2015/07/25(土)

思った程には眠れなかったけど、早めに眼が冴えてしまったのでそのまま行動開始。朝食を済ませてから、地下鉄の最寄駅で1日乗車券(Mobilis)を購入し、2路線を乗り継いでパレロワヤル・ミュゼデュルーヴル駅(Palais Royal-Musée du Louvre)で下車。地下街を通って美術館に行くつもりが、案内表示に従っていたら地上に出てしまう。地下の方が空いているという情報があったのだけど、そこから道を探して迷うくらいなら、地上の列に並んだ方が早いかな、ということでガラスのピラミッドを目指す。入場待ちの列を見付けた時は開館30分前で、既に100人以上が並んでいた。前回のようにミュージアムパスを事前購入しておけば、列に並ぶ必要がなかったのだけど、今回はとても元が取れそうになかったのだから仕方がない。一時的にぱらついた雨はすぐに止んだが、風が強くて少し肌寒い。

ルーヴル美術館

開館時間を過ぎてからようやく入口が開き、保安検査を経て地下の券売所で入場券を購入。他の美術館ならフェルメールの絵に直行するところだけど、折角朝早くから来たので、一番人気の絵に挨拶しておこうとドノン翼の2階に向かったが、この時間でも既に混雑が始まっていた。絵画としては恐らく世界で一番有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は、作品の前にルーヴルとしては異例の柵が設置されているが、そのさらに手前に可動式の立ち入り禁止ラインが設けられている。前は柵のところまで近付けたのじゃなかったっけ~と後から調べてみたら、2009年の時点でも手間のラインまでになっていた。続いてリシュリュー翼の3階に移動して、今回の主目的であるフェルメールの「レース編みの女」を鑑賞。2002年に来た時に見ている可能性もあるのだけど、まだフェルメールに開眼する前だったので、残念ながら記憶にも記録にも残っていない。2009年にはフェルメール作品を目的に来たのだけど、折悪く日本に貸出中。そして今回、3度目の正直と言うべきか、ようやく対面が叶ったのである。これで現存37点(異説あり)と言われるフェルメール作品のうち、36点を確実に鑑賞したことにある。残り1点はボストンの美術館から盗難に遭っていまだ行方不明の「音楽の稽古」なので、現時点ではこれで“コンプリートである”。ちなみに隣が定位置のフェルメール作「天文学者」は現在日本に貸出中だけど、こちらはすでにパリと東京で1回ずつ見ている。

アーケード街

ルーヴルは3回目になるし、午後も別の美術館に行く予定なので、絵画部門を中心に一通り見て回る。今回の裏テーマは17世紀のフランスの画家ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin)の「アルカディアの牧人たち(Les bergers d'Arcadie)」。早い話が前回の夜会「橋の下のアルカディア」関連である。前回利用した館内の店は休業になっていたので、ミロのビーナスとサモトラケのニケの前を経由してから、地下から外に出てカフェテリアで昼食。食事の後は、美術館の北側にあるパレ・ロワヤル(Palais Royal)へ。一時は王が住んだこともある建物があったのでこの名前が付いているが、現在は庭園を取り囲む建物に官庁や商店が入居している。天気が回復して青空が広がる下を、庭園を通り抜けてさらに北側に進む。19世紀のアーケード街ギャルリ・ヴィヴィエンヌ(Galerie Vivienne)を端から端まで歩いてから、すぐ近くのギャルリ・コルベール(Galerie Colbert)を外から見学。

地下鉄を乗り継いで、ラ・ミュエット(La Muette)に移動。地上に出て公園の中の道を歩いて、マルモッタン・モネ美術館(Musée Marmottan Monet)を訪れる。小さな建物にはモネと同時代の作家の絵画が展示されているけれど、美術館の名前にもなっているモネの作品はどこ?と思っていたら、地下の大きな部屋にまとめて展示されていた。様々な時期の「睡蓮」や風景画が並んでいたが、一番の見所はやはり「印象・日の出(Impression, soleil levant)」だろう。フランス北部、ノルマンディーにあるルアーヴルの港に登る朝日を描いたもので、「印象派」の名前の由来となっている。この絵にだけ特別な照明が当てられていて、太陽と海面に映る像が光っているように見える。

自由の女神像

次の目的地まで、地下鉄だと遠回りになってしまうので、直接セーヌ河畔まで歩く。「白鳥の小径(Allée des Cygnes)」という細長い中州の西端に立つのが「自由の女神像(Statue de la Liberté)」。ニューヨークの同名像は、米国独立100周年を記念してフランスから贈られたものだが、こちらはフランス革命100周年を記念して、米国から返礼として贈られたもの。2002年に一度見に来ているが、昨年ニューヨークで展望台まで登ったのを機に再訪。そのまま中州の東端まで歩いて、エッフェル塔(Tour Eiffel)の近くから地下鉄に乗ってシャルル・ドゴール・エトワール(Charles de Gaulle-Étoile)に出る。

エトワール凱旋門

地下道に入って順番待ちの列に並び、チケットを購入してエトワール凱旋門(Arc de triomphe de l'Étoile)の中に入る。前回は行事のため閉鎖されていたので、2002年以来2回目ということになる。階段を登り続けてアーチの内側に入ったところで、少し休憩。さらに階段を登って屋上に出ると、広場から放射状に広がる大通りと、その周囲の街並みが見渡せる。天気が良いのでモンマルトルの丘や新凱旋門(Grande Arche)のあるラ・デファンス(La Défance)地区もはっきり見えるが、エッフェル塔方面は雲の陰になっていた。

夕食にはまだ早過ぎる時間だったので、一旦モンパルナスの宿に戻って部屋で休憩してから、再び地下鉄に乗ってエトワール広場へ。宿の近くのレストランを予約しようとしたら満席だったので、いつものボルドーワイン専門の「レクリューズ(L'Ecluse)」で夕食。注文したのはクリュ・ブルジョワのChâteau du Glana(ACサンテステフ)の2011年。夜は久しぶりにモンパルナス・タワー(Tour Montparnasse)に登って、パリの夜景を眺めてみようかと思っていたけど、すでに疲れていたし明日も早いので、おとなしく宿に戻ってさっさと就寝。