2015/07/26(日)

朝食を済ませてからすぐに宿を出て、地下鉄を乗り継いでセーヌ川右岸に向かう。途中のマドレーヌ(Madelaine)で大きな音がすると共に車内照明が落ちたので、車両故障かと焦ったが(目的の2駅手前だったので徒歩だとどういうルートになるか地図で確認しようとしていた)、何事もなかったかのように再起動して運転続行。リシュリュー・ドルオ(Richelieu-Drouot)から集合場所の免税店の前まで急いだが、バウチャーに記載された時間は出発予定よりもかなり早めだったので、慌てる必要はなかったようである。暫くしてやって来た大型バスに乗り込み、予定時刻ギリギリになって全員が揃ったところで出発。パリの街を出て、高速道路に乗って北西を目指す。普段の休日なら混雑している道も、今日は天気が良くないせいか思いの他空いていて、予定よりもかなり早くジベルニー(Giverny)に到着。

モネの庭

今日のツアーの最初の目的地は、モネの家と庭園(Masion et Jardin de Claude Monet)。画家が後半生を過ごした家で、庭は膨大な数の絵に描かれている。夏場なので家の前には色とりどりの花が咲き乱れている。まずは地下道を通ってモネ自身が整備した日本庭園に出る。セーヌ川支流の水を引き込んだ池の畔には柳の木が枝垂れていて、緑の太鼓橋そして睡蓮の葉と水面に映り込む景色と、一連の絵の雰囲気が今でもそのまま残っている。残念ながら睡蓮は咲いていなかったが、ガイド氏によると当地は気温が低いため、午後にならないと開花しないのだとか。そうなると睡蓮の絵はいずれも午後に描かれたものばかり、ということになるのだろうか。

モネの家

日本庭園の奥で自由行動となったので、集合までの時間配分に注意しながら、日本庭園と洋風庭園、そして家の内部を見学。壁には所狭しと浮世絵が飾られているが、内装は至って質素。アトリエに飾ってある作品は、いずれもレプリカに置き換えられているのだとか。早めの時間帯で比較的空いている日とはいえ、次から次へと団体客がやって来て、敷地内は次第に混んでくる。ただ到着直後にぱらついた雨はすぐに止んだので、傘がほとんど必要なくなったのは幸い。名残を惜しみつつ庭を回ってから、大作を製作した新アトリエを転用した売店を通って、来た時とは違う場所から外に出る。印象派美術館(Musée des impressionismes)の前を通って、モネがフォードを乗り回したという道を歩き、駐車場で待っているバスに戻る。

オンフルール旧港

睡眠不足だったし、さすがに歩き疲れたのか、バスの車中で少し寝入る。高速道路をさらに走って、セーヌ川河口のオンフルール(Honfleur)に到着。モネの出身地である港町ルアーヴル(Le Havre)の対岸で、モネの才能を見出した画家ブーダン(Boudin)や作曲家サティ(Satie)の出身地でもある。モネはこの街も描いているそうだが、どういう絵だったか思い出せなかったりする(^^; 走っている最中に再び降り出した雨は、どんどん強くなっていよいよ本格的な雨となっている。とりあえずガイド氏の案内で、旧港(Vieux bassin de Honfleur)からノルマンディー特有の木組みの家が立ち並ぶ通りを歩いて、街のシンボルとなっているサント・カトリーヌ教会(Église Sainte-Catherine de Honfleur)を訪れる。船大工が作ったため、船をひっくり返したような構造になっていて、鐘楼は別棟となっている。

ここで自由行動となり、各自昼食ということになったので、事前に調べておいた店に行ったら満席。第2候補の店は見付からず、本降りの雨は続いているし、集合時間までそれほど余裕がある訳でもないので、旧港に面した店の中から適当に選んで入る。コースメニューなら早いだろうと、魚のスープとビーフソテー、そして地元名産のシードルを注文したが、混雑していたせいか結構掛かった。ゆっくり散策する時間はなくなってしまったけど、それでも集合場所に戻る途中に足早に少しだけ寄道して、細い路地や昔ながらの家並みを眺める。

エトルタの崖

再びバスに乗って、ノルマンディー橋(Pont de Normandie)でセーヌ川(Seine)を渡り、ルアーヴルを経由してエトルタ(Étretat)へ。駐車場から海辺の町まで歩いて、両端に石灰岩の崖が見える海岸に出たところで自由行動に。モネの絵でおなじみのアヴァルの崖(Falaise d'Aval)は南側なので、そちらを見下ろすために反対側のアモンの崖(Falaise d'Amon)に続く道を登り始める。雨はすっかり上がっていて、時折陽が射すまでに天気は回復しているが、崖の上に出るとかなり風が強い。町の向こうに続く崖は、確かにモネの絵で見たことのある風景だけど、いつどこで見た絵だったかまでは思い出せない。あまり遅くならないうちに麓に降りて、町の中も少し散策してから集合場所に戻る。

今日のツアーの目的地である3カ所を全て訪れたので、あとはパリに帰るだけなのだけど、これまで順に北に移動してきたので、途中休憩を挟んで5時間の道のり。今日のパリ市内はツールドフランス最終日(凱旋門がゴール)で交通規制が掛かっているため、道路が混雑していたようで、予定より少し遅れてオペラ座(Opéra Garnier)の前に到着。入口を探すのに少し迷ってから地下鉄を乗り継いで宿に戻ると、ちょうど暗くなり始めたところだった。当初はシャンパーニュ方面のツアーに参加するつもりだったのだけど、偶然にも夏場に3回だけ開催されるツアーの日だったので、迷わずに申し込んだのである。ジベルニーまで行くツアーは毎日催行されているけど、エトルタまで公共交通で行くのは大変なので、モネゆかりの地を効率良く回ることが出来てよかった。