、明日行く予定だったフリック・コレクション(Frick Collection)へ。場所はメトロポリタン美術館から歩いてすぐのところ。鉄鋼業で財を成したヘンリー・クレイ・フリック(Henry Clay Frick)氏が遺した邸宅に、氏の美術コレクションを展示していて、それぞれの部屋自体も調度品と含めて鑑賞対象になっている。順路の最初にある地階の特別展は後からゆっくり見ることにして、1階の常設展に進むと、入口近くの廊下のようなホールに、見覚えのある小さな絵が2つ。フェルメールの「兵士と笑う女」と「稽古の中断」である。もしここでも見られなかった場合は、寝込む程のショックを受けるのではないかと心配していたけど~って、フリック・コレクションの作品は遺言により貸し出し禁止だから、建物が改装中でない限り必ず見られるのだけどね。残るもう1つの所蔵作品「召使いと女」は、少し奥の部屋に飾ってあった。こちらは他の2作品より大きめで、後年のより“フェルメールらしい”作品。午前中のショックも忘れて、じっくりと鑑賞。午後の美術館は結構の人出だったけれど、絵の前に誰かがいても数分も待てばすぐに見られるので、日本で開催されるフェルメール展に比べればはるかにゆったりと見ることが出来る。ということで他の人の迷惑にならない程度に、3作品を数分ずつ何回かに分けて、間近から、あるいは少し離れた場所から鑑賞。そのまま閉館時間までずっと居たいところだったけど、適当なところで名残を惜しみつつ美術館を後にする。
2つの美術館はセントラルパークに面しているので、午後はそのまま園内散策。満開の八重桜や花蘇芳をはじめ、ライラック、スミレなど、様々な花が咲き乱れている。雲一つない青空が広がり、園内は多くの人で賑わっている。散在している見所のうち、不思議の国のアリス像とアンデルセン像を見てから、ボートハウスの近くを通って、ベルヴェデーレ城(Belvedere Castle)に登って周囲の景色を見下ろす。その後はベセスダ噴水(Bethesda Fountain)を経由して、昔は羊の放牧場だったシープ・メドウ(Sheep Meadow)の広大な芝生越しに高層ビル群を眺める。そのまま反対側の出口に向かい、ストロベリー・フィールズ(Strawberry Fields)にあるイマジンの碑(Imagine Mosaic)を見学してから、公園を出てダコタ・アパート(Dacota Apartments)前の交差点へ。ここはジョン・レノンが住んでいて、暗殺現場となったところ。ニュースを聞いたあの日から、もう20年以上が経つ。
地下鉄の72丁目(72 St)駅を探して、B系統で47-50丁目ロックフェラーセンター(47-50 St - Rockefeller Center)駅に移動。その名の通りロックフェラーセンターに直結していて、案内に従ってトップ・オブ・ザ・ロック展望台(Top of the Rock Observation Deck)の入口に向かう。券売所でシティ・パスのクーポンをチケットに引き換えてから、向かい側のエレベーターに乗って67階へ。まずはガラス張りの展望室から全方向の景色を眺めた後、エスカレーターで69階に出ると、遮る物なしに景色を眺めることが出来る。今日は天気が良いので、ずっと遠くまで見渡せる。この辺りはミッドタウン(Midtown)の北の方になるので、北側のセントラルパーク方面の展望が特徴になっている。南側は高層ビル群を眺めることになるが、エンパイア・ステート・ビル(The Empire State Building)が良く見えることも実はウリだったりする。さらに階段で登った先の70階展望台は、狭いながらも視界を遮る物が少ない展望台になっている。エレベーターで麓に降りて、ロックフェラーセンター前の広場も見学。冬になると現れる大きなクリスマスツリーや、スケートリンクが有名だけど、夏場の今はプロメテウス像の近くに万国旗がはためくだけである。
地下鉄のF系統に乗って、イースト・リバー(East River)の中洲であるルーズベルト島(Roosevelt Island)へ。ここからはマンハッタン島のミッドタウン周辺の高層ビル群を、横方向から眺めることが出来る。夜景はもっと綺麗なのだろうけれど、昼間もそれなりに壮観である。川沿いには八重桜が満開で~って“川”という名前でも、実は海峡だったりする。帰りは折角なのでトラムウェイ(Roosevelt Island Tramway)と呼ばれるケーブルカーに乗る。ホームには多くの客が待っていたので、運びきれるのかと思っていたら、100名以上を運べる大型ゴンドラなので、積み残しは殆ど出なかった。大型船を通すため、川の上では70メートル以上の高さに登るので、マンハッタンの景色を眺めながらの空中散歩となる。反対側のアッパー・イースト・サイド駅(Upper East Side)も地上付近で、地下鉄の59丁目(59 St)駅までは歩いてすぐ。6系統に乗って33丁目まで戻り、コンビニでサンドイッチと飲物を調達して、夜は宿の部屋で軽く済ませる。今日は歩き疲れたので、何か別腹と思ったが、マフィンもドーナツもアメリカンサイズだったので、怖じ気づいてしまった(^^; 時差の影響でかなり眠かったので、ネットサーフィンしてからすぐに就寝。