2017/08/23(水)

ようやく睡眠の帳尻が合ったように感じながら起床。トロントとカナダの時差は1時間だが、経度の関係で日の出と日の入りは30分遅れとなっている。朝食後に部屋に戻ると太陽が昇っていたが、あれっ、この窓って東向きになるのだったっけ。どうやら方角を勘違いしていたようで、地図とにらめっこしてようやく方向感覚を取り戻す。シカゴでは湖が東側だったのに対し、トロントでは南側というのも混乱の一因だったようである。エレベーターに表示される天気予報は、カナダなので摂氏表示だけど、部屋のエアコンの温度設定は華氏。調べてみるとカナダでは摂氏を使うものの、家電の一部に華氏表示が残っているらしい。

今日はトロント市内観光ということで、まずは宿周辺の散策から。空は雲ひとつない快晴。円弧型の近代的なトロント市庁舎と、そのすぐ近くにあるレトロな旧市庁舎を眺めてから、大学通り(University Avenue)を歩いてクイーンズ・パーク(Queen’s Park)内にあるオンタリオ州議事堂を見に行く。トロントはカナダ最大の街でオンタリオの州都になっているが、首都はケベック州との境にあるオタワ。二大都市(トロントとモントリオール)で綱引きをした結果、両者の中間にある小さな町で決着というのはオーストラリアやニュージーランドと同じような事情かな。開館時間に合わせて美術館に行ったつもりが、時間を勘違いしていたのかまだ30分以上あったので、すぐ近くのチャイナタウン(Chinatown)を散策。看板や街路表示が漢字表記となり、店頭に並んでいる商品も当然のことながら中国関連のものが多い。

オンタリオ美術館

ようやく開館時間となったところで、オンタリオ美術館(Art Gallery of Ontario)略してAGOに入館。印象派など欧州絵画も多いが、やはり地元カナダの絵画コレクションが豊富である。そして風景画を見ていると、秋や冬にもカナダを訪れたくなる。曲線を多用した建物は建築としても面白いので、館内を一通り巡る。早めの昼食を取ろうと地下のカフェに行ったら、冷製サンドイッチしかなかったので、表通りに面したレストランに入る。淡水魚のグリルを注文したら単品が出て来たけど、何も言わなくてもパンやジャガイモのような主食が出て来る欧州とは習慣が違うのかな。

カサロマ

午後は地下鉄1号線で移動。どうやら駅によって自動改札の機能が違うようで、トークンの投入口がなかったので、有人改札の料金箱に投入して通過。デュポン(Dupont)で下車して、スパイダナ通り(Spidana Road)の突き当たりにある階段を登り、スパイダナ公園(Spidana Park)に面したカサ・ロマ(Casa Loma)を訪れる。20世紀初頭の大富豪が、欧州様式を模して建てた大邸宅で、いろんな様式が混在して調和している。完成間際で破産してしまったため、実際に住んでいたのは10年足らずで、一時は荒廃してしまったが、公開のため修復されて現在に至る。オーディオガイドを聞きながら、3つのフロアと2つの塔、そして長い地下道の先にある厩舎や車庫を回って、花が咲き乱れる庭園まで見学したら、かなりの時間を要した。カサ・ロマの向かいには、これまた富豪の邸宅だったスパイダナ美術館(Spidana Museum)があったけど、外観を眺めただけで地下鉄の駅に戻る。

CNタワー

ユニオン駅に出て、UPエクスプレスの乗り場の前を通って跨線橋を渡ると、昨日はホームドアに阻まれてよく見えなかった列車を遠くから眺めることが出来た。連絡通路の先にあるのが、トロントのシンボルとなっているCNタワー(CN Tower)。カナダ国鉄(Canada National Railway)が建てた塔は、高さ553メートル。窓口前の列に並んで入場券を買ったら、2時間待ちと言われたけど、出直すのも面倒だったのでそのまま入場待ちの列に並ぶ。つづら折れの行列をのろのろと進み、映像シアターの中に入ったと思ったら、そこでもつづら折れの行列。ようやく高速エレベーターの近くに来ても、なかなか順番は回ってこない。後ろを振り返ると、さっきよりも行列がだいぶ短くなっているというのはよくある話。予想よりも早く進むことを期待していたのだけど、やっぱり2時間近く掛かって最初の展望室ルックアウト(Lookout)にたどり着く。高さ346mというのは、東京スカイツリーの天望デッキ(第1展望台)とほぼ同じ。まだ中間地点なので、景色を眺めるのもそこそこに次の行列に並ぶ。ここから先は別料金になるので人は少なくなるのだけど、エレベーターが1台しかなくて、さらに20分以上待つことになる。

カナダの夕日

乗り込んだエレベーターは高速化されていないため、乗ってからも5分以上掛かる。やっとこさたどり着いたのがスカイポッド(Skypod)で、高さ447mというのはこれまたスカイツリーの天望回廊(第2展望台)とほぼ同じ。ここからは遮るものなく360度全方向が眺められるが、手が届かないほどガラスが遠いので撮影は難しい。午後は一時雲が増えたものの、夕方近くになって再び快晴となり、この高さからだとオンタリオ湖に面したトロント市街地やその郊外、そしてそのさらに先までずっと見渡せる。3時間近く掛けてようやく来た場所なので、ゆっくり景色を楽しみたいところだけど、既にかなり日が傾いていたし、下りのエレベーターも順番待ちとなっていたので、一通り写真を撮ってさらにもう一周してから、ルックアウトに降りる。ここならガラス窓にカメラを密着させられるのだけど、フロアの半分をカフェとレストランの店舗が占めていて、見られる景色の方向が限定されていることが判明。こんなことなら、スカイポッドでもう少しゆっくりするんだったと思っても後の祭り。ルックアウトのすぐ下はグラスフロア(Glass Floor)と呼ばれ、その名の通り足元の一部がガラスとなっている。その外周は吹きさらしの展望室となっていて、一周すれば全方位を眺めることが出来るが、こちらは金網なので撮影には不向き。

午後はカサ・ロマの後、CNタワーに登って早めに引き上げるつもりが、かなり遅くなってしまったので、そのまま暗くなるまで待つことにする。遮るもののない赤い夕日が、地平線の彼方に沈んだ後、街が夜景に変わるところまで見届ける。昨日もこのくらいはっきりと太陽が観察出来ればどんなによかったかと思っても、天気を選ぶことは出来ないので仕方がない。ルックアウトの展望室から見えるのは湖と反対の市街地側だったので、市街地の夜景を撮影することが出来た。今日最後の行列として高速エレベーターの順番を待って麓に降りて、灯りの点った塔を見上げる。地下鉄を使っても中途半端になるので、すっかり暗くなった街の中を歩いて宿に戻る。かなり空腹になってしまったけど食事はどうしようか、コンビニは宿から遠いみたいだし~と思っていたら、都合よくスタバを見付けたので迷わず入る。宿の近くで市庁舎の前を通り掛かったら、噴水の一部がライトアップされていたので、夜景の一環として撮影。