2016/07/17(日)

キームゼー鉄道

今日はあまり天気が良くない予報だったが、日帰りツアーを申し込んでいたので、中央駅構内の指定場所で手続きを済ませる。定刻になったところで集合し、簡単な説明を受けてから添乗員と共に構内を横切り、南側のホームからザルツブルク(Salzburg)ゆきの列車に乗り込む。11年前に乗った列車はコンパートメント形式の旧型車だったが、今回はサロン形式の新型車。途中駅にも停車するタイプで、始発駅から約1時間のプリーン・アム・キームゼー(Prein am Chiemsee)で下車。ミュンヘン中央駅構内にいる間に降り出した雨は、出発時は本降りになっていたが、移動している間にすっかり止んでいた。ここから乗り換える“観光用SL”というのは、てっきりSLを模した自動車のことかと思っていたら、本物のSLが牽引する本物のキームゼー鉄道(Chiemsee-Bahn)だったので驚く。汽笛を響かせながら道路を渡り、民家の庭先を走るメートルゲージの列車は、10分足らずで終点のプリーン港(Prien Hafen)に到着。停車場のすぐ目の前にキーム湖(Chiemsee)が広がっている。州内で最大の面積を誇る湖は、“バイエルンの海”(Bayerisches Meer)という異名を持つそうな。船のデッキから見える山々は一部雲に覆われていたが、視界はそれほど悪くない。乗船中にぱらついていた雨も、ヘレン島(Herreninsel)に到着する頃には止んでいて、島の中を歩いているうちに晴れ間も出るようになっていた。

ヘレンキームゼー城

船着場から林の中を歩いて、約20分でヘレンキームゼー(新)城(Neues Schloss Herrenchiemsee)の前に到着。まずはガイドと一緒にルードヴィヒ2世王博物館(König Ludwig II.-Museum)に入って、ルードヴィヒ2世関連の展示を見学(館内の解説文はドイツ語のみ)。その後は一旦自由行動となったので、カフェテリアに入ってカレーソーセージ(Currywurst)を食べる。ちょうど15分おきに噴出と停止を繰り返している噴水の水が出ている時間帯だったので、足早に庭園からの写真を撮ってから、指定時間に入口に向かう。城内は専用ガイドの案内で見学し、内部は撮影禁止。ヘレンキームゼー(新)城はルードヴィヒ2世の3つ目の城で、ヴェルサイユ宮殿を模して造られているが、内部の部屋は実物より少し大きめだったりするのだとか。建設中に王が退位となったため、建物は中央部分のみで両翼は未完成。それゆえ外観をぱっと見ただけではオリジナルのヴェルサイユとの類似点は分かりづらい。階段ホールから広間、寝室など、オリジナル以上に豪華な内装の部屋が続くが、“太陽王”ルイ14世と対比して自らを“月の王”と呼んだことから、ヴェルサイユにはない月をモチーフとした寝室もある。しかし、内装工事も途中で止まってしまったため、順路を辿っているといきなりレンガの壁が剥き出しになった階段ホールに出て、それまでとの落差に驚くことになる。リンダーホフ城(Schloss Linderhof)にもあった「魔法の食卓」がここにもあるが、続いての部屋ではその仕掛けを下の階で見ることが出来る。最後に浴室を通り抜けて、城内ガイドツアーは終了となる。これでルードヴィヒ2世の城は、3つとも見学したことになる。今回は当初、3度目のノイシュヴァンシュタインに挑戦するつもりだったのだけど(1度目は土砂降りで、2度目は外壁が一部工事中)、城を眺める名所となっているマリエン橋(Marienbrücke)が修復工事のため今月一杯閉鎖との情報があったため断念。

シュヴァインハクセ

外に出て城の反対側を少し眺めてから、広い庭園の一部を散策。こちらもヴェルサイユを模していて、眼下には林に囲まれた水路が真っ直ぐ続いているが、視界の先が湖水になっているのがオリジナルとは異なる。あまり時間がなかったので、湖岸まで降りることはせず、途中で引き返して船着場近くの高台に向かう。城と共通券になっていたので、キームゼー修道院(Kloster Chiemsee)の内部も見学してから、再集合時間までに船着場に戻る。帰りは逆ルートで船→SL列車→長距離列車と乗り継ぎ、ミュンヘン中央駅に到着したところでツアーは終了。昼が軽めだったので、地下鉄(U Bahn)で旧市街に出て夕食を取ろうとしたら、広場でイベント開催のため駅の出口が閉鎖されていた。仕方がないので別の出口から大回りして目的の店に行ったら既に客で満杯。週末のせいか第2候補ばかりか第3候補までダメだったので、今夜も駅構内で軽食かなと諦めかけていたが、4軒目には十分な空席があったので、名物の豚スネ肉(Schweinhaxe)のグリルを食べることが出来た。一緒に注文したグラスワインは、フランケン地方のリースリング。地上をだいぶ移動していたので、帰りはマリエン広場(Marienplatz)から地下区間を走る近郊列車に乗って宿に戻る。