2017/05/05(金)

朝早く宿を出て、ツアー会社に行って指定場所で待つ。時間になったところでミニバスに乗り込み、エディンバラを後にして北西に向かう。スターリング(Stirling)を経由して、カランダー(Callander)で最初の休憩停車。ハイランド(Highland)の入口と言われる場所で、牧草地の向こうには丘陵が続いている。草を食んでいるモッサモサの動物はハイランド牛(Highland cattle)で、毛皮を纏うことにより厳しい冬を耐えられるようになったのだとか。空には雲ひとつない非常に良い天気で、1日の中でも天候が変わりやすいと言われるスコットランドにしては珍しい。今日のハイランド地方はずっと晴れの予報で、雲が多かった前半日程のイングランドとは対照的。

グレンコー

車は北に向かって走り続け、トゥラ湖(Loch Tulla)の畔りと湖を見下ろす場所で撮影停車。周囲の丘はいつしか山となり、木々の代わりに褐色の草で覆われているため、幾分荒涼とした風景となる。峠を越えた先の左手に立ち並ぶのは、スリー・シスターズ(Three Sisters)と呼ばれる3つの岩山。半年前にオーストラリアで同じ名前の名勝を訪れたが、形はだいぶ違う。谷間に響き渡るバグパイプは、民族衣裳を着たパフォーマー。この辺りはグレン・コー(Glen Coe)と呼ばれ、現地の言葉で“嘆きの峡谷”を意味するのだとか。17世紀に起こった悲劇的な出来事で知られる場所でもある。スリーシスターズを眺める場所と、谷底で撮影停車してから、さらに先に進む。

ベンネヴィス

リニ湾(Loch Linnhe)に突き当たったところで進路を北東に変え、スピーン・ブリッジ(Spean Bridge)の町外れで昼食休憩。といっても選択肢は軽食堂とフィッシュアンドチップスのテイクアウト、そして小さなスーパーということになる。軽食堂にはスープかサンドイッチ、ベークドポテトくらいしかなかったけど、本日のスープがスコッチ・ブロス(Scotch Broth)という地元料理だったので、迷わずパンと一緒に注文。街から英国最高峰のベン・ネヴィス(Ben Nevis)が見えるので、食後に見晴らしの良い場所を探してもなかなか見付からず、集合時間が迫っていたので適当なところで写真に収めておいたのだけど、出発後すぐに山の全貌が見渡せる場所で撮影停車になったりする。標高は1,344mだけど、山頂付近には雲がかかっていることが多いらしい。でも今日は晴天が続いていて、残雪の残る峰がくっきりと見える。少し時間に余裕があったので、カレドニア運河(Caledonian Canal)の閘門で撮影停車。地図を見るとリニ湾から北東方向に、細長い湖が直線上に連なっている。これがカレドニア地溝帯で、点在する湖を運河で結んでスコットランドを船で横断出来るようになっている。そういえば街中でも随所で2言語表記が見られたウェールズと異なり、スコットランドではあまり見掛けないなと思っていたら、ハイランドでは道路標識が普通に2言語併記になっている。

ネス湖

エディンバラを出てから6時間以上(休憩時間を含む)掛けてようやく、本日のハイライトであるネス湖(Loch Ness)の畔りに到着。英国最大の淡水湖で、ネッシー(Nessie)の伝説で知られることは言うまでもない。面積は56平方キロで、琵琶湖の10分の1以下。細長いため地図上ではそう大きく見えないけれど、幅は2キロでも長さは35キロで、現地に来てみると想像以上のスケール。これならネッシーがいてもおかしくないかも。湖岸で時間調整してから、"Jacobite Warrior"という名前の船に乗ってクルーズ開始。細長い湖の縦方向に進み、青い空と青い湖に挟まれた岸辺を見やると、エニシダが集落を縁取っていた。約30分でアーカート城(Urquhart Castle)の近くに停泊。2時間コースならここで上陸見学となるのだけど、1時間コースなので下船せずにそのまま折り返す。相変わらず雲ひとつない快晴だけど、湖岸の風がかなり冷たいので、帰りは船室に入って窓越しに景色を眺める。よく見たら、船内Wifiのマークもネッシーの形をしていた。湖岸の模型と合わせて、2回目撃したことになるのか。

ピトロフリー

乗船場に戻ってミニバスでもう少し進み、地溝帯の北端のインヴァネス(Inverness)に出る。“ネス川の河口”を意味する街は、ハイランドの首都に相当するが、時間の都合上、街中を一回りする車窓観光のみ。ここから進路を南に転じ、途中のピトロフリー(Pitlochry)で最後の休憩停車。駐車場の近くに駅があったので見に行ったら、ちょうど列車が入線するところだった。そこから先はエディンバラに向かって帰るだけ~といってもまだまだ距離があって、2時間近くを要する。フォース湾を渡る際には、鉄道のフォース橋(Forth Bridge)と並走。そして出発から12時間と少しで、文字通りの半日ツアーが終了。夕暮れの街は肌寒くて、初夏だというのに吐く息がわずかに白くなるほど。宿に戻って携行食と一緒に紅茶を飲んでから就寝。